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無料・無制限でGPT-4を使える「リートン」は生成AIのメガプラットフォームを目指す!

「リートンテクノロジーズメディアデイ 2024」を開催

3月27日、「リートンテクノロジーズメディアデイ 2024」が開催された。

 無料・無制限で「GPT-4 turbo」を使えるコンテンツ生成プラットフォーム「リートン」を提供するリートンテクノロジーズジャパンは3月27日、「リートンテクノロジーズメディアデイ 2024」を開催した。「リートン」のリブランディングや今後についての発表、MOU(基本合意書)を締結したStability AI Japanのジェリー・チー氏やMicrosoft Japanの小田健太郎氏のゲストスピーチも行われた。

Stability AI JapanとMicrosoft Japanと協業して日本市場に本気で進出

 最初に登壇したリートンテクノロジーズ代表のイ・セヨン(李世榮)氏は、「昨年は忘れられない生成元年になった」と語った。同社はChatGPTが世に出る前からGPTを利用したAIサービスを開発しており、CES 2023では生成AIサービスとしては初となる革新賞を受賞している。シリーズAの資金調達も完了しており、韓国におけるユーザー数は200万人(2023年時点)を突破。韓国の生成AI業界を代表するリーディングカンパニーとなっている。

リートンテクノロジーズ代表のイ・セヨン氏。

「幼い頃からソフトバンク社の孫正義さんを見て、企業家になる夢を育てきました。孫氏の「孫の二乗の兵法」は、今も私の経営哲学として定着しております。当時から私は日本と韓国はひとつの市場だと考えており、このような考え方からリートンチームの初期メンバーと共に2022年には京都を訪問し、リートンの原型となる生成AIサービスを作り始めました」(イ・セヨン氏)

 現在、リートンのユーザー数は300万人に到達し、韓国のAppStoreでは1位にランクイン。「Bring AGI Close to People.Your first agent.(人々にAGI<汎用人工知能>をもっと身近に、あなたの最初のエージェント)」というミッションの元、誰もが生成AIの価値を感じて日常と業務に活用することを目指すという。その一環として、3月28日から全ユーザーにGPT-4 turboを完全無料・無制限で公開した。

「私を含むリートンチームは本気です。どの企業よりも、日本市場に本気です。今後の日本での成長で、この気持ちを証明したいと思っております」とイ・セヨン氏はアピールした。

リートンでGPT-4 Turboを完全無料・無制限で使えるようになった。

 続いて、Stability AI Japanの代表 ジェリー・チー氏が登壇した。Stability AIは「人類の可能性を活性化するための基盤を築くこと」というミッションを掲げ、人類の可能性を広げるビルディングブロックとして生成AIをオープンに提供している。「Stable Diffusion」をはじめとする画像生成AIのイメージが強いが、実はマルチモーダルで複数のモデルを提供し、言語モデルや動画生成、3D生成など、色々な領域を手掛けている。

 2023年1月には日本支社を立ち上げ、国内外のチームが様々なグローバル市場向けの生成モデルや日本特化のモデルなどを作っており、「Stable Diffusion XL」は「2023年度グッドデザイン・ベスト100」を受賞している。

Stability AI Japan 代表 ジェリー・チー氏。

「リートンさんは本当に期待してるパートナーで、既に弊社の複数のモデル、例えば「Stable Diffusion XL」や日本特化の「Japanese Stable Diffusion XL」もたくさん使われています。今後はどんどん「Stable Diffusion 3」など他のモデルもリートンのプラットフォームで提供していきたいですし、他の協業の仕方も模索していきたいと思っており、今すごく楽しみにしております」(ジェリー・チー氏)

1月31日にリートンテクノロジーズジャパンとの協業を発表した。

 もう一人のゲストスピーカーはMicrosoft Azure ビジネス本部 GTM マネージャーの小田健太郎氏。現在はグローバルアジアチームに所属し、コアプロダクト「Azure AI」の日本、韓国におけるGTM戦略をリードしている。

Microsoft Azure ビジネス本部 GTM マネージャー 小田健太郎氏。

「日本市場と韓国市場はビジネスの商習慣やクラウドプラットフォーマーのマーケットなど、非常に似てる点があります。この2カ国を担当している身としては、今回、リートンテクノロジーズ様が進出する機会を、ご支援できることを非常に光栄に思っております」(小田氏)

 「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションステートメントの元に、Microsoftも生成AIにはとても力を入れており、ほぼすべてのMicrosoft製品に生成AIを組み込んでいくという。

「マイクロソフトジャパンとリートンテクノロジーズジャパンとのパートナーシップも拡大し、主にAzure OpenAI Serviceを使った大規模利用と技術支援を行っています。大規模で利用する場合、PTU(プロビジョニング スループット ユニット)をご購入いただき、これにより安定したパフォーマンスを提供させていただいて、アプリケーションおよびサービスを日本市場に迅速に届けていく、タイム・トゥ・マーケットを短くしていくところのご支援をさせていただく予定になっています」(小田氏)

日本におけるマーケット開拓として、プロンプトソンなどを共同開催したりしている

2023年に日本支社を設立、ハイペースでユーザー数を増やしている

 リートンテクノロジーズジャパンの2023年に行った活動について、ゼネラルマネージャーの増田良平氏が発表した。

リートンテクノロジーズジャパン ゼネラルマネージャー 増田良平氏。

「2023年1年間を通して一言で言うと、「本気」という漢字だと思っています。日本に対して本気だということです。リートンにとって、日本は単なる外国の1つのマーケットではありません。日本はリートンにとって最初の海外拠点です。そして、世界的な視野で見ると、割と似ている文化や歴史があります。こういった新しいテクノロジーを使って今後も一緒に成長しておけるのではないかと考えております」(増田氏)

 2023年11月の日本法人設立に当たって、東京都が実施している「金融機関等と連携した海外企業誘致促進事業」に選定された。韓国のスタートアップ企業では初の事例で、都内進出関連経費として東京都から最大で約4,500万円の支援を受けられる。

 事業も好調に拡大している。スタートアップは週次のユーザー獲得率が5~7%であればGood、それ以上であれば例外的だと言われているが、リートンは2023年11月から2024年3月まで週次で10%ずつアクティブユーザーが増えているという。

「教育の分野でも生成AIの利用を促進しています。私たちのサービスと教育プログラムを無償で様々な学校や官公庁、企業にご提供させていただいております。日本では、マイクロソフト様と一緒にAIで使うプロンプトとハッカソンを合わせたプロンプトソンを開催しています。今後もこういった取り組みを日本で行い、より多くの方に生成AIを活用していただきたいと考えています」(増田氏)

プロンプトソンを開催し、生成AIの活用を広める活動も行っている。

誰もが生成AIを使えるような機能を年内にリリース予定

 続いて、2024年の展開について、リートンテクノロジーズジャパン 取締役 キム・キハン(金起漢)氏が発表した。

リートンテクノロジーズジャパン 取締役 キム・キハン(金起漢)氏。

 これまでリートンは「みんなのAI」というスローガンを打ち出していたが、今回リブランディングを行い、「Your First AI」というメッセージになっている。コーポレートカラーもインスパイアレッドに変更された。

ロゴや色調、スローガンなどをリブランディングした。

 プラットフォーム事業を手掛けているが、ここからメガプラットフォームを目指していくという。まずは、完全無料化を継続して提供していく。これまでも色々なLLMを提供してきたが、1度も有料で提供したことはないという。ユーザー数を集め、その基盤の上で新しいビジネスを展開していくことを目指しているためだ。例えば他の企業とパートナーと組み、新たな付加価値を作り出すことがビジネスモデルとなっている。

 リートンは複数のLLMを提供しており、AIに知見がある人であれば自分で選んで活用することができる。それぞれのLLMには特徴があり、例えばGPT-4は対話への参加度が高く適応性が高いものの、共感や完結性はClaude 3の方が優れているという。しかし、一般ユーザーだと、どのモデルをどう使えばいいのか判断するのが難しい。現在はユーザーが選んでいるが、今後は言語学をベースにして各ユーザーのニーズに合わせた適切なモデルを選ぶAIを開発する予定だという。

 例えば、2023年開催されたWBCの開催地を質問するとGPT-4を使うのが最適だと判断して情報を生成するが、ユーザーに寄り添った文章にするために生成した情報をClaude 3に渡して仕上げるといったこともできるという。

LLMの特徴を可視化した図。
リートンのAIで複数のLLMを組み合わせて効果的に活用できるようになる。

「ひとつの環境でAIアプリを提供するために、もちろん弊社が開発するアプリも提供しますが、弊社の力だけでは足りません。各個人や企業様がアプリも開発する環境も提供していきたいと思っています。(アプリ開発環境の)「リートンスタジオ2.0」を公開していますが、より改善されたものを年内に公開していこうと思っています」(キム・キハン氏)

生成AIを利用するアプリを構築できるリートンスタジオをアップデートする予定。

 現時点ではビジネスモデルを模索しつつも、日本市場のユーザーを増やすことに注力するという。それぞれのプレゼンからリートンの「本気」が伝わってきた。今後の展開にも注目したい。