#モリトーク

第70話

ついに復活したOperaのアレ

 日本では夏期休暇中の出来事であったため、少しばかりタイミングを逃したネタになるが、これだけは本コラムで取り上げなければならない。「Opera」のブックマーク機能がついに復活したのだ。といっても、それはまだ正式な実装ではなく、“Developer”チャンネルでのことになる。

 「Opera」は3つの開発チャンネルを展開しており、各バージョンがアルファ版の「Opera Developer」とベータ版の「Opera Next」を経由し、無印の正式版へと昇格していく。だれもが各チャンネルの「Opera」を併用できるため、開発段階の新機能を手軽に試せるのが特長だ。「Opera Developer」は今月8日(現地時間)に開始されたばかりで、現在はバージョン“17”が開発されており、まもなく「Opera Next」へ昇格する予定となっている。

 復活したブックマーク機能は“Quick Access Bar”と命名され、それを試すためには「Opera 17 Developer」をインストールする必要がある。また、標準の設定では“Quick Access Bar”が無効化されているため、有効化する手順とともにブックマーク機能の詳細を確認してみよう。

 まず、アドレスバーに“opera:flags”と入力し、上級者向けの設定画面を呼び出す。そこで“Quick Access Bar”と書かれた項目のプルダウンメニューから[有効]を選択し、「Opera 17 Developer」を再起動する。あとは、通常の設定画面を開き、チェックボックスの[Show Quick Access Bar]をONにすると、ブックマーク用のツールバーがアドレスバーの下に現れる。

 “Quick Access Bar”の機能は一般的なブックマークバーと同じであり、専用ボタンやドラッグ&ドロップで任意のWebページを登録すれば、それらをフォルダで管理できる。また、“Quick Access Bar”に登録したブックマークを単体もしくはフォルダ単位でスピードダイヤルへ転送することが可能だ。

 そのほか、“Quick Access Bar”と連携する拡張機能用のAPIも実装されている。このAPIは「Google Chrome」のそれと互換性があり、「Google Chrome」用の拡張機能を流用できる仕組みになっているとのこと。たとえば、「Opera」用の拡張機能「Download Chrome Extension」をインストールすると、「Google Chrome」用の拡張機能を「Opera」へ導入できるようになるため、「Google Chrome」向けに開発されているブックマーク拡張機能をそのまま利用できるというわけだ。

「Opera 17 Developer」の“opera:flags”画面
一般的なブックマークバーに相当する“Quick Access Bar”

 このように、「Opera」のブックマーク機能が不完全ながらも復活したことは、旧シリーズから利用し続けている「Opera」ユーザーにとって朗報であろう。しかし、サイドバーを設けず、ツールバーだけでブックマークを管理する“Quick Access Bar”の発想は「Google Chrome」のそれと同じだ。しかも、「Google Chrome」と互換性がある拡張機能用のAPIも実装しているのだから、それはまさに「Google Chrome」の模造であり、これでは「Opera」をあえて選択する意味が薄れる。

 Opera社はこれまで、新シリーズの「Opera」を開発・公開するにあたり、他社のWebブラウザーはもちろん、旧シリーズを模造することはないと明言してきた。“Quick Access Bar”の開発はまだ初期段階であり、このままの形で正式に実装されるとは限らないものの、ブックマーク機能を廃止するという大胆な決断からの振り幅があまりにも大きい。

(中井 浩晶)