特集
「コミPo!」でマンガを作ろう! ~操作方法から制作テクまで徹底紹介~ 後編
ページマンガを作ってみる!
(10/12/17)
絵を描かなくてもマンガを制作できる“コミックシーケンサー”ソフト「コミPo!」。同ソフトを利用したマンガ制作を紹介する本特集の前編では、4コママンガを制作した。後編となる今回は、オリジナルキャラクターを作成して、コマ割りのある14ページのストーリーマンガを制作する。
オリジナルデータの利用
まずはユーザーが簡単に追加できるオリジナルデータについて解説しておく。本ソフトでは、パーツの組み合わせでオリジナルキャラクターを作ったり、画像ファイルをユーザー画像として登録したりして使用できる。
カスタマイズによるオリジナルキャラクターの作成
オリジナルキャラクターを作りたい場合は、素材リストから[3Dキャラクター]タブを選び、左上にある[キャラクター作成]ボタンをクリックする。またはメインメニューの[ツール]-[キャラクター作成]を選ぶ。すると“キャラクター作成・編集”ダイアログが表示され、キャラクターのカスタマイズが可能になる。カスタマイズ後に[保存]ボタンを押せば、作成したキャラクターを保存できる。その際、キャラクターを任意のカテゴリーで分類することが可能。
“キャラクター作成・編集”ダイアログには、女子生徒、女性教師、男子生徒、男性教師という学園ものを想定した4人の素体が用意されている。これらの顔や髪型、追加パーツを選ぶことで、オリジナルキャラクターを作成できる。素体ごとの服装や体型などは変更できないので、髪形や髪の色など目立つ部分を変えて、ほかのキャラクターと差別化を図るのがよいだろう。
なお、既存のキャラクターを選択して[キャラクター編集]ボタンをクリックすれば、プリセットキャラなどをもとにカスタマイズしてキャラクターを作ることも可能。
ユーザー画像の利用
「コミPo!」では、写真などのJPEG/PNG/GIF/BMP/TIFF画像を、オリジナル素材として取り込める。素材リストから[ユーザー画像]タブを選び、[ユーザー画像読み込み]ボタンをクリックすると画像を1つずつ選択して本ソフトに取り込むことが可能だ。
ユーザー画像をまとめて登録したい場合は、メインメニューの[ツール]から[ユーザー画像保存先フォルダを開く]項目を選択する。エクスプローラで専用のフォルダが開くので、そこに画像ファイルをコピーすることで登録できる。
読み込んだユーザー画像は、ただ配置するだけでなく加工することもできる。配置した画像を選択した状態で、レイヤープロパティの[フィルター]ボタンをクリックすると、モノクロ階調イラスト風や水彩風、油絵風など、マンガに馴染む雰囲気に加工することが可能だ。
また、PNGといった透過情報を含む画像を利用すれば、背景を透過させた上で、絵の縁に色をつけることもできる。この機能を使うことで、オリジナルのマンプや描き文字を作成し、プリセットのものと同じように本ソフトで利用することができる。
ページマンガを作ってみる
それでは実際のマンガ制作に入っていこう。今回はオリジナルキャラクターを使ったページマンガを制作する。キャラクターはあらかじめ作らずに、必要に応じて作成していく。なお、背景はすべて本ソフト収録のものを利用している。
今回も前編と同様に文字ラフを用意している。以下のリンク先に掲載しているので、興味のある人は見てみるとよいだろう。
では以下、実際の作業を記録した内容を掲載する。
「コミPo!」起動時の作業
「コミPo!」を起動すると、“コミック作成開始”ダイアログが表示される。今回はページマンガを作るので、[コミックを新しく作る]を選択して、[ページマンガ用]ボタンをクリックする。
次に“ページテンプレート選択”ダイアログが表示されるので、1ページ目で利用するコマ割りのテンプレートを選択して[OK]ボタンをクリックする。あらかじめ文字ラフを書いていないと、どのコマ割りを選べばよいのかわからないので、コマ数を決められる程度のラフは書いておいたほうがよい。
“ページテンプレート選択”ダイアログでテンプレートを選ぶと、コマ割りされたページが表示される。画面右下のレイヤーリストを見ると、3つのコマが作成されているのがわかる。
1ページ目
2ページ目
1ページ目の作成が終わったら、2ページ目を追加する。ページの追加はいくつかの方法で行える。
- [編集ウィンドウ]上部の[ページ追加]ボタンをクリック
- メインメニューの[ページ]から[ページ追加]項目を選ぶ
- 素材リストの[ページ]タブから[ページ追加]ボタンをクリック
3ページ目
3ページ目では、教室内の生徒たちを数人配置する。プリセットキャラのポーズや髪型を変えることで、複数の生徒が教室にいるように見せることができる。
2コマ目と3コマ目でも、同じように男子生徒の髪型とポーズを変えて配置している。また、2コマ目と3コマ目の背景画像は同じものを利用しているが、左右反転させることで、違うアングルから教室を見ているように見せている。背景画像やアイテム画像、描き文字といった2D素材は編集ウィンドウ上部のボタンで上下・左右反転が可能だ。
1ページ目で世界観の設定を語り、3ページ目で主人公の置かれた状況を説明することで、これから起こる波乱を予感させてみた。
4ページ目
主人公の登場とキャラクター設定の解説。このページまでの段階で、この学校でメガネをかけているということが波紋を呼ぶことだと説明し、これから事件が発生することを伝えている。
このページの1コマ目では、背景画像を空の絵にしている。これは前ページまでの学校や教室の絵に対して色味を大きく変え、話の流れが転換していることを読者に伝えるのが目的。また、背景が空の絵なので、主人公のカメラアングルを、少しあおり気味にしている。
2コマ目ではメガネ番長1人目が登場。キャラクター作成で新規キャラクターを作る。3コマ目では、2コマ目とキャラの大きさを変えることで、画面が単調にならないようにしている。これは主人公と男子生徒の距離が近づいているためだが、使い回している背景画像を目立たせないようにするためという配慮もある。
5~6ページ目
これまであまり動きのないページが続いていたので、ここで動きのあるページを入れてメリハリをつけている。効果線や描き文字、マンプを使い、ダイナミックな変化を演出した。また、キャラクターの大きさにもメリハリをつけた。
ここでは血糊を半透明にして配置している。素材はレイヤープロパティで透明度を指定して半透明にすることが可能。何枚かの素材を半透明にして重ねることで、新しい効果を作ることもできる。
7~8ページ目
2人目のメガネ番長が登場。先ほどの番長がズームで登場してきたので、変化をつけるために足元からカメラをアップする演出を使った。
ここからは繰り返しギャグの開始。転んで倒すという演出を繰り返すことで、笑いを誘うことを意図した。
教室にいる生徒達の反応も、徐々に変化させている。ここでは、番長バトルが盛り上がってきたことを、表情とポーズで演出している。
また、レイヤーリストを見ると、7ページ目の「ずーん!」という描き文字は、コマの外にはみ出ている。素材はコマの外に配置することも可能である。
9ページ目
3人目の番長が登場。登場のさせ方は、これまでの2人とかぶらないようにした。また、多くの紙面サイズを割き、さらに教室の生徒たちの反応を挿入することで、3人目の番長がこれまでの番長よりも大物であることを示している。
10~12ページ目
繰り返しギャグで、番長バトルの決着をつけた。
13~14ページ目
ラストのオチ。いつの間にか番長に祭り上げられている主人公の嘆きを、表情とポーズとマンプを使って最大限に表現した。
画像ファイル出力
制作したマンガの出力を行う。出力方法は、前回4コママンガを出力したときと基本的には同じだ。違うのは、前回が1ページだけのマンガだったのに対して、今回は14ページのマンガである点だけ。全ページをまとめて出力したい場合は“画像ファイル出力”ダイアログで、[出力ページ範囲]を“全ページ”にすれば、1ページ1ファイルで出力される。ただし時間がかかるので注意が必要だ。
以下のリンク先に、全ページの出力画像を掲載する。
ざっと手順を追っていったが、これでだいたい3時間程度の作業時間になった。1ページあたりに換算すると13分、1ページ平均4コマとして、コマあたりの作業時間を計算すると3分強程度になる。さらに今回は画面キャプチャーを撮りながらの作業だったため、実際にはさらに短くなりそうだ。自分で絵を描くことを考えれば、圧倒的に短い時間でマンガを作れることがわかる。
おわりに
使い勝手のよい本ソフトだが、収録されているキャラクターのバリエーションが少ないことが若干気になる。しかし、来年の1月以降、1,000円未満で購入できるキャラクターの服装バリエーションのデータもリリースされる予定で、必要なデータを追加していくことが可能になっている。また、発売後の無償バージョンアップの予定として、3Dモデルデータの取り込み対応、3D背景対応、高解像度印刷対応が挙げられているので、こちらも期待したいところだ。
本ソフトは、マンガを描きたいけれど絵を描くのは苦手という人にお勧めできるのはもちろん、普段マンガを描いているけれどもいつもとは違うマンガを短時間で作って公開したい人や、マンガのネームを手早く仕上げたい人にも重宝するだろう。体験版を試してみて、これはよいと思ったならば購入してはいかがだろうか。新しいマンガライフを楽しめるようになるはずだ。