ニコニコ自作ゲームPick Up

最終回

“ニコニコ自作ゲームフェス2”受賞作品発表!

“ゲームマーケット2013秋”会場で発表、大賞は「SANXEN WORLD」

 ニコニコ動画にて、ゲームを作る人、二次創作をする人をつなぎ、自作ゲームがもっと多くの人にプレイされるようになるべく行われた、自作ゲームのお祭り“ニコニコ自作ゲームフェス2”。

 イベントに応募されたゲーム作品から選ばれた優秀作を表彰する“ニコニコ自作ゲームフェス2 授賞式”が11月4日、東京ビッグサイトで開催された“ゲームマーケット2013秋”内の特設ブースにて行われた。

大賞は全プレイヤー共通のワールドマップで冒険する「SANXEN WORLD」

 “ゲームマーケット2013秋”は、既存や自作のボードゲーム・カードゲームなどを集めた、国内最大のアナログゲームの祭典。数あるゲームイベントの中でもとくに自作ゲームの比率が高いのが特徴で、“ニコニコ自作ゲームフェス2”に参加したアナログゲーム作品も多数出展。ゲームの紹介・販売だけでなくその場で遊ぶことができ、ゲーム作者とプレイヤーの交流の場ともなっている。

 そんなゲーム好きであふれる“ゲームマーケット2013秋”会場で“ニコニコ自作ゲームフェス2”の授賞式が行われ、応募作品数230点以上の中から選ばれた受賞作品が発表された。

ゲームマーケット会場の一角で行われた“ニコニコ自作ゲームフェス2”の受賞式。ゲーム作者やプレイヤーも多数見学に訪れていた
当日はニコニコ生放送による中継が行われており、コメントで会場とのコミュニケーションを取る姿も見られた
広大な世界を冒険する「SANXEN WORLD」。ワールドマップが全プレイヤーで共有されており、自分が遊んでいない間も変わっていく世界が大きな魅力だ

 大賞を受賞したのは、しまげ氏の「SANXEN WORLD」(サンゼンワールド)。横スクロールタイプのアクションゲームで、敵を踏んづけて倒したり、ブロックを設置して障害を飛び越えたりしながら、広い世界を冒険できる。ワールドマップは全プレイヤーで共有されているため、協力してブロックを設置し、移動しにくい地形を攻略するといった要素も。バージョンアップでタイムアタックランキングが追加され、よりさまざまな遊び方ができるようになっている。

 「SANXEN WORLD」は、協賛賞においても名越稔洋賞、Unityスタークリエイター賞を受賞した。

アクション・ノベル・RPGとさまざまなジャンルのゲームが協賛賞に

 13の協賛社・団体から用意された、協賛賞も順番に紹介していこう。

ゲームマーケット賞佳作の「ダイスキングチェス」は、すぐに遊べる手軽さとサイコロがコマとなったために生まれた戦略性が魅力。サイコロのコマは、表面の数字ちょうど分だけ移動できる

 ゲームマーケット賞は受賞なし。ただし佳作としてマサッカー氏の「ダイスキングチェス」、努力賞として植民地戦争+α氏の「新しく簡単な戦争ゲームを作ってみた。」ととさか氏の「sugar high」が選ばれた。いずれもアナログの自作ゲームで、“ゲームマーケット2013秋”会場内にてプレイアブルデモを実施していた。

 「ダイスキングチェス」は2人用のボードゲームで、サイコロをコマに5×5などの盤面を使用。将棋やチェスのように相手陣営を攻め、相手の王を取るか、敵陣を占拠すれば勝利する。サイコロがあればプレイできる手軽さも魅力だ。

 「新しく簡単な戦争ゲームを作ってみた。」は、2~6人で遊べる国盗りボードゲーム。日本を12地域に分け、最初は戦力が見えない“兵力”ゴマと、同盟にも使える“支配ゴマ”を使い、ブラフ(はったり)ありの進軍を行ってゆく。“戦争をしない”という選択もできる点がユニーク。“ゲームマーケット2013秋”で販売の際は大行列ができ、1時間で完売するほどの人気だった。

 「sugar high」は、3~6人で遊べるカードゲーム。店となっている場で“おねだり”をしてお菓子カードをたくさん集めるのが目的なのだが、行きかう人(他プレイヤー)にもおねだりができるシステムのため、逆に自分がお菓子をおねだりされる側になる可能性も。お菓子カードはようかんやマカロン、だんごなど、和洋さまざまに用意され、見ているだけでも楽しめる。

ライトノベル風の名前が特徴の「新しく簡単な戦争ゲームを作ってみた。」は、当日販売ブース前に大行列が発生! あっという間に完売したとのこと。日本以外を舞台とした拡張キットも販売されていた
おねだりカードゲーム「sugar high」は、デジタル体験版も用意されている。会場ではアナログ版がプレイされていた
主人公以外がすべてクリーチャーという設定が際立つ「クリーチャーと恋しよっ! -ここのえこころ-」。当然ながら同級生や担任の先生もクリーチャーなのだ

 続いて、ねとらぼ賞はゲーム制作サークルnostalgia制作の「クリーチャーと恋しよっ! -ここのえこころ-」。なんとヒロインが昆虫系クリーチャーという斬新な設定のノベルゲームで、人類なのは主人公のみ。キスシーンや水着のお色気シーンもあり、最初から最後までクリーチャーだけが登場する。ちなみに、ヒロインは紺色のスクール水着を着用。

RPGツクールを上手に使い、複数シナリオが積み重なりストーリーを編み出す複雑なシステムを構築。親切なTIPS機能で遊びやすい

 IGDA日本賞に選ばれたのは、galanti氏の「Chime」。複数の登場人物のシナリオをクリアしていくことで、小さな町で起こった小さな奇跡の全容がわかるようになる、まるで映画のような作りのアドベンチャーゲームだ。

 少年少女のラブストーリーあり、大統領令嬢(金髪碧眼)の秘密の冒険あり、シナリオの内容はさまざま。シナリオごとに“目的”や“追加目的”が設定され、クリア状況により他シナリオに影響が及ぶようになっている。

操作こそ単純ながら、戦略性が高い「ソウメイのトウ」。属性のない敵が多い低層階で、前後同時攻略のコツを覚えよう

 窓の杜賞はKata氏の「ソウメイのトウ」。横スクロールの2DパズルRPGで、100階ある塔のてっぺんを目指す。前後から襲ってくる敵はそれぞれの属性をもち、攻撃は数手先を考えた深読みが必要。操作はマウスのみというわかりやすさも魅力のゲームだ。

 Kata氏は“ゲームマーケット2013秋”に来場しており、コメントをもらうことができた。『以前からローグライクゲームを作りたいと思い試行錯誤していました。アイデアを出しては没にすることが続き、ようやく思いついたのがこのゲームです。魔法や三すくみの属性設定は、過去のアイデアから拾ってきました。夏から制作に取り掛かり、まだ一部未完成ながら公開できました』とのこと。

 Twitterでクリア報告が出るなど、ジワリジワリと盛り上がりつつあるこのゲーム。今後もバージョンアップを続けていくという。

育成したモンスターで対戦プレイが可能な「闘☆獣・王」は、複数の攻略サイトが作られるほどの人気

 HSPTV!賞は、kuminaga氏による育成型カードゲームの「闘☆獣・王」。絵合わせゲームで入手したモンスターを合成で強化し、4匹のチームでNPC戦を勝ち抜いてゆく。最大6人までのオンライン対戦が可能で、作者が主催するゲーム大会も開催されている。

変身ヒロインアニメ風RPG「FLASH☆ラブリーシャイン」は、変身シーンがきちんとアニメーションするのがポイント。悪の組織もツボを押さえており、明るく楽しいゲームだ

 コンプティーク賞を受賞したゲーム制作サークル・レトロジックの「FLASH☆ラブリーシャイン」は、変身ヒロインアニメ風RPG。主題歌あり、ヒロインの変身シーンありの全10話を収録している。4人組ヒロインそれぞれに声があてられているのも魅力だ。

疾走感が気持ちいい「モクフライ」は、峡谷の谷間を障害物を避けながら飛ぶゲーム。チクワを集めてゲージが溜まると、ハイパーモードを発動できる。障害物をぶっ壊しながら進めて爽快!

 GALLERIA賞はネコ忍者コア氏の「モクフライ」。ブラウザーのみで遊べる3Dアクションゲームで、自機となる飛行機をマウスで操作し、障害物を避けながらチクワを集めるという内容だ。

 単純そうに見えるかもしれないが、自機の移動では左右だけでなく複葉機のような上昇・下降があるため、移動にテクニックが必要。また、チクワゲージが溜まった際に使えるハイパーモードは爽快感バツグン! 気分転換のつもりで始めると、うっかりのめりこんでしまうので要注意だ。

独特の世界観が大きな魅力の「METAL_SHINOBI_ASSASSIN」。多彩な攻撃を仕掛けてくる敵も楽しい

 Multimedia Fusion 2賞を受賞したのは、ドイツ軍大佐氏の「METAL_SHINOBI_ASSASSIN」。“シノビ”となり、サムライ江戸城天守閣パレスに住むサムライ亡霊“TOKUGAWA”を倒す横スクロールアクションだ。

 “シノビ”はロボットのような装備を付けているため、攻撃方法はバリエーション豊か。御神輿や石灯籠など、ザ・和風な敵が攻めてくるのも楽しい。細かく描き込まれたドット絵も見ごたえアリだ。

魅力的なキャラクターが登場するシナリオパートと、装備などのカスタマイズが豊富なアクション・シューティングパートを楽しめる「ありふれたホシの終末期 NextPhase」

 とらのあな賞は、ゲーム制作サークルCrazy I Screamによるシナリオ分岐型アクション・シューティング「ありふれたホシの終末期 NextPhase」。ゲームは本格的なアクション・シューティングパートと、シナリオ分岐に関わるストーリーパートが交互に展開し、魅力的なキャラクターも多数登場。キャラクターのカスタマイズも豊富で、気持ちよく遊べる仕上がりになっている。

「MYTHOS ~染まる世界のエルタージュ~ 第一部」は第1回に続いて、続編での連続受賞となった。重厚なシナリオが長時間のプレイでも飽きさせない

 ノベルスフィア賞は、ゲーム制作サークルなすびあんによるSFビジュアルノベル「MYTHOS ~染まる世界のエルタージュ~ 第一部」。第1回の“ニコニコ自作ゲームフェス”でビジュアルノベル賞を受賞した作品の続編となっている。

 プレイ時間15時間という長編作品ながら、SFだけでなくオカルト、古代文明、量子論などさまざまな要素が絡み飽きさせないシナリオが特徴だ。制作に夢中になりすぎ、作者が一時無職になったというコメントが寄せられ、会場からは笑いが起こっていた。こちらは電子書籍化、iOSアプリ化が決定している。

引きこもり生活が長かったせいで、知らない人とうまく話せない「HOME TOWN WORK」の主人公。他人と交流する心理的なプレッシャーが、主人公の敵となって襲ってくることも

 最後に、週刊ファミ通賞を受賞したのは、ZK氏によるニート脱出RPG「HOME TOWN WORK」。引きこもり歴3年の主人公が、犬の散歩をきっかけにだんだん人と話せるようになっていく、ユーモアあふれる作品だ。

 プレイヤー自身がゲームに登場する仕掛けもあり、とくに中盤以降の展開は予想外の連続。ゲーム作者を彷彿とさせるキャラクターが登場するのも面白いところ。前回のこの連載でも紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。

選りすぐりの楽しいゲームをぜひプレイしよう!

 「ニコニコ自作ゲームフェス」は、多くの人に自作ゲームを知ってもらい、遊んでもらうために行われているイベント。今回紹介したどのゲームも、紹介動画からダウンロードなどしてすぐ遊ぶことができる。ぜひ、気になったゲームを遊んでみてほしい。

授賞式の後には、ゲーム実況主のガッチマン氏(左)と鎌首氏(右)によるゲーム実況プレイが行われた
会場がとくに沸いたのが「クリーチャーと恋しよっ! -ここのえこころ-」の実況。ヒロインの声のかわいさと、そのルックスの奇抜さ(!?)に盛り上がっていた

ニコニコ自作ゲームフェス2とは

 “ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。2回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス2”は、2013年6月13日(木)から10月6日(日)の間で作品募集を行ない、11月4日(月)に“ゲームマーケット2013秋”の会場にて授賞式を実施した。

ニコニコ自作ゲームフェス 今後のイベント出展予定

(市川 美穂)