やじうまの杜
「Firefox 52 ESR」から激変! 新しい延長サポートリリース「Firefox 60」との違いをまとめました
パフォーマンス向上、UI刷新。Windows XP/Vista対応の廃止、レガシーアドオンの廃止には注意
2018年5月11日 06:00
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「Firefox 60」が正式リリースされ、法人向けの延長サポートリリース「Firefox ESR」にも新しいバージョンが投入されました。2サイクルの検証期間ののち、8月21日に「Firefox 52 ESR」はサポート終了となり、「Firefox 60 ESR」へ完全に切り替えられる予定です。
「Firefox ESR」は主に大企業や大学など、多くの端末を抱えた組織に「Firefox」を一括導入して使われるもので、個人ユーザー向けのものではありません。しかし、Windows XP/Vistaにおける「Firefox」のサポート終了や、レガシー拡張機能を使い続けたいというニーズのために「Firefox 52 ESR」を使っていたユーザーは少なからずいたと思います。そこで今回は、「Firefox 52 ESR」と「Firefox 60 ESR」の違いを軽くまとめてみました。
Windows XP/Vista対応の廃止
Windows XP/Vistaサポートは「Firefox 53」で打ち切られました。「Firefox 52 ESR」ではサポートが継続されていましたが、それもv59.2.0のサポート終了とともに打ち切られます。
NPAPIプラグインの廃止(「Adobe Flash Player」は除く)
「Silverlight」や「Java」などで利用されていたプラグインの仕組み“NPAPI”は設計が古く、ブラウザーのクラッシュやハングアップ、セキュリティ問題、メンテナンス性の低下などを引き起こす原因になっており、段階的な廃止が進められていました(2017年3月に「Adobe Flash Player」を除き完全廃止)。
ただし、利用者の多い「Adobe Flash Player」は例外。Adobeがサポートを続ける2020年末までは利用できますが、これも段階的に制限が加えられていく予定です。
- 2017年9月:「Firefox 56」以降、Android版でプラグインのサポート廃止
- 2018年後半:「Flash」プラグインを許可する設定を記憶しなくなる。セッションごとに有効にする必要がある
- 2019年前半:「Flash」プラグインを利用するサイトで警告を表示
- 2019年:「Flash」プラグインをデフォルト無効に
- 2020年初め:「Flash」プラグインのサポートをデスクトップ版「Firefox」でも廃止。「Firefox ESR」では引き続き利用可能
- 2021年:Adobeが「Flash」のサポートを終了すると、「Firefox」でのプラグイン読み込みがブロックされるようになる
“Quantum Project”の成果を導入、大幅なパフォーマンスアップ。“Photon”ユーザーインターフェイスを採用へ
モダンなハードウェア機能をフル活用するため、コンポーネントの分離やマルチプロセス・GPUアクセラレーションの積極的な導入を進める“Quantum(量子)Project”の成果が導入され、パフォーマンスが各段に向上します。
また、“Photon(光子)”と呼ばれる新しいユーザーインターフェイスも導入。タブのデザインが変更されたほか、検索ボックスがアドレスバーに統合されるなど、随所に改善が盛り込まれています。
レガシーアドオンサポートの廃止
“Quantum Project”によるパフォーマンス向上の一方、その足を引っ張っていたレガシーアドオンのサポートは廃止されました。利用できるアドインは“WebExtensions API”ベースのものだけになります。
そのほかの変更
そのほかにも、“WebAssembly”が初期状態で有効化。また、大量の「Firefox ESR」を集中管理するための仕組みが導入されています。スクリーンショットツールなどが内蔵された点も、注目すべき変更点と言えそうです。
「Firefox 60」と「Firefox 60 ESR」の違い
なお、一般向けの「Firefox 60」と法人向けの「Firefox 60 ESR」はほぼ同じものですが、いくつかの違いがあるります。“Firefox サイト互換性情報”によると、“Service Worker API”と“Push API”はコンテンツプロセスのマルチプロセス化に対応するために設計変更が続いていることから、無効化されているのだそうです。
まとめ
「Firefox 52 ESR」はまだもう少し利用し続けることができますが、いずれはサポートが終了します。これまでの変更を把握して、早めの移行を計画しましょう。