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「Wine 10.0」がリリース ~「ARM64EC」と高DPIスケーリングに対応
Linux環境などでWindowsのGUIアプリケーションを直接実行できる互換レイヤー
2025年1月22日 10:01
「Wine」の最新版「Wine 10.0」が、1月21日に公開された。毎年1回実施されているメジャーバージョンアップとなる。
「Wine」(「Wine Is Not an Emulator」の頭文字とされる)は、Linux環境やMac環境などでWindowsのGUIアプリケーションを直接実行できる互換レイヤー。仮想マシンやエミュレーターのようにWindowsの内部ロジックをシミュレートするのではなく、WindowsのAPIコールをPOSIXコールにオンザフライで変換するため、パフォーマンスやメモリーのペナルティが少ないのが特徴。人気のWindowsアプリケーションをLinuxデスクトップへきれいに統合できる。ライセンスは「LGPLv2.1」。
今回リリースされた「Wine 10.0」には、この1年間に寄せられた6,000以上もの変更が反映された。「ARM64EC」アーキテクチャーと高DPIスケーリングのサポートが目玉だ。
「ARM64EC」(Emulation Compatible)は、Arm版Windows 11に搭載されているアプリケーションバイナリインターフェイス(ABI)。一般のARM64 ABIとは若干異なり、x64コードとバイナリ互換性があり、呼び出し規則、スタックの使用法、データの配置などはx64の規約に従っている。
そのため、同一のアプリにx64コードとARM64を混在させることが可能で、まだARMをサポートしていないライブラリやプラグインが含まれていても、ARM64デバイス上でアプリをネイティブに近い速度で動作させられるのが魅力。「Microsoft Office」などでも活用されている。