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「Google Chrome」に「HTTP/3」「IETF QUIC」が段階的に導入 ~さらなるパフォーマンスアップに期待

2つの「QUIC」プロトコルが並立する状態を解消

公式ブログ“Chromium Blog”

 米Googleは10月7日(現地時間)、「Google Chrome」における「IETF QUIC」(ドラフトバージョン h3-29)サポートの展開を発表した。現在、安定版「Chrome」ユーザーの25%で“h3-29”が利用されているが、今後数週間をかけて増やしていくとのこと。

 「QUIC」はTCPやTLSなどを組み合わせた新しいネットワーキングトランスポートプロトコル。Googleが2013年に初めて発表して以降、改善と普及が進められ、現在ではGoogleのトラフィックの1/3以上で「QUIC」が利用されている。また、HTTPの最新バージョン「HTTP/3」に必須の技術でもある。

 しかし、この「QUIC」には実は似て非なる2つのバージョンが存在する。1つはもちろん、Googleが開発したオリジナルの「Google QUIC」だが、それとは別に標準化のため“IETF”(Internet Engineering Task Force)へ持ち込まれたバージョン(IETF QUIC)がある。Googleは「Google QUIC」を用いる一方、「IETF QUIC」での変更を尊重して「Google QUIC」の実装に取り込んできた。そのため最新の「Google QUIC」である“Q050”は「IETF QUIC」とほぼ同じものになっているが、それでも「IETF QUIC」サーバーと通信するには残念ながらいくつかのコマンドラインオプションを有効にしなければならないという。

 同社はこの状況を変えるため、「IETF QUIC」への移行を進める計画だ。現在の「IETF QUIC」は改善の甲斐あってパフォーマンスが大きく向上しており、とくにGoogle検索のレイテンシでは現在のHTTPに比べ2%以上の削減されるとのことで、“YouTube”のリバッファー時間でも9%以上の削減、クライアントのスループットではデスクトップで3%以上、モバイルで7%以上の増加が確認できるという。「Chrome 85」はまだ「IETF QUIC 0-RTT」をサポートしていないため、これに対応すれば更なるパフォーマンスアップが見込める。

 なお、「Google QUIC Q050」をサポートするサーバーが「IETF QUIC」へアップデートする時間的猶予を確保するため、当面の間「Chrome」は「IETF QUIC h3-29」と「Google QUIC Q050」の両方を積極的にサポートしていくとのこと。