週末ゲーム

絶大なスケールの探索系RPG「KILLZVALD~最後の人間~」

12人の“月人”達とダンジョンを探索し、人類再生を目指せ!

(10/02/12)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、絶大なスケールの探索系RPG「KILLZVALD(キルツヴァルド)~最後の人間~」を紹介しよう。

人類が滅びた世界で、100以上のダンジョンを探索していくRPG

主人公“氷虎”と共に目覚めた“月人”アリエス。牡羊座の守護星をもつ主人公“氷虎”と共に目覚めた“月人”アリエス。牡羊座の守護星をもつ

ダンジョンは双六状で、踏破した場所は画面右下にマップとして記録されていくダンジョンは双六状で、踏破した場所は画面右下にマップとして記録されていく

 「KILLZVALD~最後の人間~」は、主人公の“氷虎”が自分以外の人類が滅びた世界で目覚め、12人の“月人”と呼ばれる不死身の人工生命体と共に人類再生を目指して戦う物語だ。基本はダンジョン探索型のRPGで、ダンジョンは双六状のマスを自由に進むことで移動していくトップビュータイプ。敵との戦闘はマップに表示される敵シンボルとの遭遇で発生し、各ダンジョンにいる複数のボスを全部倒すとそのダンジョンを制覇したことになる。ダンジョンの数は100以上あり、それらもフィールドマップ上へ双六状に配置されていて、制覇したダンジョンに隣接するダンジョンしか探索できない。

 なお、本作はダウンロード販売されており、価格は執筆時現在ベクターで2,200円(税込み)など。また、途中までプレイできる体験版が公開されており、セーブデータは製品版に引き継ぐことができる。

 ゲームは主人公“氷虎”が、拠点となる“アラナダ地下幽室”で目覚める場面から始まる。最初の仲間となる“アリエス”と共にダンジョンを移動し、仲間となる月人と合流するのが当面の目的だ。

 操作はすべてマウスで行うことが可能。ダンジョンの移動は1コマずつで、移動先の状態は一切見えなくなっている。ただし“アリエス”の能力“ムーンアイ”を使うと、敵やダンジョンの階層を移動するための階段の位置がわかるようになる。また、移動したコマは自動的にマッピングされ、探索済みエリアとして記録されていく。基本的にはダンジョンを隅々まで探索し、ダンジョン内にいるボスを倒せばダンジョンクリアだ。

 ダンジョン探索中はいつでも“アラナダ地下幽室”に戻ることが可能で、ピンチの場合は拠点で回復してリトライできる。ただし、ダンジョンから離脱するとモンスターが復活するので、再び攻略し直さなければならない。

拠点ではステータスの確認、武器の変更、戦闘におけるキャラクター配置の初期設定などができる拠点ではステータスの確認、武器の変更、戦闘におけるキャラクター配置の初期設定などができる

広大なフィールドマップ。“■”マークの1つ1つがすべてダンジョンとなっている広大なフィールドマップ。“■”マークの1つ1つがすべてダンジョンとなっている

“移動”がポイントとなる独特の戦闘システム

戦闘は7×4マスの場で行う。剣を装備した“氷虎”の攻撃範囲は周囲1マスだ戦闘は7×4マスの場で行う。剣を装備した“氷虎”の攻撃範囲は周囲1マスだ

 戦闘システムは、7マス×4列の場に配置されたカード状のキャラクターをリアルタイムで動かすという独特なもの。各キャラクターにはHPや攻撃力のほかに行動の速さや武器の重さといったパラメーターがあり、戦闘が開始されると各自の行動速度に従って自動で攻撃を行う。プレイヤーが操作するのはキャラクターの移動のみで、マウスによるドラッグ&ドロップでキャラクターを動かすことが可能だ。なお、場は下半分が自陣、上半分が敵陣と分かれており、自陣では任意のマスへ、敵陣では1マスのみ移動できる。

 ただし、行動速度の違いにより、移動を指示してからすばやく行動できるキャラクターもいれば、行動が遅いキャラクターもいる。敵も当然移動するのでそれに対応する必要があるが、移動に手間取っているとその間は何もできないので、効率よく移動を行う必要があるわけだ。また、隣接するマスしか攻撃できない剣や斧、2マス先まで攻撃できる槍、戦場全域を攻撃可能な弓と、キャラクターが装備する武器によって攻撃範囲が異なるため、移動の必要性も変わってくる。なお、マウスでキャラクターをドラッグしている間は時間を止められるので、ある程度は考える時間を確保できる。

 戦闘開始から終了までの間、メッセージが画面に表示されることがほとんどないのも特徴。ダメージの数値や毒などの状態異常アイコンがスピーディに表示され、また行動の速度やHPもカード状のキャラクターの上にゲージとして表示される。

これにより、戦闘中にテキストを読む必要がなく、非常にテンポよく戦闘が進んでいく。操作も移動のみとシンプルでありながら、打たれ弱い弓使いをタフな前衛タイプで守りつつ、最小限の移動で攻撃を手厚くしていくなど、なかなか奥深い。武器と敵モンスターの相性もあり、飛行タイプの敵には弓が強く、甲殻タイプには斧が強いなど、パーティ編成にも気を遣う必要がある。

“月人”を別キャラの武器に封印して強化するなど、やり込み要素も抜群

各武器の“武器研究度”を上げることで新たな武器が開発されていく各武器の“武器研究度”を上げることで新たな武器が開発されていく

“月人”を武器にツヴァルドすると、画面右側の黄色のエリアにある通り、能力が大幅に向上する“月人”を武器にツヴァルドすると、画面右側の黄色のエリアにある通り、能力が大幅に向上する

 各キャラクターには攻撃力、移動速度(すばやさ)といったRPGではおなじみの要素に加え、より強力な武器を装備するために必要な武器タイプごとの熟練レベル、そして各キャラクターの個性となるスキルといった特性がある。戦闘により経験値などを獲得することで、レベルアップによるステータスの上昇、武器熟練レベルの上昇、スキル獲得といった強化が行われていく。

 このあたりは普通のRPGと同じだが、さらに本作では各武器に“武器研究度”というパラメーターがある。本作において武器は拠点で開発することで入手できるが、武器研究度を高めなければ新しい武器を開発できない。しかも武器研究度はアップさせるための専用スキルがあり、これをもたないキャラクターは武器を使用しても武器研究度がアップしない。そのため“効率よく新しい武器を開発するために、誰にどの武器を装備させて武器研究度をアップさせるか?”という要素を考慮した編成と戦闘も、プレイにおける大切な要素となってくる。

 また、“月人”を別のキャラクターの武器に封印する“ツヴァルド”というシステムも攻略の要だ。月人が封印(ツヴァルド)された武器は“氷虎”やほかの“月人”が装備することができ、装備したキャラクターは飛躍的に能力が向上する。スキルも2キャラ分使用可能となり、バラバラに戦わせるよりもはるかに戦闘が有利となる。ただし武器にツヴァルドされたほうの“月人”には経験値が入らないので、成長が遅くなるというデメリットも。“氷虎”と12体の“月人”をどう組み合わせて部隊編成をするか、楽しみ方の幅は非常に広い。

 プレイした印象は、RPGでありながら移動を重視した戦闘など、マウス操作だからこそ手になじむ操作感が新鮮だ。おそらく近年のアーケードで見られるトレーディングカードゲームをロールモデルとしているものと思われるが、それをしっかりマウス操作に最適化している。これが戦闘のテンポのよさと相まって、家庭用ゲーム機やアーケードでは出せない快適さを生み出している。この操作感を味わうだけでも、プレイしてみる価値は十二分にあると言えるだろう。

新たな仲間と会うときには選択肢が出現。キャラクターとの相性などが変化する新たな仲間と会うときには選択肢が出現。キャラクターとの相性などが変化する

 しっかりと描き込まれたキャラクターグラフィック、そんなにあるのか!?と言いたくなるほどのボリュームなど、一本の作品としてのクオリティも高い。今回は体験版でプレイできる範囲をもとにレビューしたが、全体の10%ほどとされるさわり部分だけでも、やり込み要素を味わえるほどだった。製品版では探索範囲や武器の開発などに制限がないのはもちろん、本職の声優によるキャラクターボイスもついており、市販のゲームと遜色ない仕上がりとなっている。まずは体験版をプレイしてみて、気に入ったらぜひ最後までプレイしてほしい。

【著作権者】
StudioGIW
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7
【ソフト種別】
体験版(製品版はダウンロード販売 2,200円(税込み)など)
【バージョン】
-
【ファイルサイズ】
31.7MB

(藤井 宏幸)