レビュー

低解像度ゲームなどのウィンドウをアップスケールして強制フルスクリーン化する方法

複数のスケーリングモードでゲームやアニメなど幅広く対応する「Magpie」

「Magpie」

 「Magpie」は、アクティブウィンドウを強制的にフルスクリーン表示しつつ、アップスケーリングも行うソフト。古いPCゲームをフルスクリーンでプレイしたり、低解像度の動画を高画質化してフルスクリーン表示するなどの用途が考えられるが、その他のあらゆるウィンドウに対応する。

 使用方法は、本ソフトを起動した状態で、フルスクリーン表示したいウィンドウを選択(アクティブウィンドウにする)。その状態で[Windows]+[Shift]+[A]キーを押すと、フルスクリーン表示に切り替わる。再度押せば通常のウィンドウに戻る。

 基本的な使い方はこれだけ。ショートカットキーの組み合わせは自由に変更が可能だ。

 シンプルな使い方の裏で、設定項目は細かく用意されている。最も重要なのがプロファイル設定にあるスケーリングモード。本ソフトではスケーリング方法が複数用意されており、「Lanczos」、「FSR」、「FSRCNNX」、「ACNet」、「Anime4K」、「CRT-Geom」、「Integer Scale 2x」から選べる。

スケーリングは複数のモードから選べる
スケーリングモードはさらに細かく設定も可能

 各アルゴリズムの内容を学ぼうと思うと結構大変だが、重要なのは自分が見たい映像ソースが適切に拡大されるかどうかなので、まずは色々なアルゴリズムを試してみるのがいい。筆者も「ゲームならFSRでいいかな」という程度の認識だが、実際はゲームの内容によるし、見るユーザーの好みによっても変わるだろう。

 プロファイル設定は、特定のウィンドウを使用する際にだけ適用させる個別のプロファイルも設定可能。ゲームや動画など、そのウィンドウで使用する映像に合わせてスケーリングモードなどを設定できる。

使用するウィンドウごとにプロファイルを作成できる

 ゲームでの使用例として、2Dアクションゲーム「LA-MULANA」を試してみた。本作は最低解像度が640×480ドットで、これを「Magpie」で4K(3,840×2,160ドット)に拡大する。スケーリングモードは「FSR」を選択した。

 単純にフルスクリーン表示するよりも、ドットが滑らかに補完されて自然な見た目になっている。特に文字はざらついた感じがなく読みやすい。また筆者の環境(GeForce RTX 4080搭載のゲーミングPC)ではアップスケーリングによる表示の遅延もなく、プレイ感は全く損ねていない。

「LA-MULANA」のプレイ画面を「FSR」で4Kにアップスケーリングしたもの。4Kに拡大すると、ドットをうまく丸めているのがわかる

 アップスケーリングの処理が増える分、PCの負荷は上がる。その状況を監視するためのオーバーレイ機能も用意されている。初期設定では[Windows]+[Shift]+[D]キーを入力すると、負荷やレンダリング(映像の描画)にかかった時間を表示するウィンドウをオーバーレイ表示できる。

負荷などをオーバーレイ表示で確認できる。「FSR」の処理にかかる遅延は1ms未満と出ている

 このほか、拡大時にウィンドウの上下左右をピクセル単位でクロップする機能も使える。うまく使えばウィンドウの枠を消したり、一部にズームアップした状態でのフルスクリーン表示も可能だ。

上下左右を任意の幅でクロップが可能

 基本的にはウィンドウのフルスクリーン化のためのソフトだが、アップスケーリングや枠のクロップなど、目的に応じて使う機能を選べる。ユーザーのアイデア次第で意外と用途は多いのではないかと思う。

弊誌の記事を表示したEdgeのウィンドウを4Kに拡大。スケーリングモードは「FSR」が最も自然に見えたが、モードを切り替えて見ていくと違いがわかって面白い