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次世代動画コーデック「VVC」のネイティブデコーダーを搭載した「FFmpeg 7.0」

予定より少し遅れての年次メジャーアップデート

「FFmpeg 7.0」が公開

 The FFmpeg projectは4月5日、「FFmpeg 7.0」(コードネーム:Dijkstra)を公開した。2023年3月以来の年次メジャーアップデートとなる。

 「FFmpeg」は、音声・動画ファイルのフォーマットを変換するツールやライブラリから構成されるオープンソースのマルチメディアフレームワーク。「Google Chrome」や「MPlayer」、「VLC media player」といったオーディオ・ビデオを扱うさまざまなソフトで利用されている。ライセンスは「GNU Lesser General Public License version 2.1」およびそれ以降(LGPL v2.1+)。

 「FFmpeg 7.0」でもっとも注目すべき変更点は、ネイティブの「VVC」デコーダーを搭載したことだ。「H.266/VVC」(Versatile Video Coding)は次世代放送・映像配信のために標準化された動画圧縮形式で、「H.264/AVC」や「H.265/HEVC」よりも高い圧縮率を誇るという。

 「FFmpeg」に搭載されるネイティブ「VVC」デコーダーはまだ実験段階で、今後はファジング(問題を起こしそうなデータを送り、その挙動から不具合を検出するテスト手法)で完成度の向上が図られる。

 そのほかにも、動画形式「AV1」で知られるAOMediaがロイヤリティーフリーで提供するオーディオコンテナー仕様「IAMF」をサポート。CLIツールのマルチスレッド化が進められた。フォーマットやコーデック対応の拡充、新しいフィルターやAPIの追加、不具合の修正なども行われている。セキュリティ修正も含まれているので、できるだけ早いアップグレードが望ましい。

 なお、このリリースは後方互換性がなく、v6.0より前に非推奨となったAPIが削除されているので注意したい。とくに古いビットマスクベースのチャンネルレイアウトAPIが削除され、「AVChannelLayout API」に置き換わったことは影響が大きそうだ。また、一部の非推奨のCLIオプションも削除され、コードをビルドするにはC11準拠のコンパイラが必要となった。