石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
東根市って何県? ストリートビューの場所を当てる「Geoguessr」で遊びながら旅しよう
2023年12月22日 11:00
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
ストリートビューで降り立った場所を答えるゲーム
行ったことがない場所へ向かう前、Googleストリートビューで現地の様子を見ておくという方は多いと思う。この機能を活用し、ストリートビューで降り立った場所がどこかを地図上で当てるというゲームがある。名前は「Geoguessr(ジオゲッサー)」という。
本作は世界中のストリートビューからランダムに場所が選ばれ、ストリートビューの映像だけでその場所がどこかを当てるという単純明快な内容だ。遊び方は極めて簡単だが、やってみるととても奥深い知的ゲームであることがわかる。
筆者はまだ遊び始めたばかりで、とにかく当てるのが難しいのだが、それでもゲーム内容を選ぶことで結構楽しんでいる。本作を初心者なりに楽しむ方法も含めて、内容を紹介しよう。
ルールは簡単、でも世界は超難問
本作はWebブラウザーでプレイする。Geoguessrの公式サイトにアクセスすれば、すぐに遊び始められる。
アカウントを作成すれば無料でも遊べる。ただしプレイできるのは15分ごとに5分のみという制限付きになっている。とりあえず本作を試してみたいのであれば、まずはアカウント登録だけ済ませて無料で試してみるといい。
時間無制限で遊びたい場合は、月額399円の「PRO UNLIMITED」プランに加入する必要がある。より安価な「PRO SOCIAL」プランでは無制限にならないので注意。
基本のプレイ手順は、本作のメニュー画面にある「NEW TRIP」ボタンをクリック。そして難易度を選択すれば、世界のどこかがストリートビューで表示される。
ストリートビューでは移動やズームも可能なので、場所の手がかりを探してまわる。ただし制限時間があるため、答えにつながる情報を素早く見つける必要がある。なお[Z]キーを押すと移動した場所から初期位置まで順に逆戻りしていく。
その場所がどこかわかったら、画面の右下にある地図を開き、ここだと思う場所を地図上でクリック。最後に下にある[推測する]のボタンを押せば、正解の場所が示される。
自分が推測した場所と答えの場所の距離に応じてスコアが決まる。近ければ近いほど高得点になるが、離れていても距離に応じてスコアは得られるので無駄にはならない。どこの国か程度しかわからないとしても、その国のどこかを選んでおけば少しはスコアが得られるかもしれない。
ルールがわかったところで遊んでいくのだが、これがどうにも難しい。最も低い難易度だと、世界の有名スポットを選んで出題してくれるのだが、有名と言われても知らないところはあるし、名前は知っていても詳しい場所はわからないということもある。情報はストリートビューの映像だけなので、下手をすると国すら想像できない。
移動は可能なので、周囲の様子から情報を得ていく。看板の文字は何語か、道路標識に地名が書かれていないかなどだ。筆者の場合、URLを見つけてドメインから国を判断することもある。
とはいえ本来は有名スポットを見ただけで場所がわかるべきなのだろう。やればやるほど自分の知識不足が露呈されていき、なかなかの精神ダメージを負う。逆に言えば、本作をプレイすることで世界の名所とその周囲の様子を知れるので、知識向上にはなるのだが。とにかく簡単なモードでさえ普通の人には簡単ではないと思う。
日本限定で遊ぶと初心者でも楽しい
ではどう遊ぶかだが、本作では特定の地域に絞って遊ぶという機能がある。例えば地域に日本を指定すれば、日本国内に限定した形で本作をプレイできる。これなら世界中のどこかよりは情報量が多くて見つけやすく、遊びやすい。
早速、日本でプレイしてみよう。こんな感じでストリートビューの画面が表示される。
……これを一見してどこかわかる人は、地元在住の人だと思う。もっと移動して情報を集めていく。看板や店の名前などから都道府県名や市町村名がわかることが多いので、まずは大きな枠から情報を見つけていく。都道府県名と市町村名までわかれば、地図を表示してその市町村を探せば、かなりゴールに近づく。
そこからは周囲にあるもので地域名を見つけたり、目立つ建物や地形から場所を推測したりしていく。道路標識で国道や県道の番号がわかると現在地は一気に絞り込める。こうして時間をかければそれなりに答えに近づけるので、初心者でもかなり楽しめる。
ただし、日本なら簡単だと言うわけではない。日本の大部分を占める農村地帯や山林地帯が出題されることも多く、日本全国どこも似たような風景で全く推測できないこともままある。特に田舎の細い道を引いたりすると、道路標識や建物もなく、情報がないまま彷徨い続けることもよくある。
一番もどかしいのが、市町村名がわかった瞬間だ。都道府県名より先に市町村名が見つかることがとても多いのだが、県庁所在地や政令指定都市ならともかく、地方の小規模な市町村名だけがわかっても、都道府県名がわからない。
東根市役所を探す旅に出る
今回筆者がプレイした中で最も苦労した問題では、割と早くに「東根市」という名前を発見した。しかし東根市という名前は全く聞いたことがなく、どこにあるのか皆目見当がつかない。
さらに移動を重ねていくと、とある工場の看板に「山形工場」の文字を発見。そうか、東根市は山形県なのか……と自分の無知を恥じつつゲームを進める。
地図から山形県東根市を発見するも、詳しい場所は不明のまま。工場はいくつもあるが他に目立った施設がなく、道は綺麗に区割りされているのに交差点名がないので、特定がやたら難しい。大きめの道を進んでいると、道路標識に市役所が示されていたので、そちらに向かってみることに。
標識に出ているならすぐそこのはず、と思うのは都会の人の発想。地方では標識を見てから数キロ先にあっても文句は言えない。実際にかなりの距離を移動しても見つからず、行ったり来たりしつつ、ようやく緑地の木々に隠れた向こう側に市役所を発見した。周囲に目立った建物がない中、とても立派な市庁舎が建っているあたりも地方あるある。
その後は市役所を地図から探し(これも周囲に目印がないためなかなか見つからない)、そこから道を戻っていくことで何とか答えを導き出した。今回は時間制限を設定せず、答えを見つけるまでプレイしたが、市役所探しに熱中したこともあり1問20分ほどかかった。
プレイ後に東根市について調べてみると、人口は約4万8千人。JRの駅名が「さくらんぼ東根駅」とあったので何だろうかと思ったら、さくらんぼの生産量が全国の市町村で1位なのだそうだ。県庁所在地の山形市までそう遠くもなく、いろんな店もそろっていて、車があればなかなか住みよさそうな街だ。冬は大雪で大変だろうなと思うが。
制限時間を3~5分に設定して遊ぶ方がゲーム的には面白いと思うが、時間無制限でとことん答えを探して回ったおかげで東根市の雰囲気がちょっとわかったし、機会があれば一度行ってみたくなった。そういう出会いをくれるゲームとして楽しむのもまた面白い。Webブラウザーだけで遊べるので、年末年始に気軽にチャレンジしてみていただきたい。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/