石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
Steamのゲームを家族間で貸し借りできる「Steamファミリー」【12月3日追記】
セーブデータも個人別に。同時プレイだけは不可
2024年11月28日 16:45
Steamゲームを家族間で共有したい
最近は日本のゲーム会社もPCでの展開に積極的だ。日本の国民的RPGと言われる「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のHD-2DリメイクがPC版も用意されたのは特に印象的だ。もはやPCゲームはマニアのためのものではない。
我が家では妻が「ドラゴンクエスト」シリーズの大ファンで、過去のシリーズ作品も筆者よりはるかに熱心にプレイしている。今回の「ドラクエIII」もプレイしたいに違いない。
ただ、PCゲームはちょっと扱いが面倒だ。Steamで購入したゲームはアカウントごとに管理されるため、筆者が持っているPCゲームソフトで妻に遊んでもらうためには、筆者のSteamアカウントでログインせねばならない。しかもセーブデータは筆者のものになるので、複数のセーブデータが持てないゲームだと、既存のデータを削除することになる。
これらの問題をあっさり解決してくれるのが、Steamで9月に実装された「Steamファミリー」だ。どんなものか説明していこう。
ファミリーシェアリングでセーブデータも個別に持てる
Steamファミリーは、Steamで家族のグループを作る機能。家族それぞれが作成したSteamアカウントで、最大6名のグループを作れる。利用は無料。
目玉機能となるのが「ファミリーシェアリング」。家族それぞれがライブラリに保有しているタイトルを、家族全員で共有できるという機能だ。これを使えば、家族のPCで自分のSteamアカウントを使ってログインする必要はなくなる。しかもセーブデータは各々のアカウントに記録される。
先の例で言えば、筆者と妻がSteamファミリーでグループ化すれば、妻のSteamライブラリに筆者の「ドラクエIII」が加わる。妻がプレイしたデータは、妻のSteamアカウントに独立して記録され、筆者のセーブデータには何ら影響を及ぼさない。
共有可能なタイトルは、ファミリーシェアリングに対応しているもの。大抵のタイトルは対応しているので心配はない。なお発売前のタイトルではファミリーシェアリングの対応情報が出ていないようで、発売後に再度確認すると対応していることがほとんど。また無料プレイのタイトルも対象外となる(各々がダウンロードすればいいため)。
制約は、同時プレイができないこと。ファミリーの登録メンバーの誰かがプレイ中のタイトルは、他のメンバーはプレイできないようになっている。先にプレイしているメンバーがゲームを終われば、他の人も利用できるようになる。
実際に試してみると、Steamライブラリ上で通常は[プレイ]となっているボタンが、[購入]ボタンに変わっている。もし同時にプレイしたければ、ソフトを追加購入せよ、という意味だ。
例えば、オンラインプレイが可能なタイトルを2人で遊びたければ、ソフトは2つ購入する必要がある。もし3人家族でソフトを購入した人が2本いるなら、2人まではどの組み合わせでもプレイ可能になる。3人同時にプレイしたければ、もちろん3人分必要だ。
ファミリーシェアリング機能を実際の家に例えると、共有可能なタイトルは家族全員が触れる棚に並べてある状態。遊びたい人が遊びたい時に棚からソフトを持ち出し、遊び終わったら棚に返す。複数本購入したタイトルは、その数だけ棚に並べられている。プレイデータは各々のPCに記録されている。……といった具合。
また共有するタイトルは選べない。各々のライブラリにあり、ファミリーシェアリングに対応したタイトルは、全て共有される。『このタイトルを持っていることを家族に知られたくない』と思っても、基本的には止められない。唯一ある方法はペアレンタルコントロールで、これは次週詳しく解説していく。
[12月3日追記]
ライブラリの共有について読者様からご指摘いただいたので追記・修正させていただく。
ライブラリで共有するタイトルは選べず、全て共有されると説明していたが、一部のタイトルを除外する方法があった。今年3月に追加された「Steam非公開ゲーム」を使用する。
「Steam非公開ゲーム」は、Steamのフレンドなど他のユーザーから、自分がそのゲームを所有していることを隠せる機能。プロフィールのゲームリストや、最近プレイしたゲームの一覧、フレンドへの実績の通知や[このゲームを所有しているフレンド]への表示が消える。ただしSteamマッチメイキングを使用するマルチプレイヤーゲームには参加でき、その間は招待したフレンドにゲームのステータスが表示される。
この設定を設定したタイトルは、「Steamファミリー」のライブラリ共有からも除外される、という仕組みだ。ライブラリの共有を除外するための機能ではなく、そのタイトルを持っているという情報を他のユーザーから遮断するという、より影響が大きい手段となる。使用の際には「Steam非公開ゲーム」のヘルプを参照した上で判断していただきたい。
具体的な使用方法は、各タイトルの設定から[管理]-[非公開に設定]と選択する。確認表示が出るので、内容を確認した上で[非公開に設定]を選べば設定完了。設定アイコンの上に、赤い目に射線が入ったアイコンが出れば、非公開中になっている。
なお筆者の環境で実際に試してみたところ、一度ライブラリで共有されたタイトルは、家族のアカウントのライブラリ一覧に残り続けていた。ただし共有自体は止まっているため、[プレイ]のボタンが[購入]に変わっていた。
絶対に家族に見せたくないタイトルがある場合は、「Steamファミリー」に家族を招待する前に、非公開設定を済ませておく方がいいだろう。また「Steamファミリー」を設定後、家族に知られたくないタイトルを購入する際には、購入時に非公開設定するオプションがあるので、設定を忘れないように。
Steamファミリーの登録手順
実際のSteamファミリーの利用手順を見ていこう。まずは参加する人全員がSteamアカウントを取得しておく。アカウントの取得も無料だ。
次にファミリーを作成する。Steamを起動し、右上にあるアカウント名の場所をクリックし、出てきたメニューから[アカウント詳細]をクリック。アカウント情報が開くので、左にある[ファミリー機能の管理]を選択する。
Steamファミリーが作られていない、あるいは自分が参加していない場合は、セットアップの画面が出る。まずは[ファミリーを作成]をクリックする。
ファミリー名を尋ねられるので、好きな名前を付けて作成。
これでファミリーは完成。自分1人のファミリーグループが作成される。
次は別のアカウントをファミリーへ招待する。画面下の「メンバーを招待」をクリック。すると誰を招待するか聞かれるのだが、探せるのはフレンドリストに登録したアカウントに限られている。まずは招待したい相手とフレンド登録する必要がある。
フレンド登録は、ウインドウ上部の[コミュニティ]の右隣にあるアカウント名の場所にマウスカーソルを乗せ、出てきたメニューの中から[フレンド]を選択。
次に[フレンドの追加]を選択。登録方法は、相手にフレンドコードを教える、招待用のURLを送る、フレンドのプロフィール名を検索する、といった方法がある。どれを使ってもいいので、まずは家族とフレンド登録をする。
フレンドに登録できたら、再び[ファミリー機能の管理]に戻り、[メンバーを招待]をクリック。フレンドリストの中から家族のアカウントを選んで招待する。大人か子供かを聞かれるので、今回は大人を選択。
招待できたら、今度は招待された側のSteamアカウントを確認。同じように[ファミリー機能の管理]を開くと、ファミリーへの招待を承諾するかどうかの画面が表示される。問題なければ[承諾]を選ぶ。
これでファミリーには2人が登録された状態になる。ライブラリを確認すれば、ソフトが共有された状態になっているのが確認できるはずだ。さらにファミリーのメンバーを増やしたいなら、同じように繰り返していけばいい。
注意点としては、ファミリー登録は一度してしまうと、その後1年間は他のファミリーに参加できなくなる。ゲームを多数保有しているフレンドをファミリーに招待し、ゲームを共有させるという悪用も可能ではあるので、気軽に承諾しないようにしたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。