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主要なテレカンツールのデータ通信量ってどのくらい?

「Hangouts Meet」「Microsoft Teams」「Zoom」を比較

 新型コロナウイルス感染症対策として、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都道府県の企業には「オフィス出勤者の最低7割削減」が要請された。テレワークで作業している方も多いだろう。

 関係者がそれぞれの自宅で作業となると、気軽に打ち合わせするのも難しい。電話やメール、チャットなどのツールを使ったコミュニケーションにも限界があることから、顔の見える「ビデオ会議」(テレカン/テレカンファレンス)に注目が集まっている。

 現在、ビデオ会議に利用される主なツールは「Hangouts Meet」(Google提供)、「Microsoft Teams」(Microsoft提供)、「Zoom」(ズームビデオコミュニケーションズ提供)の3つだろう。いずれもパソコン、スマートフォン、タブレットなど、デバイスの選択肢は豊富。アプリのインターフェイスもわかりやすく、ユーザーが急増しているのも頷ける。

 しかし、動画サイトの閲覧による“ギガ不足”から想像できるように、ビデオ会議もそれなりのデータ通信量がかかる。今回は「Hangouts Meet」「Teams」「Zoom」のデータ通信量と通信速度を「AppNetworkCounter」を使って測定した。通信環境やデバイスによって違いはあると思うが、目安にはなるだろう。

 掲載している画面キャプチャは一例。ビデオ会議の主催者と参加者を想定し、映像と音声ON、音声のみONを比較している。双方ともにパソコンの環境と、主催者:パソコン・参加者:スマートフォンの環境で6分間、各5回ずつ計測した。データ通信量は、1時間あたりの換算値としている。

G Suiteアカウントがなくてもビデオ会議に参加できる「Hangouts Meet」

 Googleの提供する「Hangouts Meet」は、有償のサブスクリプション“G Suite”の契約をしているユーザー向けのビデオ通話サービスだ。“G Suite”を契約している企業の方は利用したこともあるだろう。

 多くの方が利用している無料のGoogleアカウントと“G Suite”のアカウントは別物だ。しかし、“G Suite”を契約していなくても、Webブラウザーやアプリから「Hangouts Meet」のビデオ会議への“参加”は可能。ホストとしてビデオ会議を主催できないだけだ。

 通信環境によって映像の解像度は自動的に設定されるが、“高解像度(720p)”と“標準解像度(360p)”から選択もできる。データ通信量を節約するなら、“標準解像度(360p)”を選択しておくといいだろう。

“高解像度(720p)”+音声の測定結果。通信量は770~1,520MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は95~350KB/s(送受信の概算値)
「Hangouts Meet」を“高解像度(720p)”+音声で使用中のタスクマネージャーでの測定結果
“標準解像度(360p)”+音声の測定結果。通信量は700~760MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は70~110KB/s(送受信の概算値)
「Hangouts Meet」を“標準解像度(360p)”+音声で使用中のタスクマネージャーでの測定結果
音声のみの測定結果。通信量は27~41MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は1~8KB/s(送受信の概算値)
「Hangouts Meet」を音声のみで使用中のタスクマネージャーでの測定結果
「Hangouts Meet」の通信量

 なお、無料のGoogleアカウントユーザー向けには、Googleハングアウトがある。通信量と通信速度ともに、「Hangouts Meet」と大きな違いはなかった。

 ビデオ会議への参加人数は25人まで、録画不可などの制約はあるが、少人数での打ち合わせに不便はないだろう。Googleハングアウトと「Hangouts Meet」の違いは、公式サイトを参照して欲しい。

安定のMicrosoft純正「Microsoft Teams」

 「Microsoft Teams」は、Microsoftの提供するコミュニケーションツールだ。ビデオ会議のほか、チャットやファイル共有など、“チーム”での作業を効率化できる機能がまとまっている。普段、WindowsにサインインするMicrosoftアカウントで利用できる。また、パソコンにアプリをインストールせずに、Webブラウザーでの利用も可能だ。

映像+音声の測定結果。通信量は690~810MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は90~110KB/s(送受信の概算値)
「Microsoft Teams」を映像+音声で使用した使用中のタスクマネージャーでの測定結果
音声のみの測定結果。通信量は37~41MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は4~8KB/s(送受信の概算値)
「Microsoft Teams」を音声のみで使用中のタスクマネージャーでの測定結果
「Microsoft Teams」の通信量

 「Microsoft Teams」の映像は、通信環境によって自動的に設定される。1時間あたりのデータ通信量は、690~810MBとなった。モバイル回線で、映像+音声のビデオ会議は避けたい。音声のみの通信は想定内だ。

 「Hangouts Meet」と「Zoom」比較して、映像と音声が安定している印象。普段から一緒に作業している「チーム」内でのやり取りにはおすすめできる。

全世界でユーザー急増の「Zoom」

 「Zoom」は、2019年にNASDAQの上場を果たしたズームビデオコミュニケーションズのビデオ会議サービスだ。ビデオ会議の参加者はアカウント不要、無料プランでも25人までの同時接続が可能。全世界で日々のビデオ会議参加者数が2億人を超えるという人気急上昇中のサービスだ。

 ただ、直近では、悪意の第三者がビデオ会議に乱入する“荒し”や、プライバシー関連の脆弱性などが問題視されてもいる。同社は、修正プログラムを公開しているが、課題は残っている。その点もふまえて利用を検討したい。

映像+音声の測定結果。通信量は500~1450MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は、120~350KB/s(送受信の概算値)
「Zoom」を映像+音声で使用した使用中のタスクマネージャーでの測定結果
音声のみの測定結果(左:「AppNetworkCounter」、右:タスクマネージャー)。通信量は44~56MB(1時間あたりの換算値)、通信速度は5~13KB/s(送受信の概算値)
「Zoom」を音声のみで使用した使用中のタスクマネージャーでの測定結果
「Hangouts Meet」の通信量

 「Zoom」の1時間あたりのデータ通信量は、200~300MBとの情報をよく見るが、測定結果は、1時間あたり500~1,450MBとなった。音声のみのデータ通信量も44~56MBと「Hangouts Meet」「Microsoft Teams」より高めだ。セキュリティアップデートの影響かも知れない。今回の実験では最新バージョン(パソコン:v4.6.11、スマートフォン:v4.6.11)を利用している。

 映像と音声は鮮明だ。映像のオプション“HDを有効にする”をわざわざ設定する必要はないだろう。さらにデータ通信量が増える。

 なお、「Zoom」はカメラ前での動きが激しいとデータ通信量が急増するほか、ウィンドウサイズによっても変動する。「Hangouts Meet」と「Microsoft Teams」では見られない動作だ。レンダリングの違いだろう。データ通信量にも関係するので、むしろ“低解像度にする”オプションが欲しいところだ。

「Hangouts Meet」の“標準解像度(360p)”のデータ通信量が安定

 以下に計測結果をまとめた。データ通信量は、6分間の測定値を10倍し、1時間あたりの換算値としている。通信速度は、送受信における測定中の概算値だ。

各ツールの通信量まとめ

 映像+音声では、「Hangouts Meet」の“標準解像度(360p)”のデータ通信量が、700~760MBと安定。しかし、カメラの前でプレゼンテーションするような場合、映像の鮮明さが足りない。次いで「Microsoft Teams」が、690~810MB。「Hangouts Meet」と「Zoom」比較して、映像は安定している印象だ。「Zoom」は500~1450MBと振れ幅が大きい。鮮明かつスムーズな映像を求めると、3者に甲乙つけがたい。

 今回の実験では、カメラ前での動作と発声を断続的に行ったため、一般的な利用シーンより高めに計測されている可能性もあるが、モバイル回線などの従量課金の環境で長時間のビデオ会議を行うと確実に“ギガ不足”となるだろう。データ通信量を節約するなら、音声のみとするのが無難だ。