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「Wine 9.0」がリリース ~新しい「WoW64」モードを導入、IME対応も改善へ

実験的な「Wayland」グラフィックドライバーも追加

「Wine」の公式サイト

 「Wine」の最新版「Wine 9.0」が、1月24日に公開された。毎年1回実施されているメジャーバージョンアップとなる。

 「Wine」(「Wine Is Not an Emulator」の頭文字とされる)は、Linux環境やMac環境などでWindowsのGUIアプリケーションを直接実行できる互換レイヤー。仮想マシンやエミュレーターのようにWindowsの内部ロジックをシミュレートするのではなく、WindowsのAPIコールをPOSIXコールにオンザフライで変換するため、パフォーマンスやメモリーのペナルティが少ないのが特徴。人気のWindowsアプリケーションをLinuxデスクトップへきれいに統合できる。ライセンスは「LGPLv2.1」。

 今回リリースされた「Wine 9.0」には、この1年間に寄せられた7,000以上もの変更が反映されている。主な変更は以下の通り。

  • 実験的な「Wayland」グラフィックドライバー(既定で無効)
  • 新しい「WoW64」モード(既定で無効)。16bitコードがサポートされない、「OpenGL」のパフォーマンス低下といった制限はあるが、64bit Unixインストールで32bitアプリを実行できるなどのメリットがある
  • PE/Unix分離の完了。既存のWindowsバイナリをARM64上で実行できるように
  • 「Vulkan」ドライバーが「Vulkan」仕様のバージョン1.3.272までをサポート
  • 多くの「GdiPlus」関数でグラフィックスパフォーマンスを向上させるための最適化が施される
  • Direct3D、DirectShow、DirectInput、オーディオ、ビデオでさまざまな改善
  • IMEの実装が改善され、ネイティブWindows IMEのサポートが向上
  • Unicode文字テーブルをUnicode Standardのバージョン15.1.0に
  • 各種バンドルライブラリの更新