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Mozilla、「Firefox 48」へ導入のマルチプロセス技術“e10s”のロードマップを公開

大きく3段階に分けて徐々にプロセスの細分化が図られる

 Mozillaは2日、公式ブログ“Future Releases”で、「Firefox 48」へ導入したマルチプロセス技術“Electrolysis(e10s)”のロードマップを明らかにした。

 “e10s”は、これまで単一であった「Firefox」のプロセスを複数に分割することにより、アプリケーションの応答性、安定性、およびセキュリティを向上させようという試み。「Firefox 48」ではこれの第1段階として、ユーザーインターフェイスのプロセスとコンテンツのプロセスの分離が図られた。これにより、コンテンツプロセスがビジーになってもユーザーインターフェイスの操作が妨げられなくなる。

第1段階:ユーザーインターフェイスプロセスとコンテンツプロセスの分離

 もっとも、「Firefox 48」のリリース時に“e10s”の恩恵を受けることができるユーザーはごく一部だ。

 たとえば、アドオンを利用している環境では“e10s”が有効化されない。アドオンを利用している環境への“e10s”展開は極めて慎重に展開される計画で、まず「Firefox 49」で“e10s”と互換性が確認された少数のアドオンのみを利用している環境へ“e10s”が導入される。次に「Firefox 50」で“WebExtensions”を利用したアドオン、およびマルチプロセス対応フラグが有効なアドオンのみを利用している場合に“e10s”が有効化される。最終的にはすべての環境で“e10s”が有効化され、動作しないアドオンはサポート対象外という扱いになる見込みだが、それまでには相当の準備期間が設けられるようだ。

 そのほかにも、タッチスクリーンで利用している、アクセシビリティツールを利用している、右から左へ記述する(RTL)言語を利用しているといった環境では、当面の間“e10s”が無効化される。これらの環境への“e10s”展開は「Firefox 51」を目途に行われる予定。これをもって“e10s”がすべての環境へ行き渡るわけだが、本プロジェクトはこれで完了というわけではない。

 第2段階として計画されているのは、コンテンツを処理するプロセスを複数に分割することだ。これが完了すれば、あるタブでフリーズやクラッシュが発生しても、他のタブへ影響することがなくなる。これは2017年前半を目標に実装される予定。

第2段階:各コンテンツプロセスの分離

 また、これと並行してそれぞれのコンテンツプロセスのサンドボックス化も行われるとのこと。これはコンテンツプロセスがセキュリティ攻撃にさらされても、ユーザーインターフェイスプロセスやOSへ影響しないようにするためのもの。すべてのテストが順調にいけば、今年中にも導入されるという。

 そして、最終段階となるのがアドオンプロセスの分離だ。これはまだ計画中だが、コンテンツプロセスのサンドボックス化と同様、アドオンを原因としたパフォーマンス低下やセキュリティ攻撃を封じ込め、他のプロセスへ影響しないようにする効果がある。

第3段階:アドオンプロセスの分離

 このように“e10s”はまだまだ第1段階が始まったばかりで、最終的な目的を完遂するまでにはまだいくつものリリースを重ねる必要がある。しかし、まずは「Firefox 48」で“e10s”実現への努力が一応の実を結んだことを喜びたい。