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「Wine 6.0」が正式リリース ~「WineD3D」のための「Vulkan」レンダラーが実験的に実装

「Direct3D 9」や「Direct3D 11」で未対応だった機能の実装も進む

「Wine」の公式サイト

 POSIX準拠OSでWindowsアプリを実行するソフト「Wine」の最新版「Wine 6.0」が、1月14日に公開された。各種LinuxディストリビューションやmacOSなどに対応するオープンソースプロジェクトで、現在本ソフトの公式サイトから無償でダウンロードできる。

 「Wine」は、仮想マシンなどを使わず、Mac環境やLinux環境でWindowsアプリを直接実行できるようにするソフト。「Wine 2.0」からは毎年1回のメジャーバージョンアップが行われており、今回で5回目の年次リリースとなる。

 今回リリースされた「Wine 6.0」には、この1年間で実施された8,300件以上もの修正が含まれており、さまざまな機能の改善や強化が施された。

 たとえば「NTDLL」や「KERNEL32」、「GDI32」、「USER32」といったコアモジュールがPEフォーマットでビルドされるようになった。これはディスク上のDLLファイルがメモリ内の内容と一致しているかどうかをチェックするコピー保護スキームの多くに都合のいい仕様だ。UnixライブラリをPEモジュールに関連付ける新しいメカニズムも追加された。

 また、「WineD3D」のための「Vulkan」レンダラーが実験的に実装された。機能に制限はあるものの、「Direct3D 10」や「Direct3D 11」アプリケーションには有用だという。「Direct3D 9」や「Direct3D 11」で未対応だった機能の実装も進んでいる。

 マルチメディア関連では、「Media Foundation」への対応が完了したのが目玉。「AMStream」ライブラリや「DirectShow」ファイルライターフィルターも実装された。

 そのほかにも、テキストコンソールが最近のバージョンのWindowsのアーキテクチャーを利用して再実装。コンソールの処理がすべて「ConHost」プロセスで行われるようになり、VTエスケープシーケンスの処理にUnixの「curses」ライブラリが不要となった。