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エクセルの新たな参照方法「トリム参照」とは? スピルの利便性を高める便利な記法
2025年10月20日 06:55
今回は、新しい参照方法である「トリム参照」を紹介します。数式中のセル参照の無駄を省くための記述方式です。セル参照時に範囲を表す「:」(コロン)の前、または後ろに「.」(ピリオド)を追加して、「B2:.B20」のように記述します。
以下は、氏名から姓だけを取り出している例です。TEXTBEFORE関数を利用していますが、セル参照に注目すると「:.」となっています。
現在は11行目までしかデータがありませんが、追記を想定して、セルB2~B20と指定しているわけです。ここで違和感を覚えた人は、Excel慣れしていますね? 従来のように「=TEXTBEFORE(B2:B20," ")」と記述すると以下のようになります。
そういうものと割り切っている人もいるかもしれませんが、セルF12以降の処理は実際には不要です。数式によっては、列全体を指定することもあり、その場合はシートの末尾まで不要な処理が続いてしまいます。このような問題を回避できるのが「トリム参照」です。本稿執筆時点で、Microsoft 365のExcelで利用可能です。
トリム参照の動作を確認する
トリム参照の記述方法は「:.」「.:」「.:.」の3パターンあります。それぞれ、下と左、上と右、上下左右の空白を取り除きます。簡単な例で動作を見てみましょう。
以下は、セルB2~F5に入力したデータを含むセル範囲を参照するように、セルH1に「=A1:G6」と入力してあります。「:.」を利用すると下と右の「0」が取り除かれます。「.:」は上と左、「.:.」は上下左右の「0」が取り除かれることを確認できます。
見慣れない記号なので戸惑いますが、「.」1つで余計な空白を取り除けるのは便利だと思いませんか? とにかくすべての空白を取り除きたい人は「.:.」と決め打ちでもいいかもしれません。
結果がスピルで表示される数式に有効
冒頭で紹介したように、トリム参照はスピルで結果が表示される数式に有効です。実務では、UNIQUE関数を使ったときの空白や、XLOOKUP関数で空白を無視したい時に便利です。関数を組み合わせる必要もなく、「.」を追加するだけです。
なお、取り除く空白を「上と右」「下と左」「上と下」のように細かく指定できる「TRIMRANGE関数」もありますが、まずは「:.」「.:」「.:.」の記述方法を覚えておくだけで、数式の扱いがより効率的になりますよ。