特別企画

使うほど自分に馴染むニュースアプリ「My Time Line」で“ニュース読み”を効率化

流し読みにも深掘りにも。Windows/Android/iOSの3プラットフォームで自動同期

「My Time Line」

 「My Time Line」は、NECパーソナルコンピュータ(以下、NEC)が開発したニュースリーダーアプリ。もともとはNEC製のPCにプリインストールされているアプリだったが、v2.0へのメジャーバージョンアップを機に一般提供されることになったという経緯をもつ。

 本アプリの特長は、動画ニュースを含むさまざまなジャンルのメディアから提供される新鮮なニュースから、自分の好みに合わせてチョイスして届けてくれるパーソナライズ機能を備える点。ユーザーの興味を自動で学習してくれるので、使い込めば使い込むほど自分に馴染んだニュースリーダーへと成長してくれるのが魅力だ。

 また、iPhone版(近日公開予定)やAndroid版が用意されており、マルチデバイスで利用できるのも便利。複数の端末で設定を同期できるので、場所や状況を問わず、同じ「My Time Line」が使るのもメリットと言えるだろう。

 本稿では、そんな「My Time Line」を実際に使ってみて感じた魅力や、お勧めの使い方をお届けする。

成長していくニュースアプリ

80以上のさまざまなジャンルのメディアから提供される新鮮なニュースから、自分の好みに合わせてチョイス

 まずは、「My Time Line」の目玉機能の一つであるパーソナライズ機能を見てみよう。

 「My Time Line」では、さまざまなメディアから記事の提供を受け、それを時系列またはジャンル別にユーザーへ届ける。しかし、そのなかには興味のないジャンルの記事もあれば、他の記事に埋もれてチェックし忘れては困るという重要な記事もあるだろう。

 そこで役に立つのが、このパーソナライズ機能だ。「My Time Line」はユーザーの利用状況を分析し、興味のある分野を学習する。だいたい1週間ほどで表示される記事のジャンルが絞られていき、自分が読みたいものを中心にタイムラインへ表示するようになる。興味があると判断されたジャンルは、ジャンルを表すリボンの色が青から赤へと変わっていく仕組みになっている。

はじめはジャンルリボンがみんな青色だが、使い込むにしたがって興味のあるジャンルが赤色になっていく

 この学習過程で収集された統計データはローカルに保存され、オンラインから得た記事のフィルタリングに利用される仕組み。プライバシーに関わるデータはサーバーで保持していないとのことなので、この点は安心して利用できるだろう。

 また、好きな記事ばかりを読んでいると“井の中の蛙”になり、世間の流れに取り残されてしまうのではないかと心配になるが、「My Time Line」ではあえてある程度のノイズを混ぜることにより、それを防いでいる。世間で大きな話題となっている記事は適時タイムラインに掲載され、ユーザーの目に留まるように工夫されている。

 世間で話題になっているニュースを届けてくれるタイプのニュースリーダーは枚挙に暇がないが、信頼性の低いブログ記事や、自分にとっては不要だったり興味のない記事がごちゃ混ぜになって送られてくるケースも少なくない。その点、「My Time Line」は信頼のおけるニュースソースから、自分の興味も考慮に入れて賢く記事をチョイスしてくれるのがよい。読めば読むほど話題が興味あるものへ絞られていくので、ハズレを引く心配が少ない。また、本当にチェックすべきトピックが興味のない話題に埋もれてしまうといったことも防げる。

 また、すべてをパーソナライズ機能任せにするのではなく、自分である程度タイムラインをコントロールすることも可能。たとえば、絶対見逃したくない興味のあるジャンル・仕事に必要なジャンルや、ついつい足が遠のいてしまうけれどチェックしておかなければならないジャンルは“マイリボン”として登録しておくとよい。複数のキーワードを“AND”や“OR”で条件指定することで、自分だけのジャンルを作成することができる。

[設定]チャームの[マイリボン]設定で、見逃したくないキーワードを登録

 その名の通り、“自分だけのタイムライン”になっていく、“自分だけのタイムライン”を作っていけるのが「My Time Line」というわけだ。

さまざまなプラットフォーム間で同期が可能

さまざまなプラットフォームに対応

 また、さまざまなプラットフォームに対応しているのも本ソフトの魅力。執筆時現在、以下のプラットフォームがサポートされている。

  • Windows 8.1(タブレット・デスクトップ)
  • Android(タブレット・スマートフォン)
  • iOS(iPhone、近日公開予定)

 iPadに対応していないのは少し残念だが、Windows/iOS/Androidの3大プラットフォームがサポートされているのは心強い。

 さらに、最新版では端末間での学習結果やマイリボン、クリップ記事の同期をサポート。ユーザーの好みもスマートフォン・タブレット・デスクトップをシームレスに切り替えられるため、場所を選ばず利用できるようになり、利便性が大きく向上した。

同期機能の設定

 それでは、さっそく学習結果などの同期をセットアップしてみよう。

 「My Time Line」の場合、アカウントの作成が不要な、コードを入力するタイプになっている。どれか一つの端末でコードを取得し、それを別の端末へ入力するだけで、セットアップが完了する。アカウントを作成するタイプと異なり、煩わしいパスワードの管理が不要になっているのがうれしい。

[同期設定]画面
同期元(データを残したい側)で[コードを発行]ボタンを押し、コードを入手
同期先(データが上書きされてもよい側)で[コードを入力]ボタンを押し、入手したコードを入力
端末間での同期が行われる。一度設定しておけば、同期はずっと有効となる

 なお、「My Time Line」のサーバーは同期を暗号化して仲介するのみで、情報は保持しない。端末の紛失時にちゃんとロックをかけるようにさえしておけば、プライバシー侵害を心配する必要はないだろう。

同期機能を活用したさまざまな活用シーン

 さて、「My Time Line」の同期設定が終わったら、今度は実際にいろんなところで使ってみて、「My Time Line」を育てていこう。さまざまなシーンに応じてそれにフィットしたデバイスで、状況にあった使い方ができるのが「My Time Line」の魅力だ。

スマートフォンでガンガン記事をチェック&クリップ

スマートフォンでガンガン記事をチェック

 まずはAndroidやiPhoneといったスマートフォンで「My Time Line」を使う場合を考えてみよう。恐らく、電車の中や打ち合わせや待ち合わせの合間にニュースをチェックするといった使い方が多いはずだ。

 その場合は、横スワイプでどんどんニュースを読み進めていくスタイルがぴったりとなる。気になる記事は“クリップ”しておくとデスクトップなど他の端末と同期できるので、あとでじっくり振り返りたい場合に役立つ。シェア機能でSNSへポストするのも簡単で、“あとで読む”サービスと連携させればオフラインでニュースを読むこともできそうだ。

スマートフォンではスワイプで次々と記事を読み流すスタイルがお勧め
記事画面
右上のボタンで共有が可能
気になる記事は“クリップ”しておくと、あとで振り返りたい場合に役立つ

 ここでちょっと気になるのは、興味のないニュースも開くことで学習効果にマイナスの影響が出ないかということ。しかし「My Time Line」では記事を読んでいる時間(滞在時間)も学習に考慮されており、興味がなければスワイプで読み飛ばせば問題ない。

 あと、細かいところではあるが、長文のニュース記事を読むときに便利なのが加速度センサーを利用した自動スクロール機能。“iPhone 6 Plus”や“Nexus 6”など、最近大型化しつつあるスマートフォンではとくに役に立つ。

 筆者は“Nexus 6”を利用しているのだが、手があまり大きくないため、揺れの激しい電車ではその大きさを持て余し気味だ。片手で吊り革を掴むと、もう一方の手でしっかり端末をホールドする必要がある。すると、指でスクロールするのも少し気を使うのだが、自動スクロール機能があればタッチ操作を行う必要がないので、スマホをちゃんと保持できる。似たような境遇の人には、ぜひ活用してほしい機能だ。

「My Time Line」“ジェスチャースクロール”機能
タッチ操作なしで長文の記事をストレスなく読める“ジェスチャースクロール”機能

タブレットでゴロゴロ、特定ジャンルの記事&まとめ読みで掘り下げる

タブレットでは少しニュースを掘り下げて

 次に、Windows 8.1タブレットで使う場合を考えよう。テレビを見ながら、リビングやベッドでゴロゴロ新聞を読む感じで使うといい感じだ。防水タブレットならば、お風呂でニュースを楽しむのもありだろう。

 そんな場合は、スマートフォンのように新鮮な記事をスワイプ操作でガンガン読み進めていくスタイルよりも、じっくり落ち着いて、特定のジャンルを深く読んだり、1つのトピックを掘り下げて読むスタイルがしっくりくるだろう。

 そこで試してみてほしいのが、“まとめ読み”機能だ。

 これは複数のメディアが同じトピックを扱っている場合に利用できる機能で、各メディアのニュースを読み比べることができる。“まとめ読み”が可能な記事には数字が書かれたリボンが付いているので、それをタップすると関連記事を展開することが可能。

 メディアによってトピックの取り扱い方が微妙に異なっていることもあり、メディアの立場が透けて見える。情報を多角的にとらえるのは非常に大切な心がけだが、“まとめ読み”機能はそれをサポートしてくれるというわけだ。

複数のメディアが同じトピックを扱っている場合に利用できる“まとめ読み”機能

デスクトップで腰を据えて読み返す。ブログ執筆のネタにも

 一方、一日中デスクトップPCで作業しているユーザーにも「My Time Line」はお勧め。トースト通知でニュースを届けてくれたり、スタート画面のライブタイルでニュースがチェックできるので、仕事の息抜きに楽しんでみてはいかがだろうか。

トースト通知やライブタイルで新鮮なニュースをお届け

 また、腰を据えて長文を読み、ブログやSNSで意見を発信したいといったニーズにも応えてくれる。このとき、モバイルで“クリップ”したり、“あとで読む”サービスに登録しておいたのが役に立つ。[共有]チャームを利用したほかのアプリケーション連携も、モバイルにくらべると強力なので、モバイルでチェックした記事をデスクトップでもう一回消化しなおすといった使い方もありかもしれない。

 この時に活用したいのが、選択検索機能だ。これは「My Time Line」でテキストを検索すると、検索エンジンをサジェストしてくれる機能。“Bing”“Wikipedia”“YouTube”“楽天市場”“Amazon.co.jp”が利用できる。知らない単語を掘り下げて調べたり、気になった商品をショッピングサイトで購入したいといった場合に使える。さらに、選択テキストを“マイリボン”へ登録することも可能。続報をゲットしたい時に便利だ。

検索エンジンで選択テキストを検索できる機能

 そのほかにも、ストアアプリ版では“Facebook”との連携をサポート。“いいね!”やコメントをつけることができる。

 また、住んでいる地域を登録することで天気予報を表示させたり、近所のスーパーのチラシを閲覧するといったことも可能。これらもストアアプリ版限定の機能だ。

住んでいる地域を登録することで天気予報を表示
近所のスーパーのチラシを閲覧

まとめ

 「My Time Line」の魅力は、商業メディアの記事から、自分にフィットした記事を取得し、いつでもどこでも読める点にある。また、軽く流し読みするスタイルにも、ディープに掘り下げて読むスタイルにも対応する。完成度も高く、NEC製PC専用にしておくのはもったいないという判断にも納得がいく。

 細かい不満点を挙げるならば、配信メディアによってはクリップできないといった点が少し気になる。しかし、逆に考えればニュースリーダーにありがちな権利関係がクリアされているということでもあり、雑多なブログ記事を世間の評判をもとにかき集めてくるタイプのニュースリーダーとは違う、ある種の安心感を感じさせる。ニュースを楽しみたいが、それに溺れず、見聞も広めたいといったユーザーにはぜひお勧めしたい。

 この春、新しい生活をスタートさせる読者も多いことと思われるが、効率的な情報収集を考えたい、楽しみたい人はぜひ「My Time Line」を選択肢の一つに加えてほしい。

(樽井 秀人)