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「Excel」の新しい関数「XLOOKUP」はMac/iOS/Android版にも搭載へ

“Office Insiders”でテスト中

“Office Insiders”のAndroid版「Excel」に「XLOOKUP」関数が搭載

 「Excel」の新しい関数「XLOOKUP」は、WindowsだけでなくMac/iOS/Androidでも利用できるようになる。米Microsoftは2月5日(現地時間、以下同)、次期「Office」に搭載される予定の機能を先行テストできる“Office Insiders”で、Android版「Excel」に「XLOOKUP」関数を搭載したことを明らかにした。1月30日リリースのBuild 16.0.12527.20026以降で利用可能。

 「XLOOKUP」関数は、指定したセルをキーにしてテーブルからデータを検索する関数。従業員名簿をIDで検索し、その氏名を取得したり、自動車部品の価格を部品番号で検索するといった用途に役立つ。Windowsでは「Office 365」の2020年1月更新(バージョン 2001、ビルド 12430.20184)以降で利用可能。

 このような用途にはこれまで「VLOOKUP」「HLOOKUP」を利用するのは一般的だったが、これらは30年以上前の「Excel」開発初期からある古い関数であるためさまざまなしがらみがあり、「SUM」や「AVERAGE」に続き3番目に使用頻度が高い基本関数とされながら、数々の弱点が指摘されていた。「XLOOKUP」はそうした問題を解決した後継版と言える。

 「XLOOKUP」関数のシグネチャー(引数などの組み合わせ)は以下の通り。

XLOOKUP(lookup_value, lookup_array, return_array, [if_not_found], [match_mode], [search_mode])

  • lookup_value:検索値となるセル(例:従業員ID)
  • lookup_array:検索範囲(例:従業員名簿のID列)
  • return_array:戻り配列(例:従業員名簿の氏名列)
  • if_not_found:見つからない場合のオプション(なくてもよい)
  • match_mode:一致モード(完全一致など。なくてもよい)
  • search_mode:検索モード(昇順か降順か、など。なくてもよい)

 従来からある「VLOOKUP」「HLOOKUP」との違いは、多くの場合引数の指定が3つで済むこと、一致モードがデフォルトでよく使われる“完全一致”になっていること、列を挿入・削除しなくても数式の手直しが不要である点(変更に強い)、縦方向・横方向の検索両方を1つの関数でカバーしていること、左側や後ろ側からも検索できる点、不要な列を参照しないためパフォーマンスが高いことなど。「VLOOKUP」「HLOOKUP」は互換性維持のためこれからも残されるが、今後は「XLOOKUP」の利用が増えてくるだろう。

 なお、「XLOOKUP」関数はMac版の“Insider Slow”チャンネル(Version 16.34、Build 200203、2月3日リリース)やiOS版の“Office Insider”(1月27日リリース)でも利用可能。いずれ正式版「Office 365」でも利用できるようになるだろう。