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「GIMP 3.0」は「GTK 3」ベースで操作性が大きく向上 ~「GIMP 2.99.2」で先行テスト可能

レイヤーの複数選択、レンダーキャッシュ、複数言語でのプラグイン開発などを導入

「GTK 3」をベースとした「GIMP 2.99.2」

 フリーの画像編集ソフト「GIMP」の開発チームは11月6日、「GIMP 2.99.2」を発表した。GUIツールキット「GTK3」をベースとした次期メジャーリリース「GIMP 3」に向けた最初のステップだ。

 「GTK」(The Gimp Toolkit)は、もともと「GIMP」のユーザーインターフェイスを構築するために開発されたオープンソースのGUIライブラリだが、現在では「GIMP」以外のクロスプラットフォームアプリで広く採用されている。しかし、「GTK」が順調に「GTK 3」から「GTK 4」へとステップアップしつつある一方、さまざまな困難からいまだ「GTK 2」から移行できていないプロジェクトは少なくない。「GTK」の由来である「GIMP」もその1つで、「GTK 2」から脱却できないまま場当たり的な改善が続けられてきた。

「GTK 2」ベースの現行版「GIMP」

 次期バージョン「GIMP 3」は待望の「GTK 3」ベースとなり、高DPIモニターや入力デバイスのサポート(タブレットのホットプラグ対応など)が根本的に改善される。従来からあるCSSベースのテーマも受け継がれるが、ダークテーマ・ライトテーマの切り替えや記号アイコンの利用が簡単になるなどの恩恵が得られる。また、Linux環境で「Wayland」がサポートされるのも大きなメリットと言えるだろう。

 機能面での改善としては、レイヤーの複数選択が挙げられる。「GIMP」の一部機能はいまだ単一レイヤーを前提としているため、まだ修正が必要だが、「GIMP 3」の正式リリースまでには複数レイヤーに対し描画ツールを適用したり、移動・回転などの変換を行えるようになるはずだ。

 そのほかにもスケーリングやカラー管理、表示フィルター、シェルマスクなどの結果を保持するレンダーキャッシュが導入される。これにより「GTK 2」バージョンの「GIMP」と比べ操作性が大きく向上する。また、APIの多くが拡充され、プラグインを用いた「GIMP」の拡張も容易になる。スクリプトの「Python 2」依存は削除され、代わりに「Python 3」「JavaScript」「Lua」「Vala」などが利用できるようになるようだ。それぞれのバインディング言語でプラグインを作成するデモ「Goat exercise」では、実際に異なる言語で1つの処理を行う様子を確認できる。

それぞれのバインディング言語でプラグインを作成するデモ「Goat exercise」

 「GIMP 2.99.2」をWindowsで利用したい場合は、開発版のダウンロードページからインストーラーが入手できる。Linux環境であれば“Flathub”からFlatpackパッケージをダウンロードしてインストール可能だ。なお、Mac版の公式パッケージは残念ながら用意されていない。パッケージメンテナーに名乗りを上げる人が望まれる。

 「GIMP」は、オープンソースの画像編集・処理ソフト。Windows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在同プロジェクトの公式サイトからダウンロード可能。Windows向け正式版はWindows 7以降に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。

ソフトウェア情報

「GIMP for Windows」
【著作権者】
Spencer Kimball, Peter Mattis and the GIMP Development Team
【対応OS】
Windows 7以降(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
2.10.2(20/10/07)