年末企画
今年1年間で各編集部員がもっとも気に入ったソフトを紹介
(10/12/24)
オンラインソフトの情報を、毎日お届けしている窓の杜。編集部では世界中で公開されるさまざまなオンラインソフトの情報を求めて、日夜ネットを徘徊している。そうして見つけたオンラインソフトを紹介し、読者のみなさんと感動を共有できるのが何よりの喜びだ。ここでは、今年窓の杜で取り上げたオンラインソフトのなかで、各編集部員やライターがもっとも気に入った“今年のお気に入り”ソフトをご紹介していこう。
PC間の“URLクリップボード”としても便利な“Page Stack”
筆者のPC利用スタイルは長年、メインマシンとしてどこにでも持ち歩くノートPCと、拠点ごとのデスクトップPCの使い分けという形をとっている。ノートPCで情報収集し、マシンスペックが必要なゲームや評価用のソフトはデスクトップPCで実行するという使い分けだが、この際のデータ受け渡しの効率化が長年の課題だった。
共有フォルダでファイルを受け渡したり、クリップボード共有ソフトを使ったり、デスクトップからノートにリモート接続したりとさまざまな方法を試したが、どれも手軽とは言えない。そこで思いついたのが、今年はじめのAndroidアプリ特集で“PCとAndroid間でURLを受け渡すためのサービス”として紹介した“Page Stack”を、PC同士で使うこと。PC間でやり取りしたいデータというのが、ほとんどの場合ダウンロードしたファイル、ひいてはダウンロードページのURLであることに気づいたからだ。
“Page Stack”はいわゆる“あとで読む”系サービスの一種だが、機能が非常にシンプルで、登録URLの一覧から任意のURLを開くといった機能はなく、新しく登録したURLから順にURLを開くことしかできない。その分利用方法も単純なので、“いま見ているURLを、別のPCで開き直す”という用途にはぴったりだ。
Androidでは専用アプリを利用するが、PC上では登録用・開く用のブックマークレットを利用する。ノートPCでWebブラウジングをしていて、『これはデスクトップPCでダウンロードしよう』と思ったら、登録用のブックマークレットを実行し、デスクトップPC側で開く用のブックマークレットを実行すればいいわけだ。
また、これはかなり邪道な使い方だが、ちょっとしたテキストをやり取りしたい場合は、“そのテキストでGoogle検索した結果ページ”を“Page Stack”で受け渡すことで、クリップボード的に利用できる。とはいえWebサービス経由なので、さすがに機密性の高いテキストのやりとりは避けたほうがよいだろう。そもそも隣に置かれたPCとデータを受け渡すのにWebサービスを使うのも大仰な気もするが、猫も杓子もクラウドな昨今にふさわしい利用法……かもしれない?
(中村 友次郎)
デザインを細かくカスタマイズできるAndroid用カレンダー「SK Calendar」
2010年はAndroidの年だった。個人的にAndroid端末を購入してから、今までPCで行っていた個人的な作業はほとんどAndroid上で行うようになってしまった。なかでもよく使ったのは“Google カレンダー”と連携するスケジューラーアプリだろう。いろいろなアプリを試してみたが、最終的に細かいところまでデザインをカスタマイズできるスケジューラーアプリ「SK Calendar」に落ち着いた。
スケジューラーは頻繁に利用する上ウィジェットを使いたいため、デザインにはさまざま要求が出てしまう。たとえば、目が疲れない落ち着いた色調でしかも見やすく、ウィジェットはホーム画面の壁紙に使っているかわいい姪っ子の写真が見えるように半透明になるように、などなど……。こだわりすぎてすべての条件を満たすデザインは既製のものでは見つからなかったため、「SK Calendar」をカスタマイズして使うことになった。
使ってみると“Google カレンダー”のToDo機能と連携する機能も便利で、手放せなくなってしまった。また、現在もこまめにバージョンアップされて、使い勝手がよくなっているのもうれしい。バージョンアップで徐々に機能がよくなっていく“オンラインソフト”の良さが「SK Calendar」からは感じられる。
- 【著作権者】
- SheehanK 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.4.8
(長谷川 正太郎)
いとも簡単に自分の描きたい絵が描けてしまう「コミPo!」
好きな漫画家は誰かと聞かれれば、鳥山明だと答える。鳥山明の凄さはとてもここに書ききれるものではないが、そのなかからあえて1つだけ挙げるとすれば、やはり“人物やメカをどのような角度からでも自在に描ける”点が挙げられると思う。
普段まったく絵を描かない人でも、紙とペンを用意して“ドラゴンボール”の“孫悟空”をマネして描いてみると、向かって左向きのバストショットならそれらしく描ける人も多いはず。しかし、悟空が“かめはめ波”を撃っているシーンを描こうとすると格段に難易度が上がる。さらに、その絵を下から見上げるアングルで描いてみようとしたらどうなるか。たいていの人が諦めて棒人間を描き始めるだろう。
「コミPo!」を使うと、コマの中に3Dモデルを配置したあと、多数用意されたパターンのなかから好きなポーズとアングルを指定するだけで、いとも簡単に自分の描きたい絵が出来上がってしまう。さらにマウスのドラッグにより、拡大・縮小や回転といった調節も可能だ。「コミPo!」の登場により、もう漫画を描くことを諦める必要はなくなった。今後は、今まで暖めていたネタを漫画にして、ひっそりとどこかに公開していこうと思う。
- 【著作権者】
- (株)ウェブテクノロジ、コミPo製作委員会有限責任事業組合
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/7 x64
- 【ソフト種別】
- 体験版(非商用利用のみ)
- 【バージョン】
- 1.05.00(10/12/09)
(加藤 達也)
新しい技術、新しい世界のアプリを無料で作る「Windows Phone Developer Tools」
「Windows Phone Developer Tools」は、“Windows Phone 7”(以下、WP7)向けアプリの無償開発環境だ。統合開発環境(「Visual Studio Express」)やデザインツール(「Expression Blend」)、エミュレーターなどが含まれており、これさえあればWP7の世界へ飛び込める。これだけの開発ツールが無償で提供されるのだから、今の開発者は本当に恵まれている。
とはいえ、WP7自体はまだ日本語に正式対応しておらず、表示はできるが入力はできない。最近はWindowsアプリを作る開発者も減ってきたが、デスクトップとスマートフォンで同じ技術が使えれば、興味をもってくれるユーザーも増えるのではないか。『スマートフォンから、少しでもWindowsでの開発に興味を持つ若い開発者が増えてくれれば』と願う筆者にとって、今年はフラストレーションの溜まる1年だった。
そんなこんなで来年におあずけとなったWP7。しかし、『人間はどんなところでも学ぶことができる。知りたいという心さえあれば』(勝鹿北星・浦沢直樹作『MASTER キートン』)。プログラミングを勉強してみたいと思った人は、ぜひ「学習用C言語開発環境」を試してほしい。開発者なら一度は触れておくべき“C言語”を、スクリプト並みの手軽さで始められるソフトだ。今年紹介できた開発ツールの中で一番興味深かった。
「Windows Phone Developer Tools」
- 【著作権者】
- Microsoft Corporation
- 【対応OS】
- Windows Vista/7/Vista x64/7 x64
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- WPDTRTMRel - 30319.174(10/09/16)
「学習用C言語開発環境」
- 【著作権者】
- MMGames 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.0.8.1(10/07/11)
(柳 英俊)
埋れていた曲を掘り起こしていく「音楽マインスイーパ」
筆者は楽譜を全く読めないどころか、学校の授業以外できちんと楽器を習ったこともないのだが、音を奏でるのは好きで、家に転がっている電子音の出せるキーボードなどを適当に触って遊ぶことがあった。しかし楽器のイロハを全く知らないで楽器を触ってもまともな曲はもちろん弾けず、逆にストレスが溜まることもある。
そんな折に興味をもったのが、プレイステーションの「DEPTH」やニンテンドーDSの「エレクトロプランクトン」などの、手軽に演奏する気分を味わえるゲームだった。体系的に音楽を学んでいなくても、感覚だけで演奏まがいのことをできるのは結構楽しい。
「音楽マインスイーパ」も、そんな作品の1つだ。題材はおなじみのゲーム「マインスイーパ」で、地雷のある場所に旗を立てる代わりに音符を立てていくというアイデアが、遊びつくされたパズルを音楽と親しむソフトに変えている。「マインスイーパ」を進めるのに合わせて少しずつ音楽が浮かび上がっていくさまは、埋れていた曲をプレイヤーの手で掘り起こすような気分にさせてくれて心地良い。そして最後のマスを開けるときの期待感と、その後の音楽自身が完成を喜んでいるような演出に、筆者はすっかり心を奪われてしまった。冬の夜長、プレイごとにランダム生成される曲との一期一会を楽しんでみるのはいかがだろうか。
- 【著作権者】
- 音楽マインスイーパプロジェクト
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- -
(橋本 崇史)
他ソフトの動作状況も推測できるHDD/SSDパフォーマンスモニター「Drive Meter」
今年一番お世話になったソフトは、昨年末に導入したデジタルテレビ録画ソフトだった。筆者のテレビ視聴スタイルは、リアルタイムに番組を見ることはほとんどなく、おもしろそうな番組を片っ端から録画し、あとでザッピングしたり、BGM代わりに流すというもの。
筆者が使用している録画ソフトは単品のレコーダーよりも高機能で、筆者の視聴スタイルともマッチしているのだが、残念なことに問題があった。それは、肝心の動作が不安定なことで有名なのだ。正確に言えば、動作の安定性を向上させるにはコツが必要で、なにも考えずに使用すると録画が失敗したり、ソフト自体がいつのまにかフリーズしてしまう。
そのため、録画ソフトが正常に動作しているかどうか、ときどきチェックする必要があったのだが、録画ソフトの画面を見ているだけでは判断がつかない。そんなときに活躍してくれたのが、ローカルドライブのリード・ライト速度をリアルタイムに表示してくれるガジェット「Drive Meter」だった。
テレビ録画中には一定量のデータが規則的に書き込まれるため、ドライブのライト速度を監視すると、録画の状態がはっきりとわかるというわけだ。筆者の場合は、特定ソフトの動作を監視するために「Drive Meter」を使用しているが、単純にドライブのパフォーマンスをチェックしたい人にもオススメだ。
- 【著作権者】
- Hans Olav Norheim 氏
- 【対応OS】
- Windows Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.0.1(09/09/22)