週末ゲーム
第672回
コンボが決め手のサイドビューバトル!少女達の戦いを描くRPG「アストロメイデン/アポストロ」
シナリオとバトルに特化したノンフィールド形式。スキルセッティングによるキャラクターカスタマイズも醍醐味
2017年4月21日 11:00
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ファンタジーRPG「アストロメイデン/アポストロ」を紹介しよう。
なお本作は有償の同人ゲームとしてリリースされており、イベントでのパッケージ頒布のほかパッケージ委託販売やダウンロード販売も行われている。作者サイトでは体験版も入手可能だ。
とある星を舞台に、主人公の異なる4つの物語が描かれるファンタジーRPG
「アストロメイデン/アポストロ」は、どこか遠くのとある星を舞台にしたファンタジーRPG。主人公の異なる4編の物語が収録されたオムニバス形式の作品となっている。王女とその護衛をする騎士達の物語や異世界から来た女子高生達の物語など、各編ごとに主要人物や主な舞台も変わり、バラエティに富んだシナリオを楽しめる。
なお、「アストロメイデン」は前後編の2作で構成され、本作「アポストロ」はその前編にあたる作品。作品全体の大きな謎や伏線は今後リリース予定の後編へと持ち越しとなるが、本作に収録される4編の物語自体は結末までしっかりと描かれる。難易度がイージー・ノーマル・ハードと3種類あり難易度次第でプレイ時間は変わってくるが、公称プレイ時間は1編ごとに3~6時間程度。さらにキャラクターを選んで連戦によるスコアアタックができるモードも用意され、本作だけでもRPGとしてかなりのボリュームがある。
ゲームは会話中心のシナリオパートを読み進めつつ、ストーリーの展開に応じて戦闘が発生するノンフィールド方式。メインストーリーとは別にキャラクターの日常や物語の裏側を垣間見られるサブストーリーなども順次解放され、任意のタイミングでアクセス可能だ。スマートフォンRPG風の構成で、物語とバトルに特化した作りとなっている。
コンボで畳みかける爽快なバトル。キャラクターカスタマイズも醍醐味
戦闘はサイドビューで、敵味方が入り混じって順次行動するCTB方式。敵味方それぞれ縦横3マス、計9マスのフィールド上にキャラクターが配置され、さまざまな攻撃範囲を持つスキルなどを駆使して戦っていく。スキルの使用に必要な“SP”はパーティ共有のリソースで、ターン経過や通常攻撃、防御などで溜めることが可能。また、攻撃を受けると“ドライブゲージ”が溜まり、満タンになると一時的に“ドライブ”状態となって強力な“フォース技”が使用可能となる。
特徴は、攻撃範囲が重なるようにパーティメンバーの攻撃を繋げることでコンボが発生し、ダメージが増加するシステム。スキルを即時発動させるのではなく“チャージ”することでコンボの準備段階となり、後に行動するキャラクターのスキルやフォース技、通常攻撃をトリガーにコンボが発動、攻撃が立て続けに放たれる。
チャージは敵の攻撃を受けると解除され行動が無駄になってしまうが、ドライブ中は敵の攻撃をブロック可能。また、各パーティメンバーはフィールド上の立ち位置により狙われやすさや行動順が変化し、これは戦闘中も“陣形”コマンドで変更できる。こうした要素を駆使して、タイミングを見極めつつコンボを組んでいくのが本作の戦術要素となっている。
パーティメンバーは最大3人なので基本は3コンボまでだが、3コンボ後にHPが残っている敵が居ると追加の4コンボ目が発動。また、フォース技でコンボを発動した際に、他のパーティメンバーもフォース技が発動可能な状態だと追加で発動される。両方同時に条件を満たせば5コンボとなり、その効果は絶大だ。
……と、コンボを重ねて大ダメージ!が爽快なゲームなのは間違いないのだが、(難易度にもよるが)それだけで勝てる場面ばかりではない。ポイントは“敵にもドライブゲージがある”ことで、敵もドライブ中はこちらの攻撃をブロックする。ブロックを貫通するにはコンボやフォース技を使うか、あるいは魔法などの属性攻撃で敵の弱点を突く必要がある。
一方、敵側はコンボこそ使ってこないがドライブ中の大技がブロックを貫通する点は同じで、油断していると大ダメージを食らうことも。とくに難易度ハードにおける終盤以降の敵は最大HP以上のダメージを与えてくるようなこともあり、同時に複数の敵がドライブ状態になった場合などはかなりピンチだ。バフや防御なども活用しつつ着実に各個撃破を狙っていく……といった戦術も重要な、歯応え抜群の戦闘を存分に堪能できる。
各キャラクターはレベルアップにより、戦闘中に使用するスキルやフォース技、“潜在能力”と呼ばれるパッシブスキルを習得していく。このうちスキルは4つ、フォース技は1つ、潜在能力は3つという限られた枠内にセットしたものが戦闘時に利用可能となる仕組みで、敵の弱点属性など、状況に応じたキャラクターのカスタマイズもポイントだ。
キュートな少女達とハードな展開が魅力。バトルをやり込めるスコアアタックモードも
登場キャラクターは可愛らしく格好いい少女達ばかり。戦闘時のアニメーションや派手な演出のほか、シナリオパートでも立ち絵やイベント絵が動いたりと、華やかな画面が目を惹く作品だ。しかしそこで展開する物語は、ぱっと見の印象よりかなりハード。物語を進めるにつれ不穏な空気やダークな世界観が顔を見せ始め、運命に立ち向かう少女達の姿が描かれていく。
とはいえもちろん重々しいばかりではなく、サブストーリーを中心にほのぼのするエピソードなども用意されている。戦いと日常を通じて、少女達の間で交わされるさまざまな想いが描かれるのも本作の大きな見どころだ。各編ごとに、それぞれの雰囲気にマッチした個別の戦闘曲が用意されているのも魅力で、プレイを盛り上げてくれる。
またバトルの面では、クリアしたストーリーのプレイヤーキャラクターや一部のボスキャラを操作して、スコアアタックができる“アストラルモード”も特徴。10戦を勝ち抜いていき負けたらそこで終了、コンボなど戦闘中の行動と各種条件によるボーナスでスコアが蓄積されていく。敵はプレイごとに変わるほかスキル編成がランダムなのもポイントで、手持ちのスキルをやり繰りして状況を打開していくという、ローグライク的なプレイ感で繰り返し楽しめるモードに仕上がっている。
プレイにあたっては前編であるという点がネックになるかもしれないが、前述の通り本作だけでもかなりのボリュームがあり、また物語も一区切りが付いているので筆者としてはもし興味があるなら、後編を待たずにプレイすることをお勧めしたい。むしろ後編も同程度のボリュームなら全体としてはかなりの長編になりそうなので、半分ずつプレイするくらいで丁度いいのではないかと思う。
一区切りが付いているとはいえ後編が気になるような場面が散りばめられているのも確かで、また作者のブログによると後編では新システムの実装なども予定されているという。今後の展開も楽しみな作品だ。
ソフトウェア情報
- 「アストロメイデン/アポストロ」
- 【著作権者】
- TORaIKI
- 【対応OS】
- Windows 7/8/10
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 1,944円(税込み)ほか(体験版あり)
- 【バージョン】
- 1.09