杜のVR部

第71回

Oculus Rift製品版で楽しめる無料VRアニメーション3作品「Oculus Dreamdeck」「Lost」「Henry」

Oculusが送る次世代の映像を“体験”せよ

 3月28日に発売されたOculus Rift製品版(Rift)向けのOculus Homeには50強のコンテンツが並んでいる。この連載でも、体験できるおすすめのコンテンツを紹介していきたい。

 本連載の第69回では発売記念ということもあり、Riftに同梱される「Lucky's Tale」を紹介した。今回は、無料で楽しめるコンテンツ「Oculus Dreamdeck」「Lost」「Henry」の3つを紹介しよう。

 無料なのはなぜかというと、それもそのはずこの3作品はいずれもOculusが制作したもの。「Lost」と「Henry」の2つはOculus社内でVRを使ったストーリーテリングを模索しているOculus Story Studioが制作したものだ。

 3つともRift製品版を楽しむにはぴったりの作品なので、ひとつひとつ紹介していこう。

Riftの映像美と3Dサウンドを余すことなく体験できる「Oculus Dreamdeck」

 「Oculus Dreamdeck」は、Oculusがイベント等で展示してきたショートコンテンツを束ねたもの。以下のような合計10種類のシチュエーションを体験することができる。立って体験することをおすすめしたい。

  • パイプと計器がひしめく機械室
  • 暗闇の中、目の前に恐竜がいるシーン
  • 焚き火を動物たちが囲んでいる、非常にローポリゴンの風景
  • フォトリアルな夜の街の摩天楼
  • 鏡に写った自分の見た目が次々と変わっていく魔法のような部屋
  • 不気味なエイリアンが話しかけてくる異星の地表
  • 血管の中のようなモノクロのシーン
  • ミニチュアのような街が目の前に広がるジオラマ
  • 2台の作業用機械が戯れるコミカルな活劇
  • 荒廃した中、Tレックスが奥から迫ってくる博物館の廊下
焚き火を動物たちが囲んでいる世界。非常にローポリゴンながら“別世界”を感じられる
鏡に写った自分の見た目が偶像などへと次々と変わっていく。自分の頭の動きの通りに鏡の中の偶像が動くので、まるで自分がその偶像であるかのように感じる
アヒルの人形を取り合ったり、杖で光を出して戦ったりと仲の良い工作用機械たち
廊下の奥からこちらにくる恐竜の迫力に思わずたじろいでしまう

 もともとはRiftのプロトタイプであるCrescent Bayの展示のために制作されたコンテンツ。その制作は2014年9月にまで遡る。今回紹介する他の2つの体験に比べると味気ない部分もあるが、次々と別の世界を体験していく感覚がある。

 いずれもRiftの視覚と聴覚に訴えかけてくる表現力をあますところなく表現している。解像度となめらかなフレームレート、そして3Dサウンドによって、Riftの実現する“実在感=そこにいる感覚”の深さを感じさせる。

 なお、筆者のおすすめは摩天楼のデモとジオラマ。摩天楼は高所にいるという感覚の強さが見所で、ぜひ屋上のギリギリのところまで身を乗り出してほしい。また、ジオラマは目の前で起こるミニチュアの世界を覗き込む感覚が面白く、VRにおける“神の視点”を体験することができる。

摩天楼から下を見下ろした時の恐怖は本物だ
神の視点。ジオラマを覗き込むと、車や飛行機などにより“社会”が繰り広げられている様子が楽しめる
「Oculus Dreamdeck」
【著作権者】
Oculus
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift製品版
【ソフト種別】
無料
【バージョン】
1.0

夜の森のしっとりとした雰囲気と巨大なロボットを見上げる「Lost」

 続いて紹介する「Lost」は、2015年4月に初めて公開されたOculus Story Studioの処女作だ。夜の森の中で迷ってしまった“巨大ロボットの右手”が主人公。まるで生き物のように動く“右手”と、夜の森の怪しいしっとりとした雰囲気が実在感を深めている。

 開始早々、右後ろから耳をかすめて飛んで来る鳥には誰もがびっくりするし、手を探してロボットが現れたときに上を見上げる感覚は、まさにVRならではの映像作品であることを痛感させるものだ。

夜の森の雰囲気づくりが秀逸だ。気温まで変化したように感じてしまう
主人公である“右手”動きが生き物のようで非常にリアル
迎えに来たロボットを見上げる瞬間。思い切り上を見ないと顔が見えないほど、これでもかと巨大
「Lost」
【著作権者】
Oculus
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift製品版
【ソフト種別】
無料(期間限定)
【バージョン】
1.3

主人公の喜怒哀楽に感情移入してしまう「Henry」

 「Henry」はOculus Story Studioの2作目となる作品。本連載の第47回でイベント展示版とOculus Storeで配信されているティザー版を紹介したが、いよいよ一般配信された。「Lost」と同じく少し哀愁の漂うストーリーだが、よりキャラクターの感情移入が進む作品だ。

 針があるばかりに友達がなかなかできないハリネズミのヘンリー。その誕生日の一部始終を見届けてほしい。体験時はVR内のシチュエーションと同じく床に座って体験するのが理想だ。

誕生日を迎えたヘンリー。最初は一人だが……
風船の犬たちと遊ぶヘンリー
状況は一転。10分程度の体験で喜怒哀楽の感情をよく表現している
「Henry」
【著作権者】
Oculus
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift製品版
【ソフト種別】
無料(期間限定)
【バージョン】
1.6

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i71000SA2
【CPU】
インテル Core i7-6700K プロセッサー(4コア/ 4.00GHz/ TB時最大4.20GHz/ 8MB スマートキャッシュ/ HT対応)
【メモリ】
16GB (8GB×2/ デュアルチャネル)
【グラフィックボード】
GeForce GTX 980(8GB)
【fps】
90fps

(もぐらゲームス:すんくぼ)