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「Google Chrome 102」はタイトルバーに検索ボックスを配置したPWAも可能 ~ベータ版が公開
Webアプリの使い勝手向上やユーザーのプライバシー保護につながる機能強化が多数
2022年5月16日 16:58
米Googleは4月28日(現地時間)、「Google Chrome 102」のベータ版に追加された新機能と変更点を発表した。「Chrome 102」の目玉は、デスクトップ環境にインストールされたプログレッシブ Web アプリ(PWA)のタイトルバーを開発者側でコントロールできるようになったことだ。
Window Controls Overlay for Installed Desktop Web Apps
「Window Controls Overlay」は、アプリのクライアント領域(OSではなくアプリが管理するエリア)をウィンドウ全体に拡張する仕組みで、タイトルバーや閉じる・最大化・最小化ボタンといった領域を開発者がカスタマイズし、独自のボタンを設置したり、検索ボックスをできる。「Chrome 93」からテストが続けられていたが、ようやく一般に利用できるようになる。
PWAアプリには「単にWebページをアプリウィンドウの中に表示しただけ」という印象が強いが、タイトルバーに工夫が凝らされたPWAが増えればそれも印象も払拭されるだろう。
「Origin Trials」テストを卒業した機能
加えて、「Chrome 102」では以下の機能が「Origin Trials」テストを卒業し、既定で有効化される。
- Capture Handle:動画キャプチャーのメカニズムが新しくなり、プレゼンテーションのキャプチャーをミーティングで利用するといった連携が可能に
- Network State Partitioning:ネットワーク状態から個人を特定・追跡する技術からユーザーを守るため、情報を分けて管理
- Speculation Rules:あとで利用する可能性の高いリソースを前もって取得する「投機的」(Speculation)読み込みのルールを記述。追加の機能拡張も考慮した柔軟な構文になっている
- Subresource loading with Web Bundles:複数のリソースをバンドル(ひとまとめ)にして効率的に読み込む仕組み
その他の機能
そのほかにも、以下の機能が導入されるとのこと。
- File Handlers Web App Manifest Member:特定のMIMEタイプと拡張子を持つファイルを開いたときの処理をマニフェストに定義。ファイルが開かれると、アプリケーションはイベントを受け取る
- inert Attribute:DOMツリーの一部を「不活性」としてマークする属性
- Local Font Access:システムにインストールされたフォントを用いてレンダリング
- Navigation API:主にSPA(単一ページアプリ)のナビゲーションを改善するAPI
- New until-found Value for the hidden Attribute:普段は隠されているが、検索やスクロールされると現れる「hidden="until-found"」
- Origin Private File System extension: AccessHandle:オリジンプライベートなファイルシステムに関する拡張。ファイルのコンテンツへのインプレースおよび排他的な書き込みアクセスを提供する
- Private Network Access Preflight Requests for Subresources:プライベートネットワークデバイスに対するクロスサイトリクエストフォージェリ攻撃のリスクを軽減する変更
- Secure Payment Confirmation API Changes:3つのAPI変更を導入
- WebHID exclusionFilters Option in requestDevice():「HID.requestDevice()」に渡せるオプションオブジェクトに「exclusionFilters」プロパティが含まれるように
また、ユーザーアクティベーションなしで「PaymentRequest.show()」を呼び出すことなどが非推奨となり、将来バージョンで削除される。
「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Androidなどに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10/11で利用できる。