使ってわかるCopilot+ PC

第104回

Arm版Windowsのプリンター問題は「Windows Ready Print」で解消

ただし古すぎるプリンターはx64版Windowsでも使いにくくなっていく

MicrosoftのTech Community Blogに掲載された「Windows Ready Print」に関する情報

Arm版Windowsでもプリンターが使いやすくなる

 Windows 11の7月の月例パッチで、新たな印刷方式である「Windows Ready Print」が導入された。プレビューパッチでは6月から導入されている。

 「Windows Ready Print」の目玉要素は、プリンターのドライバーが不要になるという点。新しいプリンターに接続する際に、製品ごとのドライバーを探してインストールするという手間がなくなる。これはとても便利な話だが、Arm版Windowsではもっと大きな影響がある。

ARM64対応のプリンタードライバーがなかった

 Arm版Windowsでは長らく、プリンターとの問題が取りざたされてきた。簡単に言えば、ドライバーがないのである。Windows用のドライバーと言えばx64/x86用であり、ARM64用ドライバーはほとんど用意されていなかった。

 Arm版Windowsには、強力なx64/x86エミュレーターが搭載されているが、ドライバーレベルの動作には対応できない。よって、Arm版Windowsではプリンタードライバーが導入できず、印刷環境を整えられなかった。

 最近では、大手メーカーがARM64版のドライバーの提供を進めてはいる。ただこれも現行機種に限ったことが多く、生産終了した古い機種までは対応できていないことが多い。

 この状況が「Windows Ready Print」によって、大きく改善される。

Mopriaの認定を受けたプリンターかどうかが重要

 「Windows Ready Print」は、個別のドライバーを必要とせず、Windowsの標準機能として印刷機能を提供する。個別のドライバーのインストールが不要になるとともに、サポートが終了したデバイスの脆弱性が放置されるような心配もなくなる。

 これにより、Windowsがx64版でもArm版でも関係なく、Windowsの標準機能としてプリンターを利用できる。これまでプリンターはArm版Windowsの弱点の1つと語られてきたが、今後はx64版Windowsと同じように使用できる仕組みが整ったわけだ。

 この仕組みで動作するプリンターは、Mopria認定プリンターとされている。MopriaのWebサイトから、メーカーや型番を入力して検索し、Certified(認定)のチェックがあれば「Windows Ready Print」で印刷できると考えていい。

MopriaのWebサイトで、キヤノン製インクジェットプリンター「TR703」を調べてみると、認定を受けているのが確認できた

 逆に言うと、Mopriaの認定を受けていないプリンターは、「Windows Ready Print」を利用できない。これまでどおりに専用のドライバーを導入して利用するしかなく、古いプリンターにARM64版ドライバーがなければ、依然としてそのプリンターはArm版Windowsからは使用できない。

Mopria未認定のプリンターは1年以内に買い替えた方がいい?

 Mopriaの認定を受けていないプリンターを使っている方には、もう1点注意がある。7月の月例パッチが導入されると、プリンターが動作しなくなる場合があるという。ブラザーの発表によると、Microsoftの標準ドライバー(IPP Class Driver)が優先されるのが原因だという。

 この場合の対応は、Windows 11の設定から[Bluetoothとデバイス]-[プリンターとスキャナー]とたどり、[Windows Ready Printを使用した既定のインストール プリンター]をOFFにする。これで元のドライバーが優先されるようになり、印刷が可能になるはずだ。

[Windows Ready Printを使用した既定のインストール プリンター]をOFFにする

 なお現時点ではこの操作で対応できるものの、2027年7月以降はセキュリティ関連の修正プログラムを除き、サードパーティのプリンタードライバーの更新は許可されなくなる。これに続いて、Windows保護印刷モードが既定でONになる予定。その後はWindows保護印刷モードをOFFにしないと従来のプリンタードライバーは使用できなくなる。つまりWindowsとしては、Mopria認定製品のみを動作対象としていく形と考えていいだろう。

 もしMopriaの認定を受けていないプリンターをお使いの場合は、残り1年で買い替えを検討しておくとトラブルを回避できるだろう。まさに筆者がそうである……。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/