石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

ゲームのおねだり機能も搭載? 「Steamファミリー・子どもアカウント」

遊べるゲームや時間の制限、利用状況の確認などができる

「Steamファミリー」の子どもアカウント

子供のSteamゲームを管理できる機能

 先週は家族間でSteamゲームを貸し借りできる「Steamファミリー」機能を紹介した。家族でPCゲームを楽しむ方にはとても便利な機能なので、ぜひお試しいただきたい。

 今回はこれに引き続き、子どもアカウントについての解説をしていく。大人アカウントはライブラリをシェアできるだけという印象だったが、子どもアカウントは細かな管理機能が用意されている。

登録手順は大人と同じ

 まずは子どもアカウントの登録から。先にアカウントを作成し、フレンド登録しないとファミリーに招待できないのは大人アカウントと同じなので、手順は前回の記事をご確認いただきたい。

 子どもアカウントとして登録したい場合は、親のアカウントから招待する際に、[子どもとして招待]を選ぶ。

[子どもとして招待]を選択

 招待されたアカウントには、子どもとしてファミリーに招待されたというメッセージが届くので、承認ボタンを押す。

子どもとして招待される

 すると参加確認のため、メールアドレスに承認のためのURLが送信される。メールを確認し、URLをクリックすれば登録完了となる。

 親のアカウントから確認すると、子どもアカウントがファミリーに登録されているのが確認できる。これで登録手続きは完了だ。

子どもアカウントが登録された

利用制限やリクエストなど充実した管理機能を搭載

 次は子どもアカウントの設定方法。大人アカウントとは異なり、ペアレンタルコントロール機能が用意されている。使用しなければ大人アカウントと同様に制限がない状態だが、それ以外にもファミリーからの脱退は大人アカウントが認める必要があること、また大人アカウントから子どもアカウントのパスワードを変更できることが制約としてある。

 ペアレンタルコントロール機能を使用すると、多数の設定項目が出てくる。まずはシェアされるライブラリについて。子どもアカウントでは、シェアするタイトルを選択できる。表示されているタイトル一覧をクリックすると明るく表示され、子どもアカウントにプレイを許可した状態となる。

シェアするタイトルを選択できる

 続いてはコンテンツ利用制限。[Steamストアへのアクセスを許可]は、OFFにすると子どもアカウントからSteamストアを表示できなくなる。親が許可したゲームだけを遊ばせるために使うのであれば、ストアにアクセスする必要はないので、この設定をOFFにするといい。

ストアにアクセスできるかどうかなどを決められる

 ONにした場合は、子どもアカウントから大人アカウントへ購入をリクエストする機能を利用できる。ショッピングカートにゲームなどを入れた状態で支払画面に進むと、[購入をリクエスト]というボタンが出る。これを選ぶと、大人アカウントに購入リクエストが届き、支払いに進むか、リクエストを拒否するかを選べる。

 簡単に言えば、『このゲーム欲しいから買って!』と子供から親に伝える機能である。ここで購入したゲームは、子どもアカウントのライブラリに追加される。親により代理決済機能というわけだ。

[購入をリクエスト]というボタンがある
大人アカウントで買うかどうかを決められる

 なお子どもアカウントからの決済を止める方法はないようで、ストアにアクセスできる場合は、子供が決済もできる。プリペイドカードのほか、親のクレジットカードをこっそり使って決済することも可能と思われるので、ストアへのアクセスをどうするかはよく考えて決めて欲しい。

 ちなみにSteamには、ゲームをフレンドにプレゼントするギフト機能がある。家族間でもギフト機能は使用できるが、リクエスト機能の方が手間は少なくて済む。

 それ以外では、[コミュニティ生成コンテンツへのアクセスを許可]、[オンラインプロフィール、スクリーンショット、実績へのアクセスを許可]、[フレンド、チャット、グループへのアクセスを許可]がある。Steamのオンライン機能を活用していくと必要になってくる可能性があるが、とりあえずOFFにして利用するのがいい。

 もし子どもアカウントの方で、ブロックされている機能を使いたくなった場合は、大人アカウントに解除をリクエストする機能がある。リクエストを受け取った時点で、大人アカウントでどんな内容なのかを確認し、許可を出すかどうかを選べばいい。

子どもアカウントから機能制限を解除するリクエストを送れる

 次は[プレイ時間制限を設定]。文字通り、プレイ時間を制限する機能で、プレイ可能な時間帯を30分単位で設定できるほか、1日全体での利用時間制限も設定できる。

 例えばプレイ可能な時間設定を13~17時、19~20時とすると、これ以外の時間ではSteamのゲームをプレイできない。これに加えて時間制限を2時間に設定すると、14時からプレイした場合は16時でプレイ終了。その日はそれ以上プレイできなくなる。

プレイできる時間帯と総プレイ時間を制限できる

 最後は成人向けコンテンツへの制限。成人向けというのは、性的表現や暴力表現があるもの。日本で言えば、CERO Z(18歳以上のみ対象)とされたもののゾーニングに類する機能と考えるといいだろう。

成人向けコンテンツの制限

 暴力表現に関しては、過激な暴力やゴア表現を含むものの可否が別途選択可能。また性的な表現では、多少のヌード表現などを含むもの、ヌードや性的テーマを主とするもの、露骨な性的表現を含む成人指定のもの、という段階的な制限もかけられる。

 『子どもアカウントなのだから、成人向けコンテンツ全般をブロックすべき』と思うかもしれないが、これがなかなか難しい。例えば10月に発売された「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は、Steamでは『多少のヌードや性的なコンテンツ』、『成人向けコンテンツ全般』の指定がされており、子どもアカウントで成人向けコンテンツをブロックしていると、ストアページを表示できない。

成人向けコンテンツ全般をブロックすると、「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は閲覧不可

 ではブロックを解除するかというと、他の『多少のヌードや性的なコンテンツ』を許容するかどうかという問題がある。この辺りは親子でよく話し合って決めていただきたい。

 ただし制限がかけられるのはストアの閲覧だけのようで、ライブラリでシェアされたものは子どもアカウントでも問題なくプレイできる。親のアカウントで購入してから、子どもアカウントにもライブラリでシェアするかどうかを決めるという方法もある。

「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」も、成人向けコンテンツとしてブロックされる
大人アカウントのライブラリをシェアすると、子どもアカウントでもプレイ可能

 このほか、子どもアカウントでいつ何のゲームがプレイされたかも確認できる。

プレイしたタイトルやプレイ時間を確認できる

ただしSteamアカウントを取得できるのは13歳以上

 子どもアカウントの管理機能は、欲しいものがうまくまとまっていると思う。ただSteam自体の成人向けコンテンツの規定が非常にややこしく、日本のCEROレーティングとも連動していないので、子供にストアを使わせるというのがちょっと厄介かもしれない。ここは親がSteamに慣れているかどうか、というのも大きいとは思う。

 注意点として、Steamのアカウントは、13歳未満は作成できないという規約がある。親が子供のアカウントを作成し、親が管理すればいいのではないかと思い、サポートに問い合わせてみたところ、『作成者が13歳以上でなければ、親が管理するとしても規約違反』という回答を得た。いまひとつスッキリしない回答だが、子どもアカウントも含め、13歳以上で使うものと考えておこう。

アカウント作成の際、『私は13歳以上で』という文言が入っている
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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