石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「学園アイドルマスター」がPCに対応したので、スマホ版未経験でプレイしてみた
学園ものになっても確かに感じる「アイドルマスター」のテイスト
2025年3月21日 16:45
「アイドルマスター」シリーズ最新作がPCで遊べる
「アイドルマスター」というゲームが登場したのは、今から20年前の2005年。アーケードゲームとして登場した「THE IDOLM@STER」は、タッチパネル操作で日本一のアイドルを育成するという作品。そのゲーム内容に加え、店舗間通信にも対応したことで、さまざまな面でインパクトの強い作品だった。
それからも家庭用ゲーム機、モバイルなど、「アイドルマスター」シリーズは多方面に展開されていく。筆者もいくつかはプレイ経験があり、「THE IDOLM@STER 2」のライブシーンは映像・楽曲ともに極めてハイクオリティだったし、Androidで遊べた「アイドルマスター ミリオンライブ!」も印象的だし、「THE IDOLM@STER Dearly Stars」は楽曲を含めてもっと評価されるべきだと思う。
筆者の思い入れは置いておいて、今日は新作の「学園アイドルマスター」の話。本作は既にスマートフォンで提供済みだが、3月18日からDMM GAMESからPCで利用可能となった。
舞台が学園ものとなり、登場キャラクターも一新されているが、昨年5月の登場時からかなりの人気を集めている。特にキャラクター人気が強いようで、筆者のXにはファンメイドのイラストやマンガがよく流れてくる(そういう趣向のつながりが格別多いのだとは思うが)。
かく言う筆者は本作をプレイしていない。スマートフォンのゲームは隙間時間を食われ過ぎるのでプレイしなくなったのだが、せっかくPC版を用意してくれたのだから試してみようと思う。
アイドル育成の学園にプロデューサー役として入学
PC版をプレイするには、DMM GAMES版のホームページへアクセスする必要がある。「学園アイドルマスター」で検索して最初に見つかる公式サイトはスマートフォン版のもので、PC版への誘導が見当たらないので注意。
最初に「DMM GAME PLAYER」というソフトのダウンロードを求められる。インストールして起動すると、「学園アイドルマスター」の情報が表示されるので、[マイゲームを確認]を選択。続いて本作のアイコンをタップしてゲームをダウンロードする。筆者はゲームの事前登録を済ませていたので、未登録の方は新規登録の手順が必要になるかもしれない。
ゲームをスタートすると、最初にダウンロードが始まる。ダウンロード中はゲームのデモ動画が流れ、登場キャラクターのライブシーンやレッスンの様子などの映像を見られる。ダウンロード中にも退屈させないどころか、ゲームの面白そうなイメージをうまく伝えている。
本作の舞台はアイドルを育てる「アイドル科」を持つ学園。主人公もこの学園の生徒だが、アイドルではなく「プロデューサー科」に入学し、同じ学園に通う女子生徒たちをプロデュースする。なかなか豪快な設定であるが、学園ものと考えると主人公は先生より生徒の方がいい、という方向性なのだろう。
まずはプロデュースするアイドルを選択する。最初は3人の中から選択するそうで、筆者はギャルっぽくてプロデュースが気楽そうな「藤田ことね」を選んでみた。
すると場面が切り替わり、バイトが終わったばかりのことねが登場。そこに主人公が声をかけ、アイドルとしてスカウトすることを伝える。いきなり声をかけ、初対面で『あなたをプロデュースします』と伝えるのは、さすがに怪しすぎるのでは?
と思ったらあっさり乗ってきた。この子、大丈夫かな? 詐欺とかにひっかからないかな? 目を離すと危なそう……と保護欲がわいてきた。そういうキャラクターなのかもしれない。
学園に戻ると、先生から『この子がステージに立つ姿をイメージしてみて』と言われる。画面が切り替わり、大きなステージでことねが歌っているシーンが流れる。いずれこういう舞台が来るのであろう、とプレイヤーにうまくイメージさせてくれる。
その後はシリーズではおなじみのレッスンがあり、他のアイドルと競う試験を乗り越えて、学園での屋外ライブに出演する。これはゲーム内容を把握するためのチュートリアルであろう。アクション性はなく、カードを選んでステータスを上げることで競うという内容になっている。
ひととおりの流れを学び終えると、ゲーム本番向けのダウンロードが始まる。今回はダウンロードの後ろで、アニメで描かれたオープニング風の動画が流れる。こちらはアイドル達が全員登場して歌うテーマソング入り。アニメの第1話の終わりにオープニングが流れるような演出で、見せ方が今っぽくてうまい。
古くからのファンに、チュートリアル部分だけでも遊んでみて欲しい
あとはこの流れでゲームを進めていくことになるようだ。もちろん完全無料というわけではなく、有料のガチャも用意されているが、ベースのコンテンツは基本無料で楽しめる。
チュートリアルと思しき部分をプレイして感じたのは、ちゃんと「アイドルマスター」のテイストが感じられること。学園ものになり、登場キャラクターが一新され、プラットフォームがスマートフォンベースになっても、初代「THE IDOLM@STER」から続くキャラクターの個性やデザインの方向性は、一貫したものが残っている。
本作は学園ものになったことで、「アイドルマスター」という名前はありつつ、新規IPと呼んでいい状態だ。それゆえに、シリーズのファンでも本作に抵抗を感じる方はいらっしゃるかもしれない。いわゆる『今までの推し』がいないのも大きい。
それでも、ゲームのプレイ感や、設定のちょっと強引な感じ、キャラクターの濃いめの個性など、そこかしこに「アイドルマスター」を感じる。もしタイトルを隠された状態でプレイを始めても、これは「アイドルマスター」だろうなとわかると思う。そこが初代からのファンには何だか嬉しい。
加えて、本作のキャラクター自体も魅力的だ。筆者が何となく選んだことねも、劣等生なギャル感を出しつつも、決してやる気がないわけではない。この先に成長のドラマが期待できそうなスター性をちゃんと持っている。他のキャラクターも、かなり癖の強い感じではあるが、それゆえにどんなアイドルに成長していくのか楽しみな部分がある。
シリーズのイメージを刷新する作品ではあるが、シリーズのファンが離れる必要はなく、これはこれで楽しんで欲しいと思う。
あとはPC版の利点として、それほど高いスペックは要求されていない。GPUはRadeon RX 470またはGeForce GTX 960以上とされており、エントリークラスのゲーミングPCでも十分対応できる。
グラフィックスはスマートフォンベースだけあって、最高画質を選んでもPCゲームとしてそこまで美麗とは言えない。それでもキャラクターの表情がわかるくらいには作り込まれており、PCでプレイして物足りなさを感じることはないだろう。
気になるのは画面比率。ゲームプレイ中は基本的に縦長だが、ライブシーンなどでは横長になる。スマートフォンなら端末を縦横持ち替えれば済むのだが、PCだとウインドウのサイズが縦横に伸び縮みするのがどうも気持ち悪い。PC版なら16:9の横長固定でUIからアレンジして欲しい。
今回は連載に間に合わせるため急ぎプレイしたので、筆者もまだまだ本作を堪能できていない。それでも、本作の世界観や面白さのポイントは十分伝わってくる。興味はあるがスマートフォンでは遊びたくないと思っている方、特に初期の「アイドルマスター」のファンの方は、ぜひ恐れずにPC版で体験してみていただきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。