石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
無料で毎週1本はPCゲームがもらえる!「フォートナイト」や「フォールガイズ」の配信スタンド「Epic Games Store」
2022年7月22日 11:00
「Fortnite」や「Fall Guys」を有するEpic Gamesのゲーム配信スタンド
前回紹介した「Fall Guys(フォールガイズ)」をPCにインストールすると、ゲーム配信スタンドアプリ「Epic Games Store」も一緒にインストールされる。
ゲーム配信スタンドとは、ゲームをオンラインでダウンロード販売・提供するサービスのこと。ゲーム配信というと、昨今はゲームの実況プレイを連想してしまうようで、Googleで「ゲーム配信スタンド」や「ゲーム配信プラットフォーム」と検索しても、動画配信のことしか出てこないのに驚いた……というのは横に置いといて。
PCゲームの配信スタンドとしては「Steam」が有名。ほかにも「Xbox(Microsoft Store)」や「Origin」、「Ubisoft Store」など、海外の大手ゲーム会社が提供するものがいくつもある。コンシューマーゲーム機が優勢な日本国内ではPCは目立たないが、「My Nintendo Store」や「PlayStation Store」も、各プラットフォームでの配信スタンドである。
「Epic Games Store」を運営するEpic Gamesは米国のゲーム会社で、「Fortnite(フォートナイト)」や「Gears of War」といった作品を手掛ける。ゲーム業界においては、ゲームエンジン(ゲーム開発プラットフォーム)の「Unreal Engine」を提供することでも知られ、今日では多数のゲーム作品が「Unreal Engine」で制作されている。また一般には2020年に「Fortnite」のApp Storeにおける手数料問題でAppleに訴訟を起こしたことで知名度が上がった。
有名タイトルや日本のゲームも、毎週1本は無料でもらえる!
話を本題の「Epic Games Store」に移そう。ここには「Fortnite」などのEpic Gamesが手掛けるタイトルのほか、「原神」、「Grand Theft Auto」、「Battlefield」といった他社の有名タイトルも売られている。日本からも「ファイナルファンタジー」や「キングダム ハーツ」シリーズなどのスクウェア・エニックスなど、いくつかの企業が参加している。
欲しいゲームを選んでお金を払えば、ダウンロードしてすぐにプレイできる。購入したゲームはライブラリに登録され、いつでもインストールやゲームの起動ができる……というのはゲーム配信スタンドとして当然の機能だ。
「Epic Games Store」の最大の特徴は、毎週1本以上の無料ゲームが提供されるところ。無料といっても「Fortnite」や「Fall Guys」のように元々無料のものではなく、ちょっと遊んで終わるような軽いものでもない。「Epic Games Store」で有料販売されているタイトルが、毎週1本は100%オフ、つまり無料で提供される。
どのタイトルが無料で提供されるかは、基本的に無料になる1週間前に「Epic Games Store」で明かされる。無料提供期間はそれぞれ1週間で、期間が終わればまた通常価格に戻る。過去には2週間にわたって、毎日1本ずつ日替わりで無料公開されたこともある。
「そんなに大したゲームはないんでしょ?」と思われるかもしれないが、そんなことはない。過去に無料化されたものでは、筆者が大好きな「Frostpunk」や「Cities: Skylines」もあった。また「ソニックマニア」や「仁王 Complete Edition」、「シェンムーIII」といった日本のゲームも無料化されたことがある。
この無料ゲームのポイントは、購入してもすぐさまインストールする必要はないというところ。100%オフで購入手続きをすると、ライブラリに登録されて購入済みのステータスになる。当該ソフトの無料化が終わった後も、好きなタイミングでダウンロードしてプレイできる(ゲーム自体の提供が終わらない限りは)。
なので「Epic Games Store」を1週間に1回は起動して、無料化されたゲームを100%オフで購入しておく、というのがルーティンになる。ストレージを圧迫することもなく、ただ「Epic Games Store」のライブラリに購入済みステータスのゲームが増えていく。私のライブラリを数えてみたら、100本を超えていた(全てが無料のゲームというわけではないが)。
背景にはゲーム配信スタンドの覇権争いが?
なぜ毎週1本以上というハイペースでゲームが無料化されるのか、正確な理由が明かされているわけではないが、想像はできる。
1つは、古くなったゲームの掘り起こしだ。放置すれば今後何本も売れそうにないゲームも、無料化によって話題になれば、それを聞いて興味を持ち、購入してくれる人が出てくるかもしれない。それなら無料化が1週間というのも納得できる。
また追加のダウンロードコンテンツを売るためと見えるゲームもある。例えば、都市開発シミュレーションの「Cities: Skylines」には、後から要素を追加できるダウンロードコンテンツ(DLC)が相当数あるが、無料化で入手できたのはゲーム本体のみ。遊んでいるうちにあれこれ物足りなくなって、DLCが欲しくなるのは必然だ。
あとは「Steam」を始めとした他のゲーム配信スタンドとのシェア争い。同じゲームが様々な配信スタンドから提供されていることもあり、配信スタンド運営側としては「ぜひともうちで買って」と言いたいだろう。
しかしユーザーとしては、配信スタンドをいくつも使えば「あのゲームはどこで買ったっけ?」と管理が煩雑になるので、なるべく少数に収めたい。「Steam」が優勢な要因の1つだが、他社も指をくわえて見ているわけにもいかない。「Epic Games Store」を使ってもらうための大胆な施策が、ゲームの無料化とも考えられる。
というわけで、「ゲームが無料だなんて怪しい」と思う必要はなく、堂々と無料ゲームを獲得していけばいい。もちろんメールアドレスや(無料とはいえ)購入履歴は取られるので、そこは許容するという前提だが。
ただし、注意点もいくつかある。まず「Epic Games Store」で提供されているゲームは、全てが日本語化されているとは限らない。無料化されるゲームの中にも、日本語が含まれないものは結構ある。有名なゲームであれば、有志による日本語化パッチがあったりもするので、一般的な洋ゲーと同様の対処が必要になる。
また無料化されるゲームの中には、18歳以上向けとされるものもある。当該ゲームのストアページを開こうとすると警告画面が出るので、うっかり購入してしまうことはないと思うが、未成年の利用時には注意が必要だ。そうでなくとも、FPSでゾンビ大好きな欧米のゲームが多数派なので、血しぶき増し増しなゲームは比較的多い。
あと注意点というか改善要望点なのだが、「Epic Games Store」アプリの動作が結構重い。常にGPUの処理を使っているようで、高性能なゲーミングPCであればそれほど気にならないが、CPU内蔵グラフィックスを使うようなPCでは動作がもたつくことがある。現状どうしようもないので、そういうものだと思って使っていただきたい。
「Fall Guys」が無料で提供される意味がわからないという人もいると思うが、「Epic Games Store」の専属タイトルとして、客引きに使われているという側面もあるとわかる。ゲーム業界も大変だなと思ったら、無料ゲームの利用料金のつもりで、別のゲームなりDLCなりを購入して還元していく意識を持っていただければと思う。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/