石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

PS5のX投稿廃止、高価なPlayStation Portal…… 無料の「PS Remote Play」で何とかしよう

PC上で動画キャプチャすればXへの投稿も簡単

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

PlayStationを賑わす通信関係のニュースで思い出す

「PS Remote Play」の公式サイト

 PlayStation 5/4とX(旧Twitter)の連携機能が、11月13日に終了した。以前はPS5/4の本体から画像や動画などを直接投稿できたものが、現在はスマートフォンアプリ「PlayStation App」を経由しないと投稿できなくなっている。

 理由は明らかにされていないが、XのAPIが有料化されたことが影響したと見られている。Twitterを買収したイーロン・マスク氏はゲーム好きとしても知られ、X上で「ディアブロ IV」を実況プレイしたことが話題になったばかりだが、それに反してゲーム業界のX離れが進んでいる状況だ。

 さらにPlayStation絡みのニュースとしてもう1つ。PS5をリモートでプレイするための端末PlayStation Portalが11月15日に発売された。価格が29,980円となかなかにお高く、あくまでリモートプレイ用端末でありPS5本体は別途必要なため、万人向けではない。ブロードバンドインターネットが普及した現代ならではのチャレンジとして評価すべきだろう。

 この2つのニュースを聞いた時、筆者の脳に浮かんだのは「PS Remote Play」の存在だ。PCやモバイル端末、Android TVからPS5/4をリモート操作するというソフトで、かなり前から無料で提供されている。

 PS5/4のリモート操作は、家族がテレビを見ている間もゲームをしたり、出先から自宅のPS5/4にアクセスしたりという使い方が考えられる。これに加えて、Xへの直接投稿ができなくても、「PS Remote Play」のウィンドウをPCでキャプチャーすれば関係ない。Xに限らず、ゲーム動画の録画や配信もPCなら簡単だ。

PSリモートプレイ | PS5®

PS Remote Playをインストール

 早速、Windows 11のPCで「PS Remote Play」を使い、PS5をリモート操作してみる。手順は公式サイトに詳しく書かれているが、改めて筆者の環境での設定手順を見ていく。

 まずは「PS Remote Play」のソフトをダウンロードし、インストールする。ごく普通の手順で、特に難しいところはない。

ごく一般的なインストーラー

 次にPS5側の設定を確認。ホーム画面から、[設定]-[システム]-[リモートプレイ]と選び、[リモートプレイを有効にする]の項目をONにする。さらに[設定]-[システム]-[省電力]-[レストモード中に使う機能]と進み、[常にインターネットに接続]および[ネットワーク経由でPS5の電源を入れる]の項目をONにする。

こちらはPS5の設定画面。[リモートプレイを有効にする]をONにする
[ネットワーク経由でPS5の電源を入れる]もONにしておくといい

 設定が済んだら、PS5からコントローラーのDualSenseを抜き、PCに有線接続する。PCのデバイスとしてDualSense Wireless Controllerが認識されていればいい。

DualSenseを有線接続する

 続いて「PS Remote Play」を起動。PS5で使用しているのと同じアカウントでサインインする。そして接続先でPS5を選ぶと、同じアカウントでサインインしたことがあるPS5を自動で検索する。見つかればリモート接続し、ウィンドウにPS5の画面が表示される。

「PS Remote Play」で、使用するPS5と同じアカウントでサインインする
接続先。今回はPS5を選択
アカウントが対応するPS5を自動で探してくれる
PS5の画面が出れば接続完了

 なお2度目以降の接続では、以前接続したPS5として選択できるので、すぐに接続できる。またPS5側の設定で[ネットワーク経由でPS5の電源を入れる]をONにしてあれば、レストモード(省電力状態)のPS5を「PS Remote Play」から起動できる。

2度目以降は前回の接続先として選択できる

 リモートプレイを終了する時には、「PS Remote Play」のウィンドウを閉じればいい。その際、PS5をレストモードにするかどうかを尋ねられる。つまり「PS Remote Play」の使用時にレストモードから復帰し、終了時にレストモードに戻すという操作が可能だ。

終了時はPS5をレストモードに移行できる
PS5側の設定がされていれば、レストモードのPS5も起動できる

 「PS Remote Play」の設定では、解像度とフレームレートを選べる。筆者宅は1Gbpsの有線接続となるので、解像度は最高の「720p」、フレームレートは「高」を選んだ。解像度はもっと上げて欲しいが、720pより上の設定はない。

解像度とフレームレートの設定が可能

 ちなみに筆者の環境では、PCにDualSenseを接続すると、PC側の音声出力デバイスがDualSenseに変更された。音声出力デバイスを適切なものに切り替えれば音が出るので、PS5の音が鳴らなくても慌てず対処しよう。

操作感に問題なし、ただしネタバレや著作権には注意

 実際に「PS Remote Play」でゲームをプレイしてみる。フルスクリーン表示にするとウィンドウの枠もなくなり、PS5の実機と変わらない感覚でプレイできる……と言いたいところだが、やはり解像度の低さは感じる。筆者は4Kディスプレイを使用しているため、720pではかなり解像度が物足りない。

 ただそれ以外の点では不満がない。試しに「World of Tanks」をプレイしてみたところ、操作に遅れは感じられないし、画像や音声にも乱れはなかった。PS5のない部屋で遊ぶくらいの用途であれば、十分に実用的だ。

 Windows標準の動画キャプチャー機能も問題なく使用できた。これを使えば、あらゆるPS5のゲームの動画をキャプチャー可能で、配信などにも使える。解像度が720pにはなってしまうが、動画素材としてはさほど問題ないだろう。

「PS Remote Play」をフルスクリーンでプレイし、動画キャプチャーしたものからの切り出し。ゲームの情報は十分わかる品質だ

 ただし注意して欲しいのはネタバレの問題。PS5本体のキャプチャー機能では、ゲーム側で撮影禁止とされている場面ではキャプチャーができないようになっている。しかし「PS Remote Play」でPCに出力した画面はその制約なくキャプチャーできてしまうはずだ。

 アドベンチャーゲームやRPGなどの重要なストーリー展開や、パズルゲームの解き方などは、周知されるとゲームの価値を著しく損なう。そういった場面をPCでキャプチャーできたとしても、配信や動画公開をしないよう注意が必要だ。

 そもそもゲームは著作物なので、本来はゲームプレイの内容を勝手に動画配信してはいけない。テレビ番組や映画を録画し、動画投稿サイトにアップロードするのと理屈は同じだ。最近はゲーム配信に関するガイドラインを公開しているゲーム会社も増えてきたが、逆に言えばガイドラインがないものは全て著作権侵害とされてもおかしくない。

 『ゲーム動画を無断配信している無法者は全員逮捕しろ!』などと過激なことを言うつもりはないが、あくまで著作権者であるゲーム会社からお目こぼしをもらっている、という自覚を持って行動していただきたい。判断ができないならガイドラインに沿う、あるいは「PS Remote Play」を使ってキャプチャーしない、という心がけでいて欲しい。

 間違ってもゲーム会社に許可やガイドラインを出すような依頼をしないようにお願いしたい。これだけ動画配信が手軽になり、配信者が増えている状態でいちいち確認を取られたら、ゲーム会社はとても対処しきれない。だからこそゲーム会社はガイドラインを出しているという側面もあるので、なにとぞご理解いただきたい(別に筆者はメーカー代表でも何でもないが)。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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