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「Google Chrome 115」が正式公開 ~Topics APIが導入、スクロールアニメ効果の実装も容易に

脆弱性の修正は20件

「Google Chrome」v115.0.5790.98/99がWindows環境に

 米Googleは7月18日(現地時間)、デスクトップ向け「Google Chrome」の安定(Stable)チャネルをアップデートした。Windows環境にはv115.0.5790.98/99が、Mac/Linux環境にはv115.0.5790.98が順次展開される。

 「Chrome 115」では、サードパーティCookie排除に向けた施策の一環として「Topics」と呼ばれるAPIが導入された。同社は、無料サービスを維持するための収益源として重要なターゲティング広告と、ユーザーのプライバシー保護・広告のコントロール性向上を両立させるために「プライバシーサンド ボックス」という仕組みを提案しているが、「Topics」はそれを支えるAPIの1つだ。

 機能面では、「Scroll-driven animations」と「Fenced frames」の導入に注目したい。

 「Scroll-driven animations」は、スクロールに応じてアニメーションするタイプのデザインをHTML/CSSだけで実現する標準仕様。パララックス(視差)背景画面やリーディングインジケーター、表示されるときにフェードインする要素などを手軽に実現できる。

「Scroll-driven animations」の例
リーディングインジケーターをHTML/CSSだけで実現

 「Fenced frames」は従来からある「iframe」とよく似ており、他のサイト(サードパーティ)のコンテンツを自分のWebサイト(ファーストパーティー)に埋め込むことができる。しかし、サードパーティーとの通信は制限されており、ファーストパーティーからデータを盗み出すことはできない。

「Fenced frames」の概念

 この仕組みはプライバシーを保護しながらインタレストベース広告を配信したり、パーティション分割されていないクロスサイトデータへ安全にアクセスするといった用途に役立つことが期待されている。

 そのほかにも、以下の機能がデフォルトで有効化された。

  • 8MB Limit for WebAssembly.Module() on the Main Thread
  • Boolean Context Style Container Queries
  • 'display' property with multiple values
  • FedCM: Support Credential Management Mediation Requirements for Auto Re-authentication
  • First-party sets
  • HTTPS Upgrades
  • Partitioning Storage, Service Workers, and Communication APIs
  • Permissions-Policy: unload
  • Private Aggregation API
  • Protected audience API (formerly FLEDGE)
  • requestStorageAccessFor
  • Resource Timing: Expose interim response times
  • Shared Storage API
  • Skip service worker no-op fetch handler
  • Storage Access API
  • Update of "xml" prefix handling in lookupNamespaceURI() and createNSResolver()
  • VisibilityStateEntry
  • WebDriver commands for interacting with FedCM dialogs
  • WebHID in Extension Service Workers
  • WGSLLanguageFeatures for WebGPU

 一方で「document.domain」のセッターなどが非推奨とされている。

 なお、セキュリティ関連の修正は全20件。そのうちCVE番号が公開されている脆弱性は11件で、深刻度の内訳は「High」が4件、「Medium」が6件、「Low」が1件となっている。また、内部監査やファジングで発見された不具合も修正されているとのこと。

 デスクトップ向け「Google Chrome」はWindows/Mac/Linuxに対応しており、現在、同社のWebサイトから無償でダウンロード可能。すでにインストールされている場合は自動で更新されるが、設定画面(chrome://settings/help)にアクセスすれば手動でアップデートすることもできる。