匿名性重視のブラウザー「Tor Browser 8.0」が正式公開 ～「Firefox 60 ESR」ベースに

「Tor Browser」v8.0

　匿名性を重視したWebブラウザー「Tor Browser」の最新安定版v8.0が9月5日、正式公開された。Windows/Mac/Linuxに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在“Tor Project”のWebサイトからダウンロードできる。

　「Tor Browser」は、接続経路を匿名化する「Tor」をあらかじめ組み込んだ「Firefox」ベースのWebブラウザー。「HTTPS Everywhere」「NoScript」などの拡張機能もあらかじめ組み込まれており、セキュリティとプライバシー保護を強化することができる。その代わり、動作速度が犠牲となる点には注意したい。

接続経路を匿名化する「Tor」をあらかじめ組み込む

　最新版の「Tor Browser 8.0」は「Firefox 60 ESR」をベースとしており、新しい“Photon”デザインが採用されている。“Quantum Project”によるパフォーマンス向上の恩恵も受けられるだろう。

　独自機能としては、新規ユーザー向けのチュートリアル（on-boarding）を追加。日本語化は不完全だが、「Tor Browser」の機能と使い方を一通り学べるようになった。

新規ユーザー向けのチュートリアル（on-boarding）を追加

　また、“ブリッジ”のリクエストが大幅に簡略化。ネットワーク設定から要求して“CAPTCHA”に応えるだけでブリッジを取得できるようになった。“ブリッジ”は「Tor」による接続をブロックしている国・地域で、そのブロックを迂回するために利用される仕組み。従来は“ブリッジ”を探したり、メールを送信する必要があったが、そうした手間を省くことができる。

“ブリッジ”のリクエストが大幅に簡略化

　そのほかにも言語サポートが強化されたほか、「OpenSSL」や「libevent」、「Tor」などのコンポーネントが更新されている。「NoScript」が“WebExtension”版に切り替えられている点や、Windows向けに64bit版ビルドが提供されるようになった点も、安定性の向上に寄与するはずだ。

　なお、古いMac（OS X 10.9）で「Tor Browser」v8.0がクラッシュする不具合が報告されているので注意。現行の「Tor」安定版では対応不能とのことで、v8.0.1での修正が予定されている。それまで待てない場合は、アルファ版のv8.5a1を試してみるのも手だ。