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「Delphi 13.1」は「Arm64EC」をサポート ~ARM64へ移行するための架け橋となる技術

既存資産が多く、長期運用される「Delphi」アプリにはうってつけ

同社の公式ブログ

 「Windows on Arm」時代の到来に備え、今年3月にリリースされた「Delphi 13.1」では「Arm64EC」がサポートされているとのこと。米Embarcaderoの日本サポートチームが4月22日(日本時間)、公式ブログでその意義を開設している。

 「Arm64EC」(ARM64 Emulation Compatible)は、ARM CPUを搭載するWindows 11デバイス向けに設計された新しいアプリケーションバイナリインターフェイス(ABI)。このABIに準拠していれば、ARM64バイナリとx64バイナリを接続することができる。

 つまり、「Arm64EC」ならばアプリ本体をARM64ネイティブビルドし、x64の既存プラグインを利用するといったことも可能。段階的にアプリをARM64へ対応させたい場合に適しており、実際「Microsoft Office」などでも採用されている。

「タスク マネージャー」でアーキテクチャーが「ARM64(x64 互換)」となっているのが「Arm64EC」対応アプリだ

 同社によると、WindowsプラットフォームにおけるARMデバイスのシェアはまだ少ないが、AIを活用した「Copilot+ PC」の登場、「Snapdragon X」シリーズによるCPU性能の向上により、ARMへのシフトが見られるという。とくにノートPC市場では、バッテリー持続時間の改善の面から、低消費電力デバイスのニーズが高い。「Snapdragon X」シリーズはAIプロセッサー「NPU」を搭載しており、AI処理との相性がよく、将来的にはARMデバイスが大きくシェアを伸ばす可能性もある。

 とはいえ、x64のライブラリやコンポーネントに依存するWindowsアプリはまだまだ多い。それらすべてをそのままARMネイティブに移行するのは非現実的といえる。とくに「Delphi」で開発されたアプリは歴史が長く、既存のx64資産を多く抱えているものが少なくない。『既存資産を活かす開発スタイル』、『長期運用される業務アプリ』がより重視される傾向にある。

 そこで注目したいのが「Arm64EC」だ。「Arm64EC」を活用すれば、アプリ本体をARMへ移行させつつ、既存の資産を活用できる。互換性を損なうことなくARMデバイスに対応させ、そのパフォーマンスを引き出すことができる。

 「Arm64EC」にはまだいくつかの制約があり、無条件でプロジェクトへ導入すべき段階ではない。しかし、今後を見据えれば「Arm64EC」への対応が必要となる可能性が高い。今すぐ使わなくても理解しておく価値が高い技術といえるだろう。