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フリーの画像編集ソフト「GIMP 2.10.28」 ~Windows版で多くの改善、積年の課題を解消

Mac版も改善されたが、依然人材不足

「GIMP」v2.10.28

 フリーの画像編集ソフト「GIMP」の最新安定版v2.10.28が、9月18日に公開された。次期メジャーバージョン「GIMP 3.0」の開発に注力しているため、本バージョンは不具合への対処が中心のマイナーアップデート。「GIMP 2.10.26」はリリースタグをつけた直後にビルドバグが発覚したため、スキップされている。

 最近の「GIMP」では、アプリ本体や依存する外部ライブラリでWindows環境に関わる作業工数を増やしているとのこと。そのおかげで、Windows版「GIMP」で積年の課題とされてきた不具合がいくつか解消されているという。

  • ファイルダイアログが非常に遅い:ドライブ情報を取得する処理で「GLib」が不適切なWindows APIを利用していたことが原因だったが、これは解消された
  • 特定のサードパーティ製ソフトウェアでファイルを開くと「GIMP」がクラッシュすることがある:「GLib」のレジストリ監視処理の不具合を修正して解決
  • 「GTK」のキーボード入力が誤った文字を出力する:たとえば日本語IMEで入力した場合に英数字が半角カタカナと解釈されていたが、修正された
  • TIFFのエクスポートでファイルがロックされる:Windowsの「エクスプローラー」のサムネイル処理に起因するが、Microsoftに修正する気がないようなので、TIFF仕様での提案に従いサムネイルの作成方法を変更
  • 特定のディレクトリを監視する際、アプリが開けなくなる:「GLib」が不適切なアクセス権限でディレクトリを読み込むことが原因で、「GIMP 2.10.24」で解決済み
  • 不可視ウィンドウを持つWindowsアプリと「GTK」の互換性問題:2017年から独自パッチで対処していたが、「GTK3」で公式に修正される

 また、macOS版パッケージも改善された。「GIMP 2.10.22」で「macOS Big Sur」向けの性能改善が実験的に導入されていたが、これが適用されている。ただし、Mac版は相変わらず人的リソースが足りないとのことで、実際「GIMP 3.0」の開発ビルド(v2.99.x)はいまだに1つもリリースされていない。意欲ある貢献者の登場が待たれる。

 そのほかにも、「GEGL 0.4.32」「Babl 0.1.88」への更新やプラグインの修正、アクセシビリティの改善などがおこなわれたとのこと。

 「GIMP」は、オープンソースの画像編集・処理ソフト。Windows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在同プロジェクトの公式サイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 7以降に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。

ソフトウェア情報

「GIMP for Windows」
【著作権者】
Spencer Kimball、Peter Mattis and the GIMP Development Team
【対応OS】
Windows 7以降(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
2.10.28(21/09/18)