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“マテリアル”になった「Google Chrome 69」がベータ版に ~「AV1」動画もサポート
開発者向けのCSS、APIの強化も盛りだくさん
2018年8月6日 06:00
米Googleは8月2日(米国時間)、「Google Chrome 69」をベータチャンネルへリリースした。「Google Chrome 69」では“マテリアル”な新しいタブバー・ツールバーが導入されるほか、HTTPSサイトへ接続した際、アドレスバーに表示されていた“保護された通信”ラベルが除去される。そのほかにも、多くの新機能が導入される予定だ。
とくにCSS関連の変更は多岐にわたる。まず、円錐状のグラデーションを記述できる“conic-gradient”がサポートされた。工夫次第ではカラーホイールや円グラフといった表現も可能だ。
次に、“CSS Logical Properties and Values”が接頭辞なしで利用できるようになった。CSSはもともと左上を起点とした位置指定を前提としていたが、アラビア語のように右から左へと書く言語までカバーしようとすると不都合が多い。そこでLeft/Rightという物理的(physical)な指定ではなく、Start/Endという論理的な(logical)指定を行えるようにしたのが“CSS Logical Properties and Values”だ。“margin-block-start”や“padding-inline-end”といったプロパティで相対的な位置指定を利用することで、言語の書字方向に関わらずスタイルシートを統一することができる。
また、スクロールスナップを定義する“CSS Scroll Snap Points”の導入にも注目したい。スクロールをキリのよい位置でピタッととめるスナップ機能は、これまでJavaScriptで実装されることが多かった。しかし、“CSS Scroll Snap Points”がサポートされればスタイルシートだけで簡単に記述できるようになる。
最後に、スタイルシートで環境変数を利用する“CSS env()”が実装された。“iPhone X”をはじめとする“切り欠き(ノッチ、Display cutout)”のあるデバイスや、スマートウォッチなど角丸や円形のデバイスへの最適化に利用できる。
メディア関連では、オープンソースの動画コーデック「AV1」がサポートされた。「AV1」は「VP9」よりも圧縮効率が30%ほど高く、HEVC/H.265に代わるロイヤリティフリーの動画コーデックとして期待されている。
そのほかにも、Web認証で“CTAP2 FIDO”デバイスをサポート。“canvas”要素、“Fetch API”、“Keyboard Map API”、“ServiceWorker”、“Web Locks API”、“WebRTC”などでも機能の追加や強化が施された。また、テキスト選択のレンダリング方法が変更され、合字(リガチャー)内のテキストも選択できるようになった。
ベータ版「Google Chrome」はWindows/Mac/Linux/Androidに対応しており、現在同社のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows版は、Windows 7/8/8.1/10で利用できる。