週末ゲーム

第646回

銃の反動で吹っ飛ぶアクション「反動拳銃シルフィード」

慣性を制御し、空中を自在に飛び回れるか?続編「BURST!」も紹介

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、アクションゲーム「反動拳銃シルフィード」をご紹介する。

 本作は2012年の夏コミにて初頒布された同人ゲームだが、今年5月に“ふりーむ!”にて無償公開が開始された。なお続編の「反動拳銃シルフィード BURST!」が2013年の夏コミより頒布されており、ダウンロード版を324円(税込み)で購入可能。こちらも合わせてご紹介する。

厄介な銃の反動をうまく活用して移動するアクション

銃の反動を使って空中を移動する

 「反動拳銃シルフィード」は、銃の反動を移動手段に使うアクションゲーム。ココロを持った機械の少女“フィール”が、風を操る銃“シルフィード”を操り、自らのココロに潜み汚染する“黒の結晶”を破壊していく。

 ゲームはステージクリア型で進行。銃の攻撃などを使い、フィールドにある“黒の結晶”をすべて破壊すればクリアとなる。“黒の結晶”は名前の通り黒い水晶のような形をしており、ステージのあちこちに配置されている。中には自ら動いたり、フィールに攻撃的な敵となるものも登場する。

 操作は左右の移動とジャンプ、銃の発射のみとシンプル。フィールにはライフが設定されており、敵の攻撃を受けたり、敵やマップ上の罠に触れたりすると減少する。またライフは時間経過によっても減少するので、タイムリミットとしての要素も兼ねている。

 銃を撃つと画面右上にあるエアーゲージを消費する。エアーはかなりの速さで自動回復するので弾切れになることはないが、瞬間的には連射を多用できないことが多い。

 そして本作のシステムの要となっているのが、銃の反動だ。一言で言えば、撃った方向と反対側にフィールが飛ばされる。真正面に弾を撃っているだけで、フィール自身は反動でずるずると後ろに滑っていく。

 しかし反動はデメリットだけではない。たとえばジャンプしながら下に向かって撃てば、ジャンプ力と反動が相まって、通常より高いジャンプが可能になる。さらにジャンプ時にうまく連射できれば、マップ外に飛び出すようなハイジャンプもできる。空中で横に向かって撃つと反動で横に吹っ飛んでいくので、高速移動にも使える。

 そういった理屈はわかっていても、やはり反動の制御が難しい。思わぬ反動で吹っ飛んで、それを立て直そうと下に撃ったり反対に撃ったりして、反動が反動を呼んで訳がわからなくなる。徐々に慣れてきて反動を繊細に制御できるようになると、空中を自在に動きながら敵をどんどん倒していくという華麗なプレイができてくる。

 本作はゲームパッドにも対応している。非常にすばやく繊細な操作を求められるので、できればゲームパッドでのプレイをお勧めする。

ステージ各所にある“黒の結晶”をすべて破壊するのが目的
フィールを攻撃してくる“黒の結晶”もいる
通常のジャンプでは登れない高さにも、銃の反動を使えば登れる
大きな穴も銃の反動で体を浮かせれば簡単に渡れる
マップ上には色々なギミックもある
ギミックと“黒の結晶”が様々あると、操作はシビアになる

個性的な武器を使いこなし、ハイスコアを目指す

エリアをクリアすると新たな武器が入手できる

 ステージはいくつかのエリア単位にまとめられており、エリアをクリアするごとに“シルフィード”の新しい武器が手に入る。連射力の高いものや、貫通力のあるもの、着弾地点で爆発するもの、さらには剣のような短距離高威力のものなど、数種類のバリエーションがある。同時に使用できる武器は1つだけで、次のエリアへ移動する際に選択する。

 武器が変わると、銃の特性が変化するだけでなく、反動やエアーの消費量も変化する。反動が大きいものは、撃った瞬間に盛大に吹っ飛び、罠に触れたり穴に落ちたりということが多発するので注意が必要だ。またエアーの消費量が少ないものだと、撃ちっぱなしにすることで空中を自在に動けるようなものもある。

 武器そのもののタイプの違いだけでなく、反動やエアーの消費量によっても使用感が大きく変化するため、使用する武器によって攻略方法が大きく変わる。後半に入手できる武器ほど癖が強く扱いの難しいものが増えていくのだが、それを試して使いこなしていくのも本作の楽しみのひとつだ。

 最初は手に入れた新たな武器を使って攻略したくなるわけだが、その武器が必ずしも次のエリアの攻略に向いているとは限らない。武器の特性もあれば、プレイヤーの好みもあるだろう。残機が0になるとゲームオーバーとなりエリアの最初からやり直しになるが、武器の変更もできるので、より自分に合った攻略方法を探す楽しみもある。

 また各ステージには“黒の結晶”の他に、ライフを回復するものや、残機が増えるものなど、さまざまなアイテムが落ちていることがある。これらをすべて回収すると、クリア時にスコアボーナスがもらえる。また空中に飛び出して着地しないまま連続で“黒の結晶”を壊すとコンボとなり、スコアが増す。最終的にはスコアアタックというやり込み要素も備えているわけだ。

 クリアに要する時間は約1時間とされているが、筆者がプレイした感想としては、初見で1時間でクリアできる人は、かなりアクションゲームのセンスがいい。反動をコントロールできないうちは、敵に当たる、棘に刺さる、フィールド外に飛び出して落下する、などさまざまなパターンでミスを重ねることになる。するっとクリアできるような簡単な作品ではないので、アクションゲーム好きの人は気合を入れて挑戦していただきたい。

着弾点で爆発する高威力の武器
剣のように振り回せるものもある。これも反動があるので注意
“黒の結晶”以外のアイテムも拾っていきたい
着地せずに“黒の結晶”を壊すことでスコアボーナスが得られる
後半のステージは繊細な操作が求められるものが多い
武器を使いこなし、空中を自在に動けるようになると気持ちいい

ベースはそのままに多数の新要素を加えた続編「BURST!」

「反動拳銃シルフィード BURST!」

 続編の「反動拳銃シルフィード BURST!」は、“黒の結晶”を破壊していくというアクションのベースシステムは同じだが、いくつかの新要素が加えられている。

 まず武器が2種類選べるようになり、いつでも持ち替えが可能になった。持ち替えにはタイムラグがあるため、落下中や敵に襲われている時には使いにくいが、うまく使えば攻略パターンがぐっと広がる。

 また新たなアクション“BURST”が追加された。ライフが減少すると“BURSTゲージ”が増加していく。これを消費して発動すると、一定時間エアーが無制限に使用できる上、敵からの攻撃もある程度まで無効化できる。一時的にリミッターが解除されるというイメージで、ボス戦やピンチの時に使うことになる。

 他にもフィールド上にライフの回復ポイントができるなどの新たなギミックが追加されたり、エリアごとにボスが登場するようになったりしている。武器の使い分けなどで攻略が楽になった分、ゲーム側のアクションやギミックはよりシビアになった印象。相性の悪い武器を持って出てしまうと、相当辛くなるステージも多い。武器の選択による戦略性は前作以上に重要だ。

 チュートリアル的な解説の強化や、実績要素の追加もあり、正しく進化した続編という印象だ。前作を楽しめた人なら、こちらも間違いなく楽しめる。週末に2本一度に楽しんでみてもいいボリュームだが、一気にやると結構疲れるのでほどほどに。

2種類の武器を持ち替えて使える
エアー無制限とダメージ無効化が発動する“BURST”
ライフを回復するポイントが登場
各エリアの最後にはボスが登場する
チュートリアル要素が強化
実績要素も追加されている
ベースのシステムは同じだが、新たなギミックも増えて難易度は上がっている

ソフトウェア情報

「反動拳銃シルフィード」
【著作権者】
稲荷ドロップ
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.20(16/05/03)
「反動拳銃シルフィード BURST!」
【著作権者】
稲荷ドロップ
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
ダウンロード販売 324円(税込み)ほか
【バージョン】
1.10(13/12/31)