石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

1,000万個の地雷を4,800万パネルから探す「みんなでマインスイーパー」

オンライン協力型になり、止め時を失った地雷除去ゲーム

「みんなでマインスイーパー」のタイトル画面

あまりにも広い地雷原をみんなで調べるゲーム

 Windows 95に標準インストールされていた「マインスイーパ」の初級を10秒でクリアするために必死になっていた10代の頃。「何でそんな必死なの?」と当時の自分に問いかけたら、「そこに地雷があるから」としか言えないような中毒性を持ったゲームであった。

 当時のゲームは9×9の81マスだったが、今回プレイする「みんなでマインスイーパー」は、4,800万マスある。地雷の数は1,000万個。1人でクリアするのは一生かかっても無理かもしれないサイズだが、大勢でやればどうなるか。実際にオンラインでリアルタイムマルチプレイゲームにしてしまったのが本作である。

 先に言っておくと、ゲームとしては「マインスイーパ」以外の何物でもない。左クリックでパネルを開き、地雷があると思うパネルには右クリックでチェック。地雷がなかったパネルには、8方向の隣接するパネルに地雷がいくつあるかを示す数字が書かれている。おなじみのルールがそのままだ。

 本作はSteamで販売されている。執筆時点ではまだ製品版が公開されていなかったので、今回は体験版の内容をお伝えする(現在は製品版に置き換わり、配信終了している)。製品版の価格は700円で、現在は10%OFFの630円で販売されている。

まずは広大なマップを見てみよう

 ゲームを開始すると、ルールなどの説明が表示される。基本的な遊び方は「マインスイーパ」のルールを知っていれば問題ない。画面サイズはウインドウサイズを自由に変えて調整できる。初期状態だとウインドウが小さすぎて文字も読めないので、ある程度は大きくしておくのがいい。

 最初に表示される場所は、広大なマップのどこか。見える範囲から適当に開いていってもいい。もしかすると誰かが途中まで開いた場所でスタートするかもしれない(筆者はそうだった)ので、その続きを進めても構わない。

ゲームスタート。経験者には見慣れた画面だ

 だが最初はやはり「4,800万パネルとやらの広さを知りたい」と思うだろう。画面上部にある緑色でピンを立てた絵が描かれた「地図ボタン」をクリックすると、全体マップが表示される。

 全体マップはやや縦長の形をしており、開いていない場所が青く表示されている。開いた場所は他の色になる、プレイヤーごとにチェックするマークを変更できるので、そのマークの色が反映されたものになっているように見える。

 なお、残りの地雷数も地図の上の方に書かれている。筆者がプレイした際には970万個以上の地雷が残っていた。地図を見ると、広い海の中に小島がぽつぽつとあるような状態だ。これでも20万個以上は地雷を見つけているわけだ。果てしない。

青い場所が未調査、その他の色が調査済み。まるで海のようだ

 地図上で移動したい場所をクリックしてピンを置き、下にある「テレポート」をクリックすれば、ピンを置いた場所に移動できる。その横にある「ランダム」をクリックすれば、どこか別の場所へとランダムに移動する。「1倍」と書かれたボタンをクリックすると「4倍」に変わり、地図がズーム表示される。

4倍表示にしても、精密にピンを立てるのは無理なくらい広い

 なお近くの場所を移動したいなら、画面上のどこかをドラッグしながらマウスを動かせば移動できる。遠距離でなければ地図を開いて移動する必要はないので注意。

ミスしても数秒で復活。他のプレイヤーとも協力可能

 地雷がない場所は左クリックで開き、地雷がある場所には右クリックでチェック……としていくが、間違えることもあるだろう。本作では地雷がある場所を開くだけでなく、地雷がない場所にチェックした場合も、どちらもミスという扱いになる。

 本作でミスをすると、数秒間だけ操作できなくなるペナルティが発生する。その後は復活してまたプレイを継続できる。本家「マインスイーパ」は1回のミスで最初からやり直しだったことを思えば、ペナルティはとても軽い。

ミスすると数秒間は待機

 ただしミスしたパネルは赤枠が付けられ、ミスによって開かれたという情報が残り続ける。これを他人に見られると思うと恥ずかしい気もするが、何せ4,800万パネルもあるので気にするだけ無駄だと思う(ミスしないに越したことはないが)。

ミスした場所は赤枠が付けられる。他のプレイヤーがミスした場所も見える

 他のプレイヤーは、そのプレイヤーが最後に開いたパネルの位置に名前が表示される。近くでプレイしている他のプレイヤーが居れば、そのプレイヤーがパネルを開いていく様子がリアルタイムに確認できる。場所がバッティングしないように離れてあげてもいいし、難しそうなところを手伝っても構わない。

 たまに上級者に遭遇すると、すごいスピードでパネルを開いていく様子も見える。見えるのは名前と開かれたパネルの情報だけなのだが、一緒にやっている感じは十分出ていて、「この広大な地雷原を一緒に攻略しているんだな」という仲間意識が芽生えてくる。そこでミスするとやはり恥ずかしい。

他のプレイヤーと遭遇。広すぎてあまり出会わないので、誰かを見つけるとちょっとうれしい

見えている情報は全て正しい。だからストレスなく無限に遊べる

 その後も黙々とパネルを開いていくうち、本作ならではの良さに1つ気づいた。

 本作では、地雷を開いてしまった場合だけでなく、地雷のないところにチェックをした場合もミスとなり、そのパネルは開かれた状態になる。そして他のプレイヤーが開いた情報も自分に伝わる。

 つまり、他のプレイヤーが開いたりチェックしたりした情報には、間違いがない。これが本作のポイントだ。

他のプレイヤーがプレイした場所も引き継いで遊べる。開かれたパネルの情報は全て正しい

 普通の「マインスイーパ」だと、自分のチェックが正しいかどうかの保証がなく、1つのチェックミスのせいで行き詰まることもある。本作では開かれたパネルに間違いがないので、そこのストレスからは解放されている。

 見えている情報を信じてプレイし、間違えてもちょっとのペナルティで復活する。開くべきパネルは無限と言っていいほどある。とにかく「マインスイーパー」というゲームを、ストレスなく、いつまでも集中して楽しめるのだ。

 オンラインで他のプレイヤーと遊べるとか、地雷の数が1,000万個だとかいう情報にもインパクトはある。しかし実際に遊んでみると、見えている情報を信じてひたすら遊べるということが、本作の最もいいところなのではないかと思う。

 ゆえに筆者も「このゲームならちょっと遊べばわかるかな」と思って遊び始めて、気づいたら延々と時間を奪われていたのである。本作に止め時などない。自制心に自信がある人でない限り、「寝る前にちょっと遊ぼう」などと思って手を出さないことをおすすめしておく。普通の「マインスイーパ」よりタチが悪い。

 なおパネルを開いたり、地雷をチェックしたりした時には、スコアが加算される。スコアランキングもあるので、これも目に入ると気になってハイスコアを目指してしまう。これはオンラインゲームならではの面白さだろう。尋常でないスコアを叩きだしているプレイヤーの腕前を見てみたいものだ。

スコアランキングも搭載
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。