レビュー
難易度の自動調節機能付きで30級から無理なく始められる囲碁AI「Leela」
候補手のヒートマップ表示や地合い・模様の可視化にも対応
2018年1月17日 12:09
「Leela」は、使いやすいグラフィカルユーザーインターフェイスを備える強力な囲碁AI。Windows/Mac/Linuxに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 10で動作を確認した。作者のWebサイトからダウンロードできる。
マルチプロセッサーとGPUアクセラレーションをサポートした囲碁AI。最近注目を浴びている深層学習(ディープラーニング)も取り入れており、ハードウェア構成によっては棋界最高位・九段の実力を凌駕するという。思考エンジンのみの配布に加え、GUI付きのインストーラー版が利用可能で、難易度の自動調整機能も搭載されている。手っ取り早くコンピューター囲碁を体験したいユーザーや、これから囲碁を学んでいきたいユーザーにもお勧めできる。
本ソフトを起動すると、9路盤に4つの置石を置いた状態で対局が始まる(ユーザーは先手の黒番)。9路盤は囲碁の初心者が実戦感覚をつかむのに役立つので、初めてならばそのまま対局してみてもよいだろう。囲碁が初めてではないユーザーは、[File]-[New Game]メニューから新規に対局を始めよう。
新規対局ダイアログでは、まず盤の大きさ・コミ(地のハンディキャップ)・置石の数・黒番か白番かを指定する。盤の大きさは最小で7×7マス、最大でなんと25×25マスを選択可能(標準は19×19マス)。そのほかにも思考エンジンの強さ(“Simulations”の数が大きければ大きいほど強い)と深層学習(Neural Network)を利用するかどうかを指定できる。
本ソフトの面白い点は、バックグラウンドで思考エンジンを動作させて、候補となる着手点を示してくれるところ。たとえば[Tools]-[Show Network Probabilities]オプションや[Tools]-[Show Best Moves]オプションを有効化すると、碁盤上に着手点をヒートマップとして表示することが可能。地合いや模様(勢力圏)を可視化することもできる。
ほかにも[Analyze]-[Analysis Window]コマンドを利用すると、思考エンジンの解析結果をミニウィンドウで表示することが可能。解析ウィンドウで着手をクリックすると、その後の予想展開を碁盤上に表示することができる。また、[Analyze]-[Show Histogram]メニューを選択すれば、形勢の評価値の推移をグラフで表示可能。本ソフトはSGF形式の棋譜ファイルを扱えるので、他の対局を後日検討したい場合などにも使える。
なお、入門者にとって「Leela」は少し強すぎるので、囲碁の勉強をしたい場合は[File]-[New Rated Game]メニューから新規対局するのがお勧め。この“Rated Game”は30級から開始され、対局を通じて「Leela」がユーザーの強さをはかり、難易度を自動で調整してくれる。[File]-[Set Rated Board Size]コマンドで9路盤と19路盤を選択することが可能だ。
ソフトウェア情報
- 「Leela」
- 【著作権者】
- Gian-Carlo Pascutto 氏
- 【対応OS】
- Windows/Mac/Linux(編集部にてWindows 10で動作を確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.11.0(17/10/24)