特集
無償で始める脱ハンコ、電子署名サービス6選 ~公認会計士目線で選ぶ、テレワーク時代の電子署名サービス②
主要な電子印鑑(電子署名)サービスの特徴や価格などを紹介
2020年8月4日 06:55
新型コロナウイルス(COVID-19)への感染対策の一環として、移動や人同士の接触を少なくすることを前提とした新しい生活様式(いわゆる“ニューノーマル”)がどのようにあるべきか、世界各所で試行錯誤での検討が行われている。この一環としてビジネスの現場ではテレワーク(在宅勤務やサテライトオフィスなどを含む、オフィス以外での勤務形態)が広く行われるようになったが、一方でこのような新たな勤務形態のボトルネックとして、実務慣習として多くの企業で多用されてきた“紙”と“印鑑”の事務が依然として重くのしかかっている。
事務書類承認に必要な“署名”や“捺印”のためだけに出社するといった旧来の習慣を見直すことのない状況も各所で見られる。紙と印鑑を前提とした事務作業は仕事の生産性も下げてしまうため、今後に向けた対策が急務となっている。そのような状況のなかで注目を浴びているのが“電子署名”だ。
前回は電子署名技術と法律的な位置付けを解説した。今回は主要な電子印鑑(電子署名)サービスの特徴や価格などを紹介しよう。
CloudSign
サービスの特徴:
相互同意に基づく署名機能を提供するクラウドサービス。法務部門をはじめとした多くのユーザーに支持されており、日本国内で提供されるサービスではトップシェアに位置する。リモート型署名を採用し、書類をアップロードしてクラウド上で当事者が同意することで相互同意がなされたことを示す電子署名情報を生成する。取り扱えるファイルはPDF形式のみ。締結後は電子署名の付与された文書と“合意締結証明書”のPDFファイルが発行され、クラウド上に保管されるほか、任意にダウンロードすることが可能。操作画面はシンプルな構成で、初めて利用するユーザーにもわかりやすいが、ヘルプコンテンツが機能別一覧のみで提供されており検索しないと操作フローが把握しにくい点は改善が期待される。
無償(試用)期間と制限
・ユーザー数:1ユーザー
・契約送信件数:月5件まで
最低プランの価格:
・Standard(スランダードプラン) : 10,000円/月
・ユーザー数:無制限
・契約送信件数:無制限
・送信料(1件あたり):200円
基本データ
「CloudSign(クラウドサイン)」
【サービスURL】https://www.cloudsign.jp/
【提供会社】弁護士ドットコム(株)
【無料(試用)】可
【試用URL】https://www.cloudsign.jp/
GMO電子印鑑Agree
サービスの特徴:
GMOグループは“印鑑手続の完全廃止”をグループ全体で指向しており、本サービスは紙と印鑑に代わるサービスを提供することでそのような姿勢を強く打ち出している。電子署名(進捗ステータスの管理)・フォルダごとの整理格納・操作ログの保管といった基本機能のほか、オプション機能の“Agree API”により基幹システムやCRMシステムとの連携機能を利用できる。メール認証による“電子サイン”のほか、電子認証局による本人確認及び電子証明書による本人性担保(“電子署名&電子サイン”)を提供する。電子認証局を自社運用するGMOグローバルサインと直接連携できるのが強みである。
無償(試用)期間と制限:
・社内ID数:1
・送信料:無料(月間10文書まで)
最低プランの価格:
・契約印プラン:10,000円/月
・送信料(1文書あたり)100円
・社内ID数・署名数:無制限
基本データ
「GMO電子印鑑Agree」
【サービスURL】https://www.gmo-agree.com/
【提供会社】GMOクラウド(株)
【無料(試用)】可
【試用URL】https://secure.gmo-agree.com/requestForm
e-sign
サービスの特徴:
エストニアと日本を拠点に活動するblockhive社が日本国内で展開する電子署名サービス。デジタル身分証アプリ“xID”(クロスID)による認証機能と連携することで、シンプルな操作での電子署名機能を提供する。初期設定ではスマートフォンにインストールしたxIDアプリ上でマイナンバーカードによる本人確認を行う(省略も可能)。指定されたメールアドレス宛に署名依頼が送付されると、相手の画面に認証コード(PINコード)が表示されるのでxIDアプリでのPINコード入力と生体認証の組み合わせにより署名手続が完了する。電子署名ログはブロックチェーン上に記録して永続的に保管されるため、署名状況を客観的に担保することができる。当面は完全無料で個人法人の種類を問わず利用が可能。マイナンバーカードの初期設定は煩雑だが、現在利用可能な電子署名サービスでは、もっとも低コストで手軽に利用できるサービスといえる。
無償(試用)期間と制限:
・無料で全機能を利用可能
・契約数無制限
最低プランの価格:
・無料
基本データ
「e-sign(eサイン)」
【サービスURL】https://esign.ee/
【提供会社】(株)blockhive
【無料(試用)】無料
【試用URL】https://esign.ee/login
Adobe Sign
サービスの特徴:
Adobe Acrobat文書(PDFファイル)と連携した電子署名機能を提供する。PDF形式の文書はすでに多くの企業に普及しており、本サービスにより電子署名機能が付加されることで電子文書の一層の定着が期待される。PDF文書への署名機能のほか、文書を送信して相手方の署名を一元的に収集する、署名済み文書と監査証跡の保存など業務書類に必要な要件を備えている。当事者電子署名(ローカル署名)方式を採用して本人性を高度に担保することから、法的証明力を求められる重要な書類への電子署名に利用するには有効なツールである。
無償(試用)期間と制限
7日間(Adobe Acrobat Pro DCの機能の一部として利用可能)
最低プランの価格
・Acrobat Pro DC:1ユーザー1,580円/月
基本データ
「Adobe Sign(アドビサイン)」
【サービスURL】https://acrobat.adobe.com/jp/ja/sign.html
【提供会社】アドビ(株)
【無料(試用)】可
【試用URL】https://acrobat.adobe.com/jp/ja/sign/free-trial-global.html
Cloud Contract
サービスの特徴:
中小企業向けに特化した電子契約サービスとして、契約業務効率の向上とコスト削減を目指している。契約書保管・契約状況の進捗確認・電子署名・合意契約締結確認書の発行など、基本的な電子署名機能を持つ。取り扱えるファイルはPDF形式のみ。署名を依頼された側はメールアドレス等の登録は必要なく、受信時にメールアドレスの入力・同意を行うことで署名処理が完了する。スマートフォンやタブレットにも対応しており、時間や場所の制約なく署名が可能だ。ヘルプコンテンツがやや不足していると感じられる一方で、訪問サポートの提供により中小企業が導入しやすくする工夫がなされている。
無償(試用)期間と制限:
・2週間(機能制限なし)
最低プランの価格:
・STANDARD BUSINESS プラン:9,980円/月(1カ月ごとの支払いの場合)
・月間100締結まで(それ以降は1件につき30円)
・10アカウントまで(それ以上は1名につき500円)
・契約書送付可能件数:無制限
基本データ
「Cloud Contract(クラウドコントラクト)」
【サービスURL】https://cloudcontract.jp/
【提供会社】クラウドコントラクト(株)
【無料(試用)】可
【試用URL】https://cloudcontract.jp/apply
Hubble
サービスの特徴:
法務業務のオペレーション改善にフォーカスし、契約交渉プロセスを一元管理して業務効率を上げるクラウドサービスを提供している。“自動バージョン管理”・“文書権限付与”・“文書テンプレート生成”・“契約台帳の一覧化”などの機能が利用可能。法務部門における契約ワークフローに特化したサービスであることもあり、本サービス自体は電子署名機能を持たないが、「クラウドサイン」や「DocuSign」などの電子署名サービスとの連携が可能である。「Microsoft Word」とのシームレスな連携を実現している点も強み。
無償(試用)期間と制限:
・基本機能を無料で利用可能
・アカウント数:3アカウント
・ドキュメント数・30ドキュメント
最低プランの価格:
・Team Plan(チームプラン):80,000円/月
・アカウント数;100アカウント
・ドキュメント数:無制限
基本データ
「Hubble(ハブル)」
【サービスURL】https://hubble-docs.com/
【提供会社】(株)Hubble
【無料(試用)】可
【試用URL】https://app.hubble-docs.com/signup