週末ゲーム

第540回

“ニコニコ自作ゲームフェス2”窓の杜お勧め作品ピックアップ

窓の杜賞の2DパズルRPG「ソウメイのトウ」など7本を紹介

“ニコニコ自作ゲームフェス2”公式サイト

 ニコニコ動画にて開催された、自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス2”。本イベントでは6月から10月までの作品応募期間を通して230本を越える作品が集まり、11月4日には受賞作品の発表が行われた。

 本誌・窓の杜も協賛し、2DパズルRPG「ソウメイのトウ」を窓の杜賞として選出させていただいたが、他にも面白いゲームが数多く集まっており、受賞作品を1本に絞り込むのは困難を極めた。そこで今回の“週末ゲーム”では、その中でも編集部がとくにお勧めする作品を7本ピックアップしてご紹介する。

直線上に単純化されたローグ系パズルRPG「ソウメイのトウ」

「ソウメイのトウ」

 ローグライクなゲームを、二次元の平面から一次元抜いて直線上で進めるようなゲーム。自分が行動してから敵が行動するという繰り返しのシステムで、目標は塔の100階を目指すこと。見た目にはサイドビューの画面で、100段ある階段を登りきるという感じのものだ。

 プレイヤーの行動は、階段の上り下りと、攻撃、魔法のいずれか。通常攻撃は無制限に使用でき、隣接する敵にダメージを与える。魔法は敵を倒すと手に入るもので、複数の敵にダメージを与えたり、HPを回復したりと色々な効果がある。ただし魔法は1回使うとなくなるほか、持てる数が限られているので、見えている範囲の敵から先々までの手順を考えて操作しなくてはならない。言うまでもなく、自分のHPが0になったらゲームオーバー。コンティニューはなく最初からやり直しだ。

 操作はマウスだけでOK。見た目はシンプルで、100段くらい簡単に行けそうに思えるが、プレイしてみると10段上っただけでも手ごたえを感じ始める。魔法を使用すると自分の属性が変化するのだが、属性は三すくみになっており、敵の属性によっては与ダメージ・被ダメージともに倍加・半減する。これを頭に入れていないと、気を抜いた瞬間に大ダメージで即死したりもする。

 魔法を使う順番や、倒す敵から取れる魔法まで想定して行動しないと、おいそれとは先に進めない。見た目によらず難易度はかなり高いがローグ系ゲームの面白さも確かに感じられる、アイデア賞ものの作品だ。

 バージョンは執筆時点で0.21となっており、未完成につき開発継続中とのこと。

ルールは単純化されているのに、思考を必要とする部分はローグ系よりむしろ増えた印象。詰将棋を延々やるような感覚だろうか
「ソウメイのトウ」
【著作権者】
Kata 氏
【対応OS】
Windows 7(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
0.21(13/11/04)

人魚の謎を巡る不可思議な学園ノベル「永遠のメルディラージェ」

「永遠のメルディラージェ」

 人魚の血を飲むと不老不死になる、という伝説をベースにした物語が展開されるノベルゲーム。テーマが人魚だけあってファンタジーものかと思いきや、舞台はもう少し近代的なイメージの学園もの。妹の行方を捜して、とある学園へ転入してきた主人公の少年が、そこで待ち受ける人魚の伝承と、それにまつわる事件に巻き込まれていく。

 そもそも本作は“ある人物がこの物語を読んでいる”という前置きから始まる。物語の内容も、人魚のイメージとは程遠い“プリンシパル”と呼ばれるロボットのようなものが現れるなど、あちこちに不思議さや謎を感じる展開になっている。加えて結末はショッキングなものだが、それだけ印象は強く残る。

 本作には選択肢がなく、マウスをクリックして読み進めていくだけの簡単なスタイル。ただゲーム的な演出には凝っていて、主題歌付きのオープニングムービーのほか、プレイ中にも3DCGを使った動画の演出が度々入る本格的なつくりになっている。プレイ時間は、クリア後に読めるエクストラシナリオも合わせて5時間程度。長編小説2~3冊分を読み切ったような、かなりの大作だなという印象だ。

図書館のような場所から始まり、ある本を開くと、人魚の伝承をもとにした別の物語が展開される
「永遠のメルディラージェ」
【著作権者】
ときてっと 氏
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
1.00(13/09/01)

スライムが生物界で下剋上? 捕食アクション「GLUTTONY」

「GLUTTONY」

 異常進化したスライムが、最強の生物を目指して戦うアクションRPG。俯瞰視点で固定画面のマップを移動で切り替えながら戦う、昔でいえば「ゼルダの伝説」のようなスタイルだ。

 ゲームとしてやるべきことは実にシンプルで、主人公のスライムは他の生物を食べることで強くなる。そもそも見た目はスライムからは程遠く、人の顔に鋭い牙が並んだような獰猛な姿をしている。

 アクションは通常攻撃とチャージ攻撃が可能。通常攻撃は顔の部分を敵に突き出して噛みつく攻撃で、倒した敵を食べるのにも使う。チャージ攻撃は、溜めた時間によって攻撃パターンが変化し、一定範囲にダメージを与えるものや、遠距離に毒を吐き出すものなどを使い分けられる。あとは移動とジャンプだけ。

 食べることで体力や攻撃力などのステータスが上昇していくので、動いているものはとにかく食べていく。ただ移動方向によっては、序盤からいきなり強力な敵が現れて、あっという間に倒されてしまうこともある。とはいえコンティニューは何度でもでき、強さも引き継がれるので、どんどん挑戦していけばいい。

 冷静にゲーム部分だけを見ると、割とベタなアクションゲームなのだが、異常進化したスライムが何でもかんでも食い散らかすという発想の勝利だ。遊んでいると、敵を食っているだけでだんだん気分がハイになってくる妙な魅力がある。

何でもかんでも食べて自分の力にしていく。とにかく食べまくるだけで楽しくなるゲームだ
「GLUTTONY」
【著作権者】
大複殖門条虫 氏、カツラ殿堂 氏
【対応OS】
Windows XP/7/7 x64(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
M002(13/10/06)

シンプルながら奥深さもある対戦格闘「稲歩町ダイナマイトボム・仮版」

「稲歩町ダイナマイトボム・仮版」

 ベーシックなスタイルの2D対戦格闘ゲーム。基本は弱・強のパンチとキック、それに簡単なコマンド技でまとめられたシンプル操作で、格闘ゲームを遊んだことがある人なら特に迷うことなくプレイできる。ゲームパッドによる操作にも対応する。

 細かい部分を見ていくと、二段ジャンプや空中ダッシュも使用でき、動きの自由度は高い。また打ち上げ攻撃や受け身、カウンター、ガードキャンセル攻撃など、駆け引きに使える仕掛けが多彩に用意されている。派手さはないが、押さえるべきところは押さえたという印象だ。

 そういった基本的な部分がきちんと作られているので、遊んでみるとしっかりした手ごたえがある。キャラクターは4人だけだが、武器の性能やキャラクター性などの個性はそれぞれ際立っている。

 発動から終了までの時間が長めの超必殺技など、随所に懐かしさも感じるところもある。タイトルが「仮版」とされている通り、今回のものは体験版のような扱いだと思われるが、現状でも十分遊べる内容になっている。

とっつきやすいが奥深さもあるシステム。キャラクター数はまだ少ないが、扱う武器に個性が出ていて面白い
「稲歩町ダイナマイトボム・仮版」
【著作権者】
hoe2 氏
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.13(13/11/03)

忍者が火縄銃を撃ちまくる高速アクション「METAL SHINOBI ASSASSIN」

「METAL SHINOBI ASSASSIN」

 忍者が火縄銃と火遁の術を使って戦う、横スクロールアクションゲーム。アーケードゲーム好きの人なら一目で「メタルスラッグ」を思い出すであろう、オマージュされた作品だ。

 火縄銃といっても、マシンガンのごとく連射が効く上、無限に撃てる。火遁の術は誘導ミサイルのような攻撃で、画面上にあるゲージを消費する。ゲージは時間経過で少しずつ回復する仕組みだ。攻撃はこの2種類のみで、ステージ構成もシンプルな横スクロールでわかりやすい。

 プレイヤーキャラクターは忍者らしく二段ジャンプができたりする。ただし火縄銃の向きは水平・垂直にしか向かず、斜めには撃てない。当てにくい角度の敵には火遁の術で対応しながら進んでいく。

 ぱっと見た感じの印象では、敵をバリバリなぎ倒して進むゲームかと思ったが、主人公が忍者だからか、敵味方の動きや攻撃のスピードが全般的にかなり速い。敵の攻撃も四方八方から激しく降りかかるので、序盤から難易度は高めだ。プレイ時間は10~20分程度と短めだが、残機が0になればゲームオーバーで最初からやり直しになる。初見でクリアできるようなゲームではないので、腰を据えてプレイしていただきたい。

とにかくスピードが速いアクションシューティング。敵の攻撃も容赦ないのでアクションゲームが得意な方にオススメ
「METAL SHINOBI ASSASSIN」
【著作権者】
ドイツ軍大佐 氏
【対応OS】
Windows XP/7/8/7 x64/8 x64
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.02(13/10/16)

可愛いネコが剣で戦うカジュアルアクション「ネコ剣士」

「ネコ剣士」

 こちらは可愛いネコが主人公の横スクロールアクションゲーム。見た目のカジュアルさ通りゲームもシンプルで、剣と盾を使って敵を倒しながらステージの最後にあるゴールを目指すというもの。キーボードとゲームパッドでの操作に対応するほか、最大4人で同時プレイできるのも特徴。

 剣の攻撃はかなり激しく連打しても反応するので、思いきり連打しながら攻撃するのが気持ちいい。盾も見た目によらず敵の攻撃を何でも止めてくれるので、防いで反撃するというメリハリのあるアクションが楽しめる。

 全体的に難易度は低めに作られており、プレイ時間は順調ならクリアまで30分もかからない程度。ただし後半は仕掛けが厚くなり一筋縄ではいかなくなるし、最後には巨大なボスも待ち構えている。

 ちなみに作者によると、本作はたった2日で開発したらしい。わざと荒く作られたファミコン風のグラフィックスも時短に必要な要素なのかもしれないが、これはこれでほんわかした世界観を作り出す一助になっており、ゲームとしての完成度はなかなかのもの。今後はステージの追加も予定されているそうだ。

ポップな見た目通りに軽いタッチのアクション。しかし2日で作ったとは思えないクオリティとバランスに驚かされる
「ネコ剣士」
【著作権者】
PEPO 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0

歌詞を主題にしたスマホ用リズムゲーム「WooTouch」

「WooTouch」

 今回紹介する中では唯一のAndroid用アプリ。バックに流れる歌に合わせて、画面上の犬や羊のキャラクターが吹き出しで歌詞を出すので、曲がその歌詞の部分に入った瞬間に吹き出しをタッチする。タイミングがぴったりなほど高得点となるリズムゲームだ。

 曲はフリー素材を使っているが、ボーカル曲(歌詞がないとゲームにならないので)を14曲収録。最初はプレイできる曲が少ないが、ステージをクリアするとコインが手に入るので、これで曲を購入して増やしていく仕組みだ。

 高得点になると、ガイドキャラクターの犬がなぜか燃え上がるオーラをまとったり、羊が毛皮を脱いで水着姿になったりと、ちょっと変だが笑える演出も。また曲によっては、サブキャラクターの羊たちも参加して、その曲専用の演出が見られるものもある。

 リズムゲームとしては、次々に現れる吹き出しをリズムよくタッチしていく気持ちよさは確かにある。楽器ではなく歌詞に注目したリズムゲームというのはユニークだ。

 ただ初めての曲をプレイする時にはタイミングを図る術がない(吹き出しの色変化でタイミングはわかるが、色が変わった瞬間が最高得点なので見てからでは出遅れる)ので、勘で行くか、遅れるのを承知で見てからタッチするしかない。リズムゲームとしてはそこが惜しい。

歌詞をテーマにしたユニークなリズムゲーム。曲数も多くバリエーション豊富
「WooTouch」
【著作権者】
飯田白米 氏
【対応OS】
Android 4.0以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.02(13/08/26)

(石田 賀津男)