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Epic Games、「Unreal Engine 5」をリリース ~新世代リアルタイム3D開発プラットフォーム
「The Matrix Awakens」の都市シーンサンプルなども提供
2022年4月6日 17:58
米Epic Gamesは4月6日(日本時間)、「Unreal Engine 5」をリリースした。次世代の名にふさわしい高忠実度なリアルタイムレンダリングと、これまで大規模なチームでしかなしえなかった品質を中小規模チームでも実現できるハードルの低さを目標に開発されており、「PlayStation 5」や「Xbox Series X/S」といった最新の家庭用ゲーム機のポテンシャルを引き出せる。
「Unreal Engine 5」の核を担うのは、「Lumen」と「Nanite」という2つの革新的技術だ。
「Lumen」は直接光・反射光などを緻密に計算・合成し、開発者に代わってリアルな光の表現を行うソリューション。時間の経過に伴う自然光の移ろい、懐中電灯の点灯で照らされる部屋の中、ドアの開閉で変わる室内の明るさなどにも比較的簡単に対応できる。
一方、「Nanite」は「仮想化マイクロポリゴンジオメトリ」のためのソリューション。簡単に言うと、従来では到底扱いきれない映画品質の重いアセットを「Unreal Engine 5」が見た目の忠実度を損なうことなく間引き、リアルタイムレンダリングのフレームレートを維持する技術だ。開発者は品質とレンダリング速度のバランスに頭を悩ませる必要がなくなる。
そのほかにも、「Lumen」と「Nanite」がうまく連携するように特別に設計された仮想シャドウマップ(VSM)、高解像度でレンダリングされたフレームと変わらない忠実度を従来よりもはるかに低解像度で実現するTemporal Super Resolution(TSR)といった技術により、品質を維持しながらより高いレンダリングパフォーマンスを発揮できるようになる。新しいオープンワールドツールセット、ビルトインされたキャラクター・アニメーションツール、エディターUIとワークフローの強化により、開発効率も大きく向上しているという。
また、サンプルゲームプロジェクト「Lyra Starter Game」やデモゲーム「The Matrix Awakens」の都市シーンがどのようにして開発されたのかを垣間見られる「City サンプル」、開発者コミュニティ「Epic Developer Community」なども併せて発表されている。
「Unreal Engine 5」は現在、「Epic Games Launcher」から無償でダウンロード可能。粗収入が100万米ドルを達成するまでロイヤリティは免除される。推奨動作環境は以下の通り。
- Windows 10 64-bit、Quad-core IntelまたはAMD、2.5 GHzまたはそれ以上のプロセッサー、8GBのRAM
- macOS Big Sur、Quad-core Intel、2.5GHzまたはそれ以上のプロセッサー、8GBのRAM
- Ubuntu 18.04、Quad-core IntelまたはAMD、2.5 GHzまたはそれ以上のプロセッサー、32GBのRAM
基本的なハードウェア要件は「Unreal Engine 4」と変わらないが、新機能の中にはハイエンドなハードウェアを要求するものもある。
なお、「Unreal Engine 5」は前方互換性を持つようにデザインされているため、現行の「Unreal Engine 4」から比較的容易に移行できるとのこと。たとえば同社の人気ゲーム「フォートナイト」は「Unreal Engine 4」で開発されていたが、現在は「Unreal Engine 5」への移行が完了している。