#モリトーク

2つのOpenOffice 機能比較編

(12/05/22)

 先週の第8話では、無償オフィススイートの代名詞だった「OpenOffice.org」が「LibreOffice」と「Apache OpenOffice」へ分裂した経緯を紹介した。しかし、どちらを応援すべきか、どちらを使うべきか、分裂の経緯だけでは判断できないだろう。そこで今週も引き続き“OpenOffice”をテーマに、分裂後の両ソフトが現時点で機能的にどう違うのか、順を追って検証したい。

「LibreOffice」v3.3.0で実装されたタイトルページ作成機能(画像は「LibreOffice」v3.5.3.2)「LibreOffice」v3.3.0で実装されたタイトルページ作成機能(画像は「LibreOffice」v3.5.3.2)

 まずは、分裂後の初アップデートとなった「LibreOffice」v3.3.0と「OpenOffice.org」v3.3.0を比較しよう。「LibreOffice」v3.3.0は、開発途中であった「OpenOffice.org」v3.3.0のベータ版をベースに開発されたため、「OpenOffice.org」v3.3.0の正式版で実際に追加された機能などをほぼ網羅する形となっている。

 それに加えて「LibreOffice」v3.3.0では、SVG画像に対応したり、“Writer”でタイトルページを作成することが可能。また、“Calc”のキーバインドが「Microsoft Office」準拠へ変更され、実験的な機能を利用できるモードも実装された。

「LibreOffice」v3.4.0で実装された検索ツールバーと、「LibreOffice」v3.5.0で実装されたヘッダー・フッター挿入メニュー(画像は「LibreOffice」v3.5.3.2)「LibreOffice」v3.4.0で実装された検索ツールバーと、「LibreOffice」v3.5.0で実装されたヘッダー・フッター挿入メニュー(画像は「LibreOffice」v3.5.3.2)

 次に比較すべき対象は、「LibreOffice」v3.4.0/3.5.0と「Apache OpenOffice」v3.4.0になるが、これらのバージョンでも重なる部分が多いので、筆者が気になり、実際に確認できた相違点だけをピックアップする。まず「LibreOffice」v3.4.0では、[Ctrl]+[F]キーでWebブラウザー風の検索ツールバーを呼び出せるようになった。続く「LibreOffice」v3.5.0では、“Writer”にヘッダー・フッターを直感的に挿入できるメニュー、“Calc”に複数行対応の入力エリアが追加されたほか、スペル・文法チェック機能も強化されている。

 一方、「OpenOffice.org」から改名された「Apache OpenOffice」v3.4.0では、“Calc”の演算エンジンと、正規表現のエンジンがより高性能なものへと置き換えられ、SVG画像にも対応した。

 上記で紹介した機能の違いはSVG画像への対応を除くと、最新版の「LibreOffice」と「Apache OpenOffice」でもそのまま相違点となっている。「LibreOffice」のほうが細かい部分の使い勝手で優れているといえるが、ソフト全体の優劣を決めるほどの差ではないだろう。

 ただし、ユーザーインターフェイスの日本語化に関しては差が出始めている。たとえば「LibreOffice」では、新機能の表記を日本語へ翻訳するだけでなく、既存の日本語訳を見直す作業も行われている。それに反して「Apache OpenOffice」では、新機能の表記が英語のまま翻訳されていない場合があるため、現時点では「LibreOffice」のほうがユーザーフレンドリーであろう。

翻訳作業が順調な「LibreOffice」v3.5.3.2翻訳作業が順調な「LibreOffice」v3.5.3.2

未翻訳が残る「Apache OpenOffice」v3.4.0未翻訳が残る「Apache OpenOffice」v3.4.0

(中井 浩晶)