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「GIMP 3.4」に向けた開発は順調、改善点多数 ~XCFに代わる新しいプロジェクト形式やPSDのサポート強化など

非破壊編集の拡充やUIの改善も。間もなく「GIMP 3.3.2」で試せる

非破壊編集の拡充。レイヤーマスクにもフィルターをかけられるようになり、フィルターのポップオーバーはレイヤーとマスクの両方を一覧できる形に刷新された

 「GIMP」のメジャーバージョン「GIMP 3.4」に向けた開発は、順調に進んでいるようで、その成果が間もなく「GIMP 3.3.2」で試せるようになる見込み。「GIMP」開発チームは8月16日(現地時間、以下同)、最近の開発状況をまとめた記事「Development Update, August 2026」を公開している。

XCFに代わる新しいプロジェクトファイル形式

 「GIMP」は1997年から独自の「XCF」形式をプロジェクトファイルに採用してきたが、バイナリ形式であることもあり、巨大プロジェクトや多ページ構造、アニメーションなどへの対応に限界が見えていたという。

 そこで、「GIMP 3.4」ではXMLをZIP圧縮した新しいプロジェクトファイル形式が採用される見込み。この形式であれば、一部に変更があっても変更部分だけを更新すればよいため、ファイル全体を書き直さずに済む。保存処理の高速化が見込めるだけでなく、要望の多い自動保存への対応も現実味を帯びてくる。

 なお、XCF形式が廃止されるわけではない。これからも読み込みには対応し続けるという。

「MyPaint」ブラシが「Spectral Blending」に対応

 「GIMP」はペイントアプリ「MyPaint」のブラシにも対応しており、「GIMP 3.2」では「MyPaint」ブラシを扱うためのエンジンも新しくなっている。しかし、物理的な絵具の混色を再現する「Spectral Blending」には対応できないでいた。

 「GIMP 3.4」では、有志による貢献でこの「Spectral Blending」がサポートされる見込み。「MyPaint」ブラシのツールオプションで有効化すると、スライダーで混色の調整が行えるようになる。

 そのほかにも、「MyPaint」ブラシのプレビューが改善。従来は48×48ピクセルで表示していたものが原寸で表示されるようになり、大画面でプレビューがぼやける問題が解消される。

非破壊編集とPSD対応の強化

 非破壊編集では、レイヤーマスクへのフィルターがサポートされる。フィルターのポップオーバーも刷新され、レイヤーとレイヤーマスクの両方のフィルターを1つの画面で扱えるようになる。グラデーションツールも非破壊で使えるようになるとのこと。

PSDファイル内のテキストレイヤーが編集可能に

 また、「Photoshop」のファイル形式であるPSDのサポートも大きく前進した。有志によりTIFFやJPEGへPSDのメタデータを書き出す仕組みが開発され、パスを含むJPEGやレイヤーを含むTIFFを読み込んだ場合(あるいは「GIMP」で作成した場合)、その情報を保ったまま書き出せるようになる。

 さらに、「Descriptor」の読み込みもサポートされた。「GIMP」のPSD対応はAdobeが公開している仕様書に基づいているが、この文書は2019年を最後に更新されておらず、最近のPSDは仕様がほとんど公開されていない「Descriptor」というテキスト形式で多くの情報を格納しているという。これを読めるようになったことで、テキストレイヤーが編集可能になったほか、一部の調整レイヤーや最近のレイヤースタイルがGEGLの相当機能として現れ、単色の図形はベクターレイヤーとして読み込まれるようになった。

ネイティブのファイル選択ダイアログへ

 「GIMP」ではこれまで、GUIライブラリ「GTK」が提供する独自のファイル選択ダイアログが用いられてきた。しかし、これは「GNOME」以外の環境(WindowsやmacOS、「KDE」を使うLinux)では標準のダイアログと挙動が異なり、慣れないユーザーにとっては使いにくい。「GTK3」でUIが変わったこともあり、OSネイティブのファイル選択ダイアログを使ってほしいという意見が多く寄せられていたようだ。

 この問題への対応も、「GIMP 3.4」に向けて進められている。単純なダイアログの多くはすでに移行済み。機能の多いものはワークフローの再設計が必要となるが、開発は進んでいるという。

macOSでのネイティブファイル選択ダイアログの例

UI/UXの改善

 そのほかにも、ユーザーインターフェイスや細かい使い勝手が改善される。

  • レイヤーのロックアイコンの見た目を統一。78個あるカーソルアイコンもすべてSVG化。高解像度ディスプレイでも劣化なく拡大できる
  • キャンバスを回転させた状態での描画・ズームが重くなる問題を修正。透明部分を示す“市松模様”がキャンバスと一緒に回転しないようになり、動作が大幅に改善された
  • アクション検索のUIを刷新。対応するショートカットキーが見やすくなった
  • パターンドックの表示を改善。小さなパターンはタイル状に敷き詰めて表示されるように
  • キャンバス上のテキストエディターで[Shift]+クリックによる範囲選択が可能に
  • メタデータエディターの読み込み・書き出しをドロップダウンから2つのボタンへ変更

 なお、画像プラグインで報告された複数の潜在的なセキュリティ欠陥も、すでに対処されているという。

今後の予定

 開発版「GIMP 3.3.2」はロードマップの項目がいくつか未完了となっており、まだリリースされていない。リリースが待ちきれない場合は、ナイトリービルドで今回紹介した改善を試すことができる。

 一方、安定版の「GIMP 3.2.6」は数週間以内のリリースが予定されている。こちらは安定版なので今回紹介された新機能の多くは含まれないが、重要なバグ修正と細かな改善が盛り込まれるという。