石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
PCゲームのA/Bボタンが入れ替わる? それ、Switch/PC両対応のコントローラーでは?
SwitchとPC(XInput)のコントローラーにある致命的な違いが原因
2025年3月27日 16:45
SwitchとPCの両対応コントローラーでトラブル
先日、本連載の担当編集からこんな話があった。
『PCでゲームをやると、AボタンとBボタンが入れ替わるんです』
これを聞いた筆者は、『SwitchとPC、両対応のコントローラーを使っていませんか?』と返事をしたところ、正解だった。いったい何が起こっているのか説明しよう。
Switch用ながらXInput対応をうたう製品がある
まず、最近のPCゲームは、基本的にXInputに対応するコントローラー(ゲームパッド)を使用することをおすすめする。XInputについては本連載で以前解説しているので、そちらをご覧いただきたい。最近のPCゲームは、ほぼXInput対応のコントローラーを使うことを想定して作られている。
これを踏まえて、Switch/PC用のコントローラーを見てみよう。筆者宅にも、HORI製のSwitch/PC両対応コントローラー「ホリパッド ミニ for Nintendo Switch」がある。コンパクトサイズで子供の手でも持ちやすい、良い製品だ。
Webサイトで商品情報を見ると、確かにSwitch/PC対応と書かれている。そして注意書きとして、『本品はXInput対応のゲームのみ対応しています。DirectInput対応のゲームには対応しておりません』とある。XInputのコントローラーとして、PCで認識するということだろう。
実際にPCに接続してみると、正しくコントローラーとして認識した。そしてゲームプレイにも使用できる。ただ、何か操作がおかしい。いつもの感覚でAボタンを押すと、Bボタンを押したことになってしまう。
SwitchとPCのコントローラーは似ているが実は違う
この原因は、SwitchとPCの純正コントローラーを見ていただければすぐにわかる。Switchは「Nintendo Switch Proコントローラー」、PCは「Xbox ワイヤレス コントローラー」が純正の標準仕様と呼ぶべきコントローラーだ。
全体の形状やアナログスティックの位置など、一見とても似ている製品だ。しかし完全に異なる部分がある。A/B/X/Yボタンの配置だ。A/BボタンとX/Yボタンが、それぞれ逆の位置になっているのがわかる。
さきほど紹介した「ホリパッド ミニ for Nintendo Switch」は、ボタン配置はSwitchと同じだ。しかしSwitchとPCに両対応し、XInputのコントローラーとして動作する。
その結果どうなるかというと、コントローラーに書かれているとおりにボタンを認識する。Aボタンを押せば、PCゲーム内でもAボタンを押したと認識される。当たり前ではあるのだが、これが問題なのだ。
既にPC用のコントローラーを使用してゲームを楽しんでいる人がこのコントローラーでPCゲームを遊ぶと、普段とはA/BボタンとX/Yボタンが逆に配置されているため、プレイに大きな違和感が出てしまう。
それならいっそPC用コントローラーを使わず、最初からSwitch/PC両対応コントローラーで遊んでいれば違和感はないかもしれない。ただこの場合でも、本来想定されているボタン配置と異なることで問題が発生しうる。
ゲーム内のチュートリアルで、操作がわかりやすいようにコントローラーがビジュアル表示されていたとする。そこで『Aボタンを押せ』と表示されたら、その位置にあるのはAボタンではなくBボタンなのである。
XInput対応コントローラーであれば、ボタンの配置も決まっていると思っていい。「ホリパッド ミニ for Nintendo Switch」の説明を再度よく見ると、XInput対応コントローラーとはうたっておらず、『XInput対応のゲームのみ対応しています』と言っているだけだ。
PC用のコントローラーを用意するのがベストだが、「Steam」で対応可能
そういえば担当編集氏は『上下の操作が逆になる』とも言っていた。製品によってはそういう挙動になるものもあるのかもしれない。とにかく重要なことは、Switch用とPC用のコントローラーは、実はボタン配置が異なるということだ。
教訓としては、Switch用でPC(XInput)対応をうたうコントローラーより、PC専用のコントローラーの方が何かと不便が出ない。使うにしても、こういうものだとわかった上で、対策を用意しておくのがいい。
細かいことを言えば、PC用でXInput対応のコントローラーでも、2本のアナログスティックが水平に取り付けられたもの(いわゆるPlayStation配置)もある。A/BとX/Yが逆転している製品に比べれば違和感はないし、こちらの方が好みという方も多いとは思うが、PCゲーム開発者が想定したデザインではなく、操作に支障をきたす作品がないとも言い切れない。
A/Bボタンの逆転問題に対する最も簡単な対策としては、PCゲームの配信プラットフォーム最大手の「Steam」クライアントにある、ゲームパッドの設定機能を使用することだ。A/BとX/Yボタンの機能を入れ替えたり、アナログスティックの上下操作を逆転させたりもできる。
こうすれば慣れた操作感覚でSwitch用のコントローラーを使用できるが、今度は見た目上のA/BおよびX/Yボタンが入れ替わることになる。どちらを選ぶかは各々で判断していただきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。