どれ使う?プログラミング教育ツール

人気キャラも登場!1時間で気軽に学習できる「Hour of Code」のプログラミング教材

『マインクラフト』や『スター・ウォーズ』、『アナと雪の女王』などのキャラで学べる

 2020年度からついに小学校でプログラミング教育が実施されます。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。

 「Code.org」は、子ども向けのプログラミング学習用教材や指導者用のリソースが無料で多数公開されているWebサイトです。各教材は、ドラッグ&ドロップ中心で扱えるブロック型のビジュアルプログラミング方式のツールが中心で、小さな課題をクリアしていくと徐々に複雑なプログラムの組み方を知ることができるようになっています。年齢層別に20時間で組まれた学習コース「コンピュータサイエンス入門」と、単発の1時間で体験的に学習できるようにアレンジされた「Hour of Code」用の教材が用意されています。この記事では、気軽に試しやすい「Hour of Code」の教材を紹介しましょう。

「Code.org」のトップページ。画面下部に見える右から2番目の「Hour of Code」のリンクから入る

ところで「Hour of Code」って何?

 「Hour of Code」というのはアメリカの「Code.org」の呼びかけで世界に広がっているプログラミングのムーブメントです。毎年12月のコンピュータサイエンス月間に合わせて、みんなで1時間のプログラミング活動をしようというもの。世界各地で「Hour of Code」のイベントを実施しやすいように、無理なく1時間程度で取り組めるプログラミング教材(アクティビティ)がWebサイト上で公開されているのです。これらは登録なしでWebブラウザーで利用できるので、とても手軽です。

「Hour of Code」用の教材が集まったページ。『マインクラフト』や『スター・ウォーズ』、『アナと雪の女王』など子ども達に馴染みのあるキャラクターを活用した教材も多い

振りつけをプログラミングして「ダンスパーティー」!

 例えば「ダンスパーティー」では、キャラクターにダンスの振り付けをしていきます。子ども向けプログラミングツールではメジャーなブロック型のビジュアルプログラミング方式で、ドラッグ&ドロップ作業と数字の入力程度でプログラムを作れます。課題の趣旨や手順は動画解説が出るのでわかりやすく、操作画面ではスモールステップでやり方の説明が出てくるので迷わずに進められます。動画の日本語翻訳は字幕なので、お子さんが戸惑っているようならサポートしてあげましょう。

適宜動画の解説が用意されている。ダンサーやエンジニアなどが自分の仕事に触れながら解説してくれるのでリアルにイメージしやすい
操作画面。細かいステップに分かれ、やり方の説明があるので進めやすい

 プログラムのためのブロックは、このダンスアクティビティ用に用意された特別なブロックだけが用意されているので、迷わずに使うことができます。少ないブロックながらも、進めていくうちに「イベント」や「プロパティ」などのコンセプトも登場して、プログラミング独特の指示の仕方を体験できるのが特徴です。とはいえ、作業としては難しいことをしている感覚はなく、キャラクターデザインもリズミカルな動きもモダンでかわいらしく、有名な曲を使うことができ、楽しくプログラムしていくことができます。最終的にはメインダンサーだけでなく、背景エフェクトや、複数のバックダンサーを登場させて、自分だけの「ダンスパーティー」作品を作ります。

最終的には複数のダンサーを登場させて自由に振り付けする

 最後まで終わると、「Hour of Code」の修了証が発行され、名前を入れて印刷できるようになっています。教師用のリソースは翻訳されていませんが、ざっと眺めるだけでも、プログラミングらしい指示の構造を学ぶために教材が設計されていることが想像できるでしょう。「アンプラグド」と呼ばれるコンピューターを使わずにコンピュータサイエンスのコンセプトを学ぶアクティビティも紹介されていて、例えばこの「ダンスパーティー」なら、プログラミングの「イベント」の考え方を噛み砕いて理解できるような内容になっています。

修了証は好きな名前を表示させられる
「ダンスパーティー」教材の場合、「学習計画」や「アンプラグド アクティビティ」などの教師向けリソース用意されている

他にも子どもたちに馴染みのあるキャラクターを使った教材がある

 「ダンスパーティー」の他にも、いろいろ教材があり、少しずつ目的が違います。「マインクラフト」や「スター・ウォーズ」、「古典的な迷路」(アングリーバードなどが登場)では、キャラクターを目的地に移動させるためのプログラムを作りながら、「条件」や「繰り返し」などのプログラミング独特の指示構造を自然と使って学べるようになっています。「アナと雪の女王」や「アーティスト」では、キャラクターを動かした軌跡で図形を描くことを通して、「繰り返し」や「関数」の考え方が出てきます。

子ども達に人気の『マインクラフト]のキャラクターを活用した教材。キャラクターを誘導するタイプのプログラムはわかりやすいので初めての人におすすめ
[コードの表示]ボタンでJavaScriptのコードを表示することもできる
「アナと雪の女王」は軌跡で描画をするタイプのプログラム。角度が出てくるので、中学年くらいからがおすすめ

 教材によってふさわしい年齢は異なり低学年でもできますが、動画解説や基本的なUIに慣れることを考えると、中学年くらいからの方がスムーズに取り組めるでしょう。家庭では、慣れるまで少し見守ってあげると、子ども自身で進めやすくなります。「Hour of Code」の教材で興味を持ったら、「コンピュータ サイエンス入門」の学習コースにもぜひ挑戦してみてください。こちらは未就学児向けのコースからあります。