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「Photoshop CS6」パブリックベータ版レビュー
高級ソフト「Photoshop」を実際に触れるチャンス!無料ベータ版を使ってみよう
「Adobe Photoshop(以下、Photoshop)」は、アドビが販売しているデジタル画像や写真を編集するソフト。通常だと10万円近くするハイエンド向けのソフトのため(Adobe Photoshop CS5単体製品版のアドビストア価格が99,750円)、一般ユーザーにはなかなか手の届かないソフトだ。しかし、今なら無料のベータ版が公開されており、インストール時から60日間または2012年5月31日まで同ソフトを試用できる。ベータ版だが日本語のユーザーインターフェイスも用意されており、製品版で提供されるほぼすべての機能が備わっている。
また、“Adobe Photoshop CS6 パブリックベータ版 お試しキャンペーン”として、ベータ版を使用した感想などをTwitterへ投稿することにより抽選で6名に製品版が当たるキャンペーンも実施されている。
さて、Photoshop CS6のパブリックベータ版の利用について少し補足をしておこう。ダウンロードするファイルのサイズは約1.7GBになる。そのため、それなりに時間がかかるので注意が必要だ。また、インストールには無料で登録できる“Adobe ID”が必要となる。この登録は、インストール中のダイアログからも行える。
インストールが終われば、いよいよPhotoshop CS6の機能を試すことができる。それではPhotoshop CS6について、実際の操作画面を交えて紹介していこう。
Photoshopとはどんなソフトなのか?
『名前は知っているが触ったことはない』。Photoshopについては、そういった人が多いだろう。とはいえ、多くの画像編集ソフトがPhotoshopのインターフェースや機能を参考にしているので、何となくイメージはわかるという人も少なくないはずだ。
Photoshopは非常に多くの機能を備えた画像編集ソフトだ。画像を複数階層に分けるレイヤー機能、レイヤーに対して特殊効果を与えるエフェクト機能、“自動選択”や“クイック選択”など、自動で選択範囲を判断してくれる選択機能、“修復ブラシ”や“スタンプツール”といったレタッチ機能、画像の色味などを編集する機能、多数のフィルター機能などを備えている。また、文字の入力や、ブラシでの描画、スクリプトによる自動操作、プラグインによる機能拡張、カスタムブラシの作成や導入にも対応している。まさに万能画像編集ソフトといった感がある。
また、画面を広く使えるのも特徴のひとつだ。画面を可能な限り広く使うのは、「Google Chrome」など多くのソフトで見られる最近の流れだが、Photoshop CS6ではタイトルバーにメニューが表示され、ツール類がコンパクトに収納される。ウィンドウを小さくしていても、すべての機能をストレスなく利用できるため非常に使いやすい
また、Photoshopの一般ユーザー向け低価格版である「Photoshop Elements」を使っているユーザーにとっては、印刷向けのCMYKカラーがサポートされていることが大きな違いと言えるだろう。「Photoshop Elements」は、Photoshop CSの機能を少しずつ削って、初心者向けのインターフェイスを追加したものだ。Elementsで物足りないと思っている人は、Photoshop CSを触ってみるとよいだろう。
では、このPhotoshop CS6の特徴的で便利な機能を、これから見ていくことにしよう。
“コンテンツに応じる”
“コンテンツに応じる”は、最近のPhotoshopの紹介でよく取り上げられている機能だ。しかし、どういった機能なのかは、名前からはちょっとわかりにくい。簡単に言うと“画像に応じて最適と思われる修正を自動で行う機能”といったところだろう。たとえば選択範囲を“コンテンツに応じて”修復すると、周囲の画像の状態を見て、自動で違和感のない修復をしてくれる。その結果、画像の中から大きなゴミを除去したり、人間を消したりといったことが可能になる。
CS6では、この“コンテンツに応じる”に新しい機能“移動”が加わった。画像の中から選択範囲を移動して、違和感のないように修正してくれる。この機能を使えば、人間や風景の位置をドラッグすることで移動させられる。とはいえ、周囲が草原や空で囲まれているといった特殊な状況でなければ、あまりうまくは修正してくれないので過分な期待は禁物だ。それでは、この機能を少し試してみよう。
スマートオブジェクト
画像編集ソフトでビットマップ画像を編集する際は、ベクター画像とは違い元の画像が変化して失われるのが常識だ。そういった常識を覆すのが、Photoshopの“スマートオブジェクト”だ。レイヤーをスマートオブジェクトに変換すると、複雑な画像の加工を行っても、元の画像はそのまま残される。この機能を使えば、普段画像編集ソフトでありがちな『編集前にバックアップを取って、前の状態に戻したいときはそのデータを探して……』といったわずらわしい作業から解放される。このような機能は、非破壊編集と呼ばれる。作業効率を格段にアップさせてくれる強力な機能だ。
レイヤーをスマートオブジェクトへ変換するには、メニューの[レイヤー]から[スマートオブジェクト]-[スマートオブジェクトに変換]を選ぶ。レイヤーのサムネイルに、スマートオブジェクトを示すアイコンが追加され、拡大縮小などを繰り返しても画像が劣化しなくなる。また、このスマートオブジェクトは、外部に書き出したり、差し換えたりすることも可能だ。
また、スマートオブジェクトにしたレイヤーをフィルターで加工すると、レイヤー内部に加工の履歴が表示される。この加工の履歴は、表示のオン・オフで有効・無効を切り替えたり、順番を入れ替えたり、加工の設定自体をあとで編集したりすることができる。
3D機能
次は楽しい3D機能だ。レイヤーを手軽に立体状に押し出したり、3Dオブジェクトのテクスチャーに変換して、3次元上での位置や向きを自由に設定できる。ロゴを立体的に見せたりしたい場合には非常に便利な機能だ。また文字を3Dにすることも可能なので、写真に飛び出す文字を重ねて映画のタイトル風にすることもすぐにできる。3Dオブジェクトの操作は、メインの編集画面内で行えるので位置合わせも簡単だ。
Vanishing Point
“Vanishing Point”は、日本語訳すると“消失点”になる。この機能は、遠近感つきの操作を可能にするものだ。具体的に言うと、画像の中の斜めの領域を、その傾き(遠近感の奥行き)を維持したまま、移動、拡大・縮小、回転することを可能にする。
普通、選択範囲を複製して移動しても、立体感のある写真の中でうまく馴染ませることは難しい。しかし、この機能を使えば画像の中へ遠近感の消失点を置いたように、選択範囲を自動で変形させながら移動・ズーム・回転といった操作が可能になる。写真を加工する際には非常に有用な機能だ。この機能は[フィルター]メニューの[Vanishing Point]で別ウィンドウを表示して操作できる。
動画編集
Photoshopと言えば、画像編集ソフトというのが一般の認識だと思う。しかし、実は動画の編集も行える。キーポイントを設定してのフェードや、複数動画の結合といった処理が、Photoshop内で行えるのだ。
最近のデジカメは動画も撮影できるので、その資産をPhotoshopで活用できるというわけだ。複雑な操作は専用ソフトに譲るとしても、簡単な編集ならばPhotoshop内で完結させることが可能になっている。
まとめ
Photoshopは高機能で高額な画像編集ソフトだ。そしてこの分野では最高峰のソフトだ。多くの画像編集ソフトが、このPhotoshopに似た機能やインターフェイスを導入しており、まさに頂点に位置するソフトだと言える。そのため、Photoshopを体験することで、ほかのソフトの価値を推し量る助けにもなるだろう。
普段なら高額で手が届かないこのソフトも、今回のキャンペーンを利用すれば無料で体験できる。この機会に試してみてはいかがだろうか。
- 【著作権者】
- Adobe Systems Incorporated
- 【対応OS】
- Windows XP/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(ベータ版につき)
- 【バージョン】
- 13.0 20120305.m.415 BETA(12/03/21)