やじうまの杜

「Chromium」な「Microsoft Edge」を探る ~拡張機能は使える? 検索エンジンは変更可能?

環境の移行、日本語での利用、異なる開発チャンネルの共存など8つの疑問にお答え

 “やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。

「Chromium」ベースの新しい「Microsoft Edge」がプレビュー公開

 「Chromium」ベースの新しい「Microsoft Edge」が、先日プレビュー公開されました。現在のところ、ほとんど「Google Chrome」とほぼ同じに見えるのですが、どこが異なるのでしょうか。なにができて、なにができないのでしょうか? 「Microsoft Edge」ならではのアドバンテージはあるのでしょうか? プレビュー版をベースに、いくつか検証してみました。

拡張機能は利用できる?

 新しい「Microsoft Edge」でも拡張機能はサポートされており(“edge://extensions/”画面で管理可能)、“Microsoft Store”から簡単にインストールできます。

“edge://extensions/”画面

 また、“Microsoft Store”にほしい拡張機能が見当たらない場合は、“edge://extensions/”画面の左下にある[Allow extensions form other stores]スイッチで他のストアからインストールするオプションを有効化することも可能です。“Chrome ウェブストア”の拡張機能ページを新しい「Microsoft Edge」で開き、[Chrome に追加する]ボタンを押せば、「Google Chrome」と同じような感覚で拡張機能を導入できます。

“Chrome ウェブストア”から拡張機能を導入

 すべての拡張機能が正常に動作するとは限りませんが、筆者が試した範囲では特に問題はありませんでした。

日本語で利用できる?

ユーザーインターフェイスは英語のみ。初期設定では“中華フォント”問題も

 残念ながら、今のところユーザーインターフェイスは英語のみのようです。日本語のWebページを表示した際、いわゆる“中華フォント”でレンダリングされる問題もあります。

 しかし、設定画面(edge://settings/languages)でロケールの変更を行うことは可能です。手動で日本語を追加して、表示の優先度をトップにしてやれば、中華フォントの問題も改善されます。

設定画面(edge://settings/languages)でロケールの変更を行うことは可能
中華フォントの問題も改善される

“Bing”はイヤなんだけど、検索エンジンを“Google”に変えられる?

 Microsoft製ということで懸念されるのが、検索エンジンなどがMicrosoftのサービスに固定されて、変更できないのではないかという点です。

 確かに新しい「Microsoft Edge」の検索エンジンは、既定で“Bing”に設定されています。しかし、一度“Google”を利用すると検索エンジンの管理ページ(edge://settings/searchEngines)に“Google”が追加され、デフォルトのエンジンに指定することができます。

一度“Google”を利用すると検索エンジンの管理ページに“Google”が追加される

 この辺りは今の「Microsoft Edge」と一緒ですね。

「Google Chrome」からの乗り換えはどうするの? データは移行できる?

 新しい「Microsoft Edge」の初回起動時に、「Google Chrome」からデータをインポートできるので移行は簡単です。古い「Microsoft Edge」や「Internet Explorer」からのインポートもサポートしています。

新しい「Microsoft Edge」の初回起動画面。[Start with your data]を選択すると「Google Chrome」からデータをインポート。[Start from scratch]を選択するとまっさらの状態から始められる

 また、“Microsoft アカウント”を介した設定の同期も可能です。古い「Microsoft Edge」から移行する場合は、わざわざインポート機能を使わないでも、同期機能を利用した方が手軽そうです。

“Microsoft アカウント”を介した設定の同期も可能

既存の「Microsoft Edge」と共存できる?

 古い「Microsoft Edge」と新しい「Microsoft Edge」は今のところ同じ環境に同居させることが可能です(正式版がどうなるのかは今のところ不明)。

 なお、新しい「Microsoft Edge」には複数の開発チャンネルが存在しますが、これらを同じ環境にインストールすることも可能です。

複数の開発チャンネルを同じ環境にインストールすることも可能

開発チャンネルって?

新しい「Microsoft Edge」の開発チャンネル

 新しい「Microsoft Edge」には“Beta”、“Dev”、“Canary”という3つの開発チャンネルが存在します。

  • “Canary”:毎日ビルドされる。新しい機能が積極的に導入されているためテストのし甲斐があるが、重大な不具合が含まれている可能性も高い
  • “Dev”:毎週ビルドされる。“Canary”より安定している
  • “Beta”:仕様がある程度固まり、細かい不具合の修正に注力する段階

 “Beta”チャンネルはまだ利用不能なので、このなかで一番安定している“Dev”チャンネルを利用するのが無難です。

Mac版も提供されるって本当?

 その予定です。現在のところ、Windows 7/8/8.1とmacOSに対応することが明言されています。

新しい「Microsoft Edge」はMac版も提供予定

 また、ARM版Windows 10向けの「Microsoft Edge」も提供される予定です。リリースされたら「Firefox」と比べてみるのも面白いかもしれませんね。

で、「Google Chrome」とはどこが違うの?

 新しい「Microsoft Edge」はまだ開発中のプレビュー版であるため、目立った違いは見受けられません。新規タブページやアイコン、各種設定画面のデザインなどが異なるのみです。Web標準への準拠をみても、現行版「Google Chrome」に後れを取っています。複数の機能が意図的に無効化されているようで、“HTML5test”のスコアは古い「Microsoft Edge」と比べても低いです。

新しい「Microsoft Edge」の“HTML5test”スコアは“481”
古い「Microsoft Edge」のスコアは“492”、「Google Chrome 66」のスコアは“528”

 また、音声での読み上げや“PWA”はすでにサポートされているものの、古い「Microsoft Edge」にあった機能の多くが欠けていて、あまり「Microsoft Edge」らしくないというのが正直な印象です。

  • ハブビューとリーディングリスト
  • ノートの追加(Webページへの書き込み)
  • PDFへの書き込み(表示は可能)
  • [共有]コマンド
  • [表示中のタブを保存して閉じる]
音声での読み上げは利用可能
Webアプリをローカルアプリのように扱える“PWA”をサポート

 一方、以下の機能は未実装ですが、近日中に導入されるとのことです。

  • ダークモード
  • スムーズスクロール
  • アクセシビリティの向上
  • 読み取りビュー
  • 文法ツール
  • 翻訳
近日中に導入予定の機能
Microsoftが「Google Chrome」から削除またはリプレースした機能の一覧

 「Chromium」への切り替えを機に、古い「Microsoft Edge」で不人気だった機能の一部は削除されるかもしれませんが、こうした「Microsoft Edge」らしい機能が実装されれば、もう少し「Google Chrome」と差別化できるかもしれません。とくにスムーズなスクロールと、比較的充実したアクセシビリティツールや学習補助ツールは「Microsoft Edge」の魅力。より磨きをかけてカムバックすることに期待したいです。

新しい「Microsoft Edge」が「Google Chrome」とどう違うのかを知るには、“edge://flags”を“edge”で検索してみるとよいかもしれません。「Microsoft Edge」でテストされている独自機能を垣間見ることができます。

近日中に導入予定の機能