ニュース

JAXAが世界初のピンポイント月面着陸プロジェクト「SLIM」をゲーム化

月面の狙った場所へ正確に、最小の燃料消費で到達する困難なミッションを再現

「SLIM : THE PINPOINT MOON LANDING GAME」

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月19日、月面着陸プロジェクト「SLIM」のミッションを体験できる小学高学年~中学生向けゲーム「SLIM : THE PINPOINT MOON LANDING GAME」を公開した。現在JAXAの運営するWebサイト「宇宙教育センター」でプレイできる。

 「SLIM」(Smart Lander for Investigating Moon)は、JAXAが挑戦する世界初のピンポイント月面着陸プロジェクト。これまで目標地点10km圏内で着陸しやすい場所を選び行っていた月面着陸を、目標地点100m圏内に絞ることを目指している。また、月周回衛星「かぐや」(SELENE)が撮影した画像で判明した、表面にマントル由来と考えられる物質が露出している地点に着陸し、観測するミッションも行う。

 「SLIM : THE PINPOINT MOON LANDING GAME」は、プロジェクトの中核を担う小型探査機「SLIM」が地球の周りを回っている状態から始まり、ピンポイントで月面に着陸するまでを3つのミニゲームで再現。各ミニゲームで燃料を節約するほど高評価が与えられる。

 最初のミニゲームは、地球の周回軌道上から燃料を噴出して月の周回軌道へ移るミッションを再現したタイミングゲーム。ただ月軌道へ移るだけであれば簡単だが、燃料を節約するにはスイングバイ(惑星の引力と交点の力を利用して加速する技術)を使えるタイミングをはかる必要がある。

地球の周回軌道を離脱
月へのスイングバイ軌道へ

 2つ目のミニゲームは、月周回軌道から月面を観測し、目的の着陸地点を探すミッションを再現。目標地点の画像と同じ地点を横スクロールする月面の画像から探す。3つ目は月面へ探査機を着陸させるランディングゲームになっている。

目的の着陸地点を探す
月面へ降下
安全な場所へ軟着陸

 ゲーム開始時や各ミニゲームの合間にはミッションの意義が説明され、「SLIM」の目指す成果や実際に「SLIM」が行うオペレーションが学習できるようになっている。子供はもちろん、大人の息抜きとして宇宙へのロマンを感じてみてはいかがだろうか。

ゲーム開始時や各ミニゲームの合間にはミッションの意義が説明される

 ちなみに、「SLIM」のプロジェクトサイトの「サイエンス」ページでは「SLIM」探査機の3Dモデル(GLB形式)もダウンロード可能だ。

「SLIM」探査機の3Dモデル