石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
地元の場所なら全部わかりますよね! 「GeoGuessr」を市町村単位の「ジモゲッサー」で遊ぼう
同じ出身地の人が集まればパーティゲームとして盛り上がること間違いなし
2024年1月5日 11:00
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
市町村単位のマップで遊んでみる
去年ご紹介した「GeoGuessr」はお試しいただいただろうか。「無料の5分間じゃまともに遊べない」という声があったので補足すると、プレイ中のゲームは5分が経過しても推測するまでは続行可能。その後もプレイ開始から15分後(プレイ中の5分間+αも含むので実質10分未満)で、先のプレイの続きができる。
実際にプレイしてみると、「GeoGuessr」がかなり難しいゲームであるとすぐに気づくはずだ。世界のマップだとどこの国かを判別するのも難しい。地域を日本限定にしても、地域名が書かれた看板なりを見つけないことには都道府県の特定もそう簡単にはいかない。
そこでもっと簡単にする方法がある。自分がよく知る地域に限定すればいいのだ。居住地や地元であれば、一目見てわかる場所も多いはず。界隈ではこの遊び方を「ジモゲッサー」と呼んだりもするとか。
試しに筆者の出身地である滋賀県高島市のマップでプレイしてみよう。
筆者の出身地、高島市のマップを選ぶ
高島市は滋賀県北西部に位置する。地図で言えば、琵琶湖の左上の方である。面積は約693㎢と県内最大で、東京23区の628㎢よりも広い。ただしその1/4は琵琶湖で、それ以外も大半が山地や森林となっている。
2005年に5町1村が合併して誕生したが、それ以前から同地域は高島郡であり変化はほぼない。人口は約4.5万人で、琵琶湖の近辺や扇状地など少ない平野部が主な居住地となっている。琵琶湖の東側は東海道が通っているが、西側は交通の便が悪く、立派な過疎地である。
名産品は東のくさやに対抗する臭い食品で有名な鮒寿司。琵琶湖で取れる小鮎の天ぷらは絶品だが、最近は漁獲量が減っている。百貨店の高島屋はこの地域名から付けられているが、市内に高島屋の店舗は存在しない。
「高島市には何があるの?」と聞かれても「琵琶湖」以外に返事できないくらいのド田舎で、「GeoGuessr」で見ても面白いかどうか怪しいのだが、とにかくやってみよう。
市町村を指定して遊びたい場合は、画面右上の方にある虫メガネアイコンをクリックして、検索ボックスに市町村名を入力。そこからマップを選ぶ。市町村単位のマップは公式に用意されたものではなく、ユーザーの誰かが作成したもので、地域全域からランダムな地点が選ばれるわけではない。それでも遊ぶには概ね不都合はないので試してみて欲しい。
出身地だからといってわかるとは限らない
筆者が高島市にまともに住んでいたのは、高島市になる前の高校生までなのだが、たかが30年くらいでは田舎の風景は大して変わらない。ではプレイしていこう。本作は基本的に5問を連続で解いていく。1問目はこちら。
全くわからない。目の前にあるバス停の「古野」の名前も知らない。高島市は人里離れた山道だらけで、基本的に用がない場所が文字通り山ほどある。
しょうがないので少し道を進んでいくと、橋を発見。橋には川の名前が書いてあることが多いので見てみると、石田川とある。石田の名字を持つ筆者の先祖と縁のある川なのだが、筆者が知らない場所ということはかなり上流のようだ。ここまでわかれば場所は特定できる。
つづいて2問目。
農村風景。高島市の風景から山道を除いたらだいたいこれ。周囲を眺めても絶対わからない。高島市は西側が山、東側が琵琶湖で、人が多く住んでいるのは琵琶湖に近い方なので、よくわからない農村地帯に降り立ったら東に向かうのがセオリー。
少し向かっていくと「清心保育園」の文字が出たので、ここは私の出身地である今津町。さらに進むと、マキノへ向かう見慣れた道が出てきたので現在地を特定。
3問目。
さっきより田畑の割合が高くなった農村部。高島市的にはむしろこちらが一般的な風景で、私が生まれ育った場所もこんな感じ。つまりこんな場所はいくらでもあって、全くわからない。東に進もう。
大きな道に出ると、県道296号と高島市高島の文字。南部の旧高島町と判明。道の方角と分かれ道の形から現在地を特定して、どんどん戻って正解の地点へ。
4問目。
交差点名の西万木は「にしゆるぎ」と読む。場所は安曇川町で旧国道161号、東に向かうと、地元の人は子供の頃にこれがデパートだと信じていた大型スーパーの平和堂がある。これは動かなくてもわかる。
5問目。
高架が見えたら、それは高島市唯一の鉄道であり、ほぼ全線が高架ということで知られるJR湖西線。市を縦断する線なので場所は別で特定する必要があるが、すぐ近くにマキノ駅を発見。国鉄時代には北海道のニセコ駅と並び、全国で2つだけのカタカナ駅名だったと聞いている。
これで無事に5問を達成。今回は比較的ヒントの見つかりやすい人里付近が多くて簡単だった。運が悪いと山奥の細い道を引き、どこまでいっても家も看板もない山道が続くこともよくある。時間制限ありでのプレイは劇的に難易度が上がるので、自信のある高島市民および出身者はふるって挑戦していただきたい。
地域を知っている人が集まって遊ぶとより楽しい
高島市は市町村レベルのマップではかなり難易度が高い方だと思う。今回プレイした問題でも、筆者が現地に行ったことがあるのは2カ所だけ(しかも車で通っただけ)。それでもこれだけ語りながら遊べる。
筆者の妻も同じく高島市出身で、一緒に遊ぶとさらに楽しい。筆者が全く知らない場所でも、「この店知ってる!」とすぐわかることもある。同じ地方の人が集まった時のパーティゲームにすると大いに盛り上がること間違いなしなので、ぜひお試しいただきたい。筆者も高島市に70年住む親父にやらせて、横でニヤニヤしながら眺めたい。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/