レビュー
GTP対応AIとの対戦も可能、美しさにこだわったオープンソースの囲碁ソフト「Sabaki」
SGF編集機能も充実、Windows/Mac/Linuxで利用できる「Electron」ベースアプリ
2018年3月30日 06:00
「Sabaki」は、美しさにこだわったオープンソースの囲碁ソフト。「Electron」ベースのクロスプラットフォームアプリで、Windows/Mac/Linuxで利用可能。編集部にてWindows 10で動作を確認した。“GitHub”のプロジェクトページから無償でダウンロードできる。
本ソフトの特徴は、なんといっても描画の美しさにある。碁盤や石、畳のレンダリングが鮮明で、着手したときの“パチッ”という効果音や、アゲハマをフタに置くときの“カラン”というエフェクトも心地よい。外観のカスタマイズも可能で、別途ダウンロードしたテーマを適用すれば、碁盤や石の見栄えを簡単に変更できる。
さらに驚くべきは、よく見ると石の配置に“ゆらぎ”があることだろう。ピッタリとキレイに並んではおらず、あたかも人間が置いたかのように少しずつズレている。ちょっとした工夫だが、どことなく人間味を感じさせるところがよい。この“Fuzzy stone placement”と呼ばれる機能は、[File]-[Preference]メニューから無効化することも可能だ。
機能面では、棋譜の閲覧・編集機能が充実している。基本となる棋譜フォーマットは囲碁ソフトでよく使われるSGF形式で、既存のファイルを指定して読み込んだり、クリップボードからインポートすることが可能。[View]-[Toggle Autoplay Mode]オプションを有効化すると盤面の下にツールバーが現れ、対局を自動再生することができる。このツールバーでは再生のコントロールと着手の間隔を指定することが可能。閲覧だけなら、NGF形式やGIB形式といった棋譜フォーマットも扱える。
さらに、局面を分岐させて変化図を加えたり、その分岐の様子をツリー形式で表示することが可能。コメントはMarkdown記法のサブセットをサポートしており、太字や下線などといった書式(スタイル)に加え、URLやメールアドレス、盤面の座標(“#K10”など)、着手番号(“#30”など)を扱うことができる。また地合いの計算機能なども備えており、指定した局面でどちらが優勢なのかを判断することも可能だ。
そのほかにも、局面に注釈を加えるためのマークアップツールが充実している。局面の変化を説明する際によく使われるバツ印や三角印、直線、矢印、アルファベット、数字などが一通りそろっており、[Ctrl]+数字キーですばやく呼び出せるのがよい。
また、本ソフトでは“GTP”プロトコルをサポートした囲碁AIを登録して、人対AI、AI対AIで対戦することが可能。「GNU Go」であればBen Lambrechts氏が配布しているWindows向けのバイナリをダウンロードして適当な場所に配置し、[Engines]-[Manage Engines]画面からパスと起動オプション(--mode gtp)を登録すると、対局開始画面で「GNU Go」を選択できるようになる。
ソフトウェア情報
- 「Sabaki」
- 【著作権者】
- Yichuan Shen 氏
- 【対応OS】
- Windows/Mac/Linux(編集部にてWindows 10で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 0.33.3(18/02/11)