高橋忍のにゃんともWindows

ようやく手を出しやすくなった3Dプリンターで孫指を作ってみた

 ここ最近ハマっているのが3Dプリンターです。まだ買ってからそんな経ってはいませんが色々作ってはプリントして楽しんでます。前から欲しかったんですが、猫がいても大丈夫でそこそこ安いモデルが出てくるのを待ってました。

 多くの方が“実際どうなの?”と思っていると思うので、ちょっとご紹介。

Flashforge Adventurer 3

 私が買ったのがFlashforge社のAdventurer3という機種。まだ7万円近くするので安くはないですが、何年か前に比べたらだいぶ安くなりました。最近では劇団ひとりさんが購入されてちょっと有名になっています。

 そして、細かい設定とか調整とかがほとんどなくなってるのがいいんですよね。結局周りの人のお勧めが一番のきっかけですが。買うまでに悩んでいたのが2つのタイプのどちらを買うかというところ。低価格の3Dプリンターには大きく2つの方式があります。それがFDMと光造形。

 FDMはフィラメントという紐状になったプラスチックを溶かして形を作る方式。光造形は女性のネイルと同じように液体に光を当てて固めていく方式です。1層ずつ積み重ねていくのは同じですが、光造形は各層が薄く結果的に表面が綺麗にできます。ただ、液体を扱ったり作った後も溶液で洗ったりと手間を使い、気も使います。なので最初ならフィラメント方式(FDM方式)がおすすめ。Adventurer 3もフィラメント方式です(でも最近、光造形方式の3Dプリンターが欲しくなったのは内緒です)。

3Dプリンターのプリント手順

 3Dプリンターで何かを作るにはこんな手順で作ります。

  1. 3D図面ソフトで作るものの3Dモデルを作る
  2. 印刷できる3Dの形式で保存する
  3. 3Dプリンターに印刷するソフトでモデルを読み込んで、印刷用の調整
  4. 3Dプリンターで印刷する

 さて、いきなり初めから“もう無理”と思うでしょう。3Dのモデルなんて作れないからもう無理と。たしかにこれは3Dのモデルを作るソフトを使えるようにならないといけません。

 しかし、壁紙用の素敵な写真が世界中で公開されているように、今、 世の中にはたくさんの3Dモデルが有償・無償で公開されています 。それこそiPhoneのケースなんてたくさん見つかりますよ。なので初めは他の人が作ったモデルを楽しむだけでも十分です。

孫指をダウンロードする

 私が3Dプリンターを買ったら印刷してみたかったものの一つに“孫指”というものがあります。松本圭司さんという方が発案されてモデルを作った製品で、小指の代わりにスマホを支えるフックのようなものです。

 松本さんは、Thingiverseという、世界で最も有名な3Dモデル公開サイトの一つに、作られた孫指のモデルを公開されています。

 ということで、ここからデータをダウンロードして3Dプリンターで印刷してみます。ZIPファイルでダウンロードできるので、解凍した“files”フォルダーの中のSTLという拡張子のファイルが3Dモデルのデータです。

 ちなみに、ダウンロードしたSTLファイルをダブルクリックすると、「Print 3D」というWindows 10の標準アプリが開きます。将来的には3Dプリンターが各家庭で普及し、誰でも印刷するだろうと標準ソフトとして入っているんです。

 残念ながらまだ、ここから印刷できるほど、世の中に普及していないのが残念ですが、データを確認するのに専用アプリがなくても大丈夫なのは嬉しいです。

印刷用ソフトで読み込む

 3Dプリンターで印刷するときは、スライサーと呼ばれるソフトで印刷します。これはどの3Dプリンターにも用意されています。スライサーはちょうど3Dプリンターのプリントステージを表しているので、ここでどのあたりにどのくらいのサイズでプリントするのが細かく指定します。

 といっても、すでにちゃんとしたサイズで作図されていますし、面の中央で印刷しようが、端で印刷しようが同じなので適当に配置します。

サポート(今回はなし)

 3Dプリンターは細く溶けたプラスチックを何層にも重ねて形を作ります。簡単にイメージするなら縄文式土器。紐状のものを下から重ねていきます。そのため、下になにもないところには形状を作ることができません。しかし3Dモデルにはそういった形状もあります。そこで印刷用に補助の柱を作り印刷後に切り取ります。これがサポート材です。

 なんか複雑そうに見えますが、 サポートもスライサーの[自動サポート]ボタンを押すだけでアプリが自動で作成してくれます。なので心配なし!  今回の孫指はサポートなしに印刷できる形状のためサポートの設置は不要です。

プリントする

 最後はアプリから印刷します。ここでのアプリでは[スライス]ところから選びます。スライスの設定は、行ってみれば普通のプリンターの印刷設定(用紙設定とか両面とかの設定)と同じようなものです。

  最初は何も変更はいりません。実際未だにほとんど変えずに使ってます。 変えるとしたら、解像度。解像度を高くすれば線も細くなるため、印刷時間は長くなりますが、表面はとてもきれいになります。

【プリント中の様子】
3Dプリンタで印刷

 後は、プリントして待つだけです。孫指1つなら標準設定でだいたい18分くらいでした。長いものなら10時間以上かかるものもあります。大きければ大きいほど時間はかかります。

完成&他にも楽しんでみた

 印刷が完成しまいた。補助となるプレートを外せば孫指が完成します。

 こちらは戦艦大和のモデルを見つけたのでダウンロードしてプリントしてみました。スライサーのソフトでは大きさを変えたり、大きなものを切断してプリントすることもできます。そこで戦艦大和のモデルを小さくして更に喫水線より下をカットしました。そして印刷したものがこちら。

 また、MicrosoftはSurface Pro 3のドッキングステーションの部品は自分で印刷して作るように、3Dデータを公開しているそうです。もう世の中ここまで進んできているんですね。

にゃんともいつかは猫たちもモデル化したい

 いつか、我が家のにゃんこも3Dモデルにして印刷してみたいです。勿論モデルを作るなんて無理!なのでいつかやれることがあるとしたら、写真から3Dモデルを作る方法“Photogrammetry”です。すでにいろいろなアプリがありますが、まだまだ細かい精度を出すのは難しいです。

 いつかはモデル化してフィギュアにして飾ってあげる日も来るかも?